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2030年教育動向(12) 開智日本橋学園 「IB型思考力養成WS」

★開智日本橋は、国際バカロレア(IB)のMYP(Middle Years Programme)の候補校となって、教育実践を展開して2年目。今年の2017年度入試で中学全学年、MYPの実践が完成する。

★MYPは2クラスで行っている。しかし、開智学園の理事長青木先生によると、開智学園グループの総帥としては、このIBのカリキュラムのエッセンスをグループ全体で共有したいと考えているということだ。

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(2017年1月19日、宗像副校長による「IB型思考力育成ワークショップ(WS)」が始まった)

★しかも、2017年から開智国際大学では、教育学部が新設されたから、そこでもIBのエッセンスを活用できる教師育成が行われる。自分のグループだけではなく、教育にIBのエッセンスをということだ。

★しかし、何ゆえにエッセンスなのかというと、IBは明快に西欧の哲学が基盤で、東洋思想はその範疇から除くと説いている。したがって、青木先生の理想としては、昨今のシリコンバレーがZenをマインドフルネスのプログラムに織り込み始めたように、日本の教育の独自性とも統合する本物の世界標準の教育をデザインしたいということのようだ。

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★開智日本橋は、そのルーツからいって、日本の文化を大切にする底流が流れている。したがって、この地でMYPを実践することは、実に有益なことなのである。

★その壮大な理念をうけてとめた宗像副校長は、中1のMYPクラスがほぼ1年学んできた段階で、IB型思考力なるものをどのくらい身に付け、今後どう成長していくのか研究を開始した。

★それが「IB型思考力養成WS」である。プログラムは、まずある国の写真を見て、自分が何を感じるかを対話するところから始まる。いわばアイスブレイクだ。そして、ラウンドスタイルになって、順番に自分の感じたことを語っていく。分かち合いで、この段階では議論をすることはない。

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★一巡したところで、宗像先生が、問いを投げ、また分かち合う。するとまた、宗像先生が問いを投げる。つまり、その写真から見える社会全体の理解をどんどん広げ深めていく。それによって、問題の重要度が見えてくる。

★宗像先生は、問いを投げる時、実はIB流儀で投げるから、思考の次元を上げているのだ。そして、中1であるにもかかわらず、なかなか高い次元、つまり≪higher order thinking≫ができるという手ごたえを感じたという。

★その手ごたえを感じたところで、次の問題に挑戦することにした。

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「横断歩道のまんなかでの、以下の出来事。――突然の強風に折れてしまった1本のビニール傘、降りしきる雨の中で、それをそのまま、そこで捨てようとする人。そんなことしちゃダメだ、危ない、と叫ぶ人。つまずいた母親の腕の中で、泣き出す赤ん坊。どうでもいいやと、足早に通り過ぎる人々。そして、信号はもう赤になったのだから、ともかく皆早くどけ、とばかりにクラクションを鳴らし続ける自動車。」――この情景をあなたが目撃していたとして、そこから得られる、あるべき社会全体の姿への示唆についての、あなたの考え方を、整理して示しなさい。

★この問題は東大の文Ⅰの論文問題。生徒はそんなことに全く無関心で、いきいきとチームに分かれて、議論して組み立てプレゼンする。

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★大学入試の問題が今の段階で完全にできることが目的ではない。生徒の現状の思考の次元の限界を見いだし、共有し、突破していく実感をシェアするためのトリガークエスチョンにすぎない。

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★思考のスキルとして、「比較・対照」「因果関係」「カテゴライズ」「具体から抽象へ」というものは、明快に意識して活用していることがわかった。

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★宗像先生は、最終フィードバックで、多様な思考のスキルが駆使できるようになっているし、思考の次元も≪higher order thinking≫の領域まで飛べるようになっている。

★今後の課題は、思考の幅を、自分軸の領域から、社会や世界に広げて、「制度」や「世界観」を深めていくことが必要であることが確認できたと。もちろん、それは知識の問題ではなく、社会心理学や一般科学や芸術、政治経済学、現代数学と社会の関係など、MYPの多様な学びの領域を体験していくことによって可能になるだろう。

★今回重要なことは、領域を広げ深めていく未来への可能性があるということを共有できたことだと語った。

★自分たちの教育や学びへの自信と未来への挑戦の足場を教師も生徒も共有できたWSとなった。

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