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2017年中学入試中間情報【25】朝日新聞 思考力入試と英語入試 注目

★朝日新聞は、「答えのない世界、中学入試は問う 自ら考え議論…私立多様に」2017年1月30日16時30分で、思考力入試と英語入試に注目。私立中高一貫校の入試の多様性の取材記事を掲載した。

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(聖学院の思考力入試対策講座「思考力セミナー」)

★最近では2科4科入試でも、麻布で出題するような「思考力型問題」を30%も出題する学校も登場してきている。三田国際学園がその代表例。秋の入試説明会では、30ページjほどの「入試問題分析」の冊子が配布されるほど、きっちりしている。盤石のシステム思考が同校にはあるということだろう。

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この傾向は2018年度入試の大きなトレンドになるだろう。そして、もう一つのトレンドは、新入試(適性検査、思考力入試、自己アピール入試、英語入試)。

★今回朝日新聞は、新入試の中でも、「思考力入試」と「英語入試」に注目した。というのも、2020年大学入試問題の先行モデル東大推薦入試や京大特色入試に直接通じる入試であるからであるし、「英語入試」は小学校での教科化や4技能英語教育改革の象徴であるからである。

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(かえつ有明の思考力入試がこのトレンドの始まりだった。同校ではふだんの授業からアクティブラーニングが随所で行われている。写真は高2の国語)

★2科4科の思考力型問題は、いわゆる国立大学の一般入試のような問題で小論文型ではない。一方、朝日新聞が取材している思考力入試は、東大推薦入試や京大特色入試のような小論文もしくはプレゼン付思考力入試が基本。

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(適性検査型ではなく、「思考力入試」のリスト。上記の学校の出願数だけで、1月30日段階で2215名。これを多いとみるか少ないとみるか)

★このリストの中では、かえつ有明、聖学院、工学院、富士見丘の「思考力入試」は、おそらく才能発掘において異次元のテスト。思考のプロセス(ブレストから論理的思考にいたり、そこから創造的思考に飛躍する仕掛けがマインドセットされている)。朝日新聞は、今年新設する学校の思考力入試を取り上げていたが、その中に以前から導入していた学校として、聖学院の問題が紹介されていた。

★ジャーナリズムの目はやはり鋭い。思考力入試の中でも特徴的な考える問題について言及せざるを得なかったのだろう。

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(工学院は、思考力入試やPBL型授業を自主開発するための学習する組織を構築している)

★なぜこのような特徴的な思考力入試ができるのかというと、「思考コード(メタルーブリック)」というものを独自開発しているからである。このコードを開発している学校が、かえつ有明、聖学院、工学院、富士見丘、三田国際なのである。

★この重要性については、今のところまだジャーナリズムもキャッチしていない。しかし、同記事の中で、首都圏模試センターの北氏が「脱・偏差値」という言葉を使った。模擬試験会社が「偏差値」を使わなくなるのか?新聞では深堀していなかったが、「脱・偏差値」とは偏差値の正しい使い方をするという宣言であり、使わないということではない。

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★すでに、首都圏模試センターでは、「立体偏差値」というわかりやすい表現をしているが、今まで知識という一次元偏差値だったのが、今後はブルーム型タキソノミーベースの多様な思考力に対応できる「多次元偏差値」になるということだろう。基本的にAIのシステムの発想と同じ。

★この発想を実現するには「思考コード(メタルーブリック)」が必要で、この点に関しては、次期学習指導要領で提唱されているカリキュラムマネジメントの発展によって理解せざるを得なくなるだろう。

★特にカリキュラムマネジメントには、教師1人ひとりが、タブレットやノートPCで、瞬時に生徒の思考ベースの学力やコミュニケーションの質をデータ化して分析・統合できるようになっていくから、そのとき、またジャーナリズムは大いに話題にするだろう。

★とにもかくにも、入試問題は教育内容の反映であるから、未来の学びへのシフトに対応していく。つまり、知識重視問題から思考力ベースの問題になり、思考力の多次元化が研究されるようになり・・・と、その質がどんどん豊かになっていく。

★その向こうには、もはや入試問題は選抜入試ではなく多様な創造的才能を発掘する入試になるイメージが見える。そして、その多様な創造的才能に対応できるカリキュラムマネジメントができる学校がサバイバルすることになる。

★そのとき、世界にあるようで実はない日本の主要5教科中心主義カリキュラムは、生徒の才能をズタズタにするプロクルーステスのベッドマシーンだったことに気づくだろう。

★私立中高一貫校は、とっくにそのことに気づいており、だからこそ教科の枠を超えて探究活動をするし、多次元の思考力を育成するプログラムを開発しているのだが、それがどんどん加速する時代が拓かれた。今回の朝日新聞は、ジャーナリズムがそこにピンときたという証であり、2017年中学入試からその準備が整っている学校があることを知らせているのである。

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