« 2030年教育動向(09) すべての生徒が高次思考を学べるか? | トップページ | 2030年教育動向(11) 三重中学校 前期 思考力型問題出題 全国に関心広まる思考力 »

2030年教育動向(10) 新しい教育のカタチには顕れないカタチ

★昨日、工学院、富士見丘、首都圏模試センターと株式会社メイツの新春ブレストミーティングがあった。株式会社メイツは、創造的エンジニア集団で、その足場の上に2タイプの塾を運営している。

Dsc08828

★これまで、ICTジャーナリズムやエンジニアの話を聞いてきて、あるいはアイデアを出しても、なかなか反応が先に進まなかったが、昨年私塾界のイベントで出会う機会をいただいた株式会社メイツの若き経営陣は柔軟で創造的でかつリアル。

★もしこうだったらこうなりますかね、こうだったらどうします、もっとシンプルにプロダクトしましょうか、こんな感じでどうですか、ICTを使うところと人間の手でやるところは使い分けしますねなどと、DMTs(Doing Making Thinking sharing)がいっぺんにできてしまう新しい対話ができる集団。

★そして、私塾界がが発刊している「抄録学習塾白書2015」を見て、ピンときたのだが、工学院、富士見丘、株式会社メイツには共通点がある。それはiPadを活用して授業を行っているということで、同白書がまとめている昨年までのICTを媒介にした教育の新しいカタチはすでにできあがっている。

Dsc08822

★さらに、首都圏模試センターは、新しい中学入試のカタチを追究し、その情報のプラットフォームになっているし、その準備としておおたとしまさ氏も週刊新潮で紹介している「思考コード」を活用して、1万人の思考力の特性分析ができるところまで到達している。

★工学院、富士見丘をはじめとする21世紀型教育機構は、シリコンバレーやスタンフォ―ド大学がかかわって創っている学校を見学に渡米し、その親和性を感じ取ってきている。

★これらの情報をぶつけ合って、あっという間の5時間が過ぎた。おもしろいのは、エンジニアでもあり、同社共同経営者でもあり、プロモーターでもあり、学習理論の探究者でもあり、とにかくマルチな伊藤氏が、マルクス・ガブリエル、つまり伊藤さんのように若い哲学者で、言語論的転回や認識論的転回を乗り越えて新実在論を展開している情報までも持っていて、マルクス・ガブリエルの新実在論の地平のかなたを見つめていた点が、私とも共振した。思考論的転回へという話なのだが、そこはすんなり。

★プログラミング教育を中心に事業展開をはじめた同社の昌子氏も、すぐに思考コードを数学的思考に置き換えて、スクラッチ型ではない同社のプログラミング思考をメタファーとして参戦。

★当然、思考コードやメタルーブリックについては、作成実施している工学院の平方先生、富士見丘の大島先生、首都圏模試センターの北氏と山下氏も議論に加わり、盛り上がった。

★もちろん、哲学的な話ではなく、プロダクトベースの話なのだが、そこにカントやヘーゲル、マルクス・ガブリエル、現代数学、現代政治経済、もちろん教育改革の話がハイパーテキスト的にリンクしながら進んだ。ブレストだからというのもあったのだが。

★とにかく、もはや、アクティブラーニングをどうするとか、ICTを授業にどう生かすか、4技能英語をどうトレーニングするかという話ではなく、それらの世界をいかにささえるシステムを生み出すかという世界⒳が広がった。

★マルクス・ガブリエルは、世界⒳は世界(P)の内には現れないという。今世間で話題になっている教育改革、大学入試改革、アクティブラーニングやICTのお話は、世界(P)の話。

★しかし、実際には世界⒳こそが重要である。これがきちんと確立されないと世界(P)は一時のトレンドということになってしまうからだ。しかし、それは世界(P)には現れない。世界⒳こそ創造的エンジニアリングであり、プログラミング思考であり、思考コード思考である。世界(P)に顕れないからといって、存在しないわけではない。

★しかし、世間の多くは、見えないものは存在しないと錯誤に陥っている。新しい教育のカタチは、いよいよ世界(P)から世界⒳に歩を進めようとしている。2020年大学入試改革は、その道のりの通過点に過ぎない。

★中学入試は、そのような新しい教育のカタチを反映している。それゆえ、2科4科入試も、かつては麻布や武蔵の専売特許だった思考力型問題も多くの学校で埋め込み始めている。そして、その思考力型問題のみを取り出した新しい中学入試のカタチが爆発的に増えてきている。

★英語入試も、やがては思考力型の英語入試になっていく。今のところは4技能英語改革の前倒しや小学校の英語の教科化という世界(P)内の対応が多いが、2018年度入試では、英検2級レベルの受験生が増えていることにあいまって、英語による思考力入試も生まれて来るだろう。

★いずれにしても世界⒳領域における学習する組織のシステム化(事務手続管理システムではなく学習理論に基づいたマネジメントシステム)が2030年に向けて動き始めている。そう確信をもった新春ブレストミーティングだった。

|

« 2030年教育動向(09) すべての生徒が高次思考を学べるか? | トップページ | 2030年教育動向(11) 三重中学校 前期 思考力型問題出題 全国に関心広まる思考力 »

21世紀型教育」カテゴリの記事