2017年度東京・神奈川中学入試【01】三田国際学園 知の分断線を払拭する
★2017年度東京・神奈川の中学入試の幕が開いた。今年もハイパー人気で、おそらく出願者総数は3,600名を超えるだろう。ただ増えているだけではない。インタークラスだけではなく、本科のクラスの出願者数が昨年よりも伸びているのだ。いったい、これは何を意味するのか?
★実は、昨年までは、メディアは英語力を追っていた。しかし、ここ数日のメディアの中学受験の露出は、「思考力」に焦点があたっている。従来「思考力」といえば、いわゆる御三家クラスの学校が出題する入試問題で、それ以外はアリバイ程度しか出題してこなかった。
(7時過ぎ。まだ太陽が顔を出していないときから、塾の先生方は応援のためにずらり並んだ)
★受験業界と私立学校は、自ら塾歴・学歴社会という知の分断線を引いてきたのだ。既存の知識を憶え、それを活用する低次思考(kowre order thinking)をその分断線の壁として築いてきたのである。
(21世紀型教育私学人の今井先生。超絶多忙を極めていても、この柔らかい笑顔。誰もが癒される)
★ところが、麻布や武蔵のように低次思考ばかりだけではなく、高次思考≪higher order thinking≫を要する問題を出題し、なんとかその分断の枠の中からはみでようとしてきた。
(塾歴社会を崩そうとする自浄作用が、塾側にもある。このシーンはまさにそれを象徴している)
★しかし、ドブの中にはまって、自らの髪の毛を懸命に引っ張っても、外にでることは難しかった。
★御三家をはじめとする中学受験生6,000人は、多様性を失って、一次元偏差値のランキングの中に押し込められていた。低次思考ができて、その上で高次思考を学ぶという画一的才能者になってしまう危険性がでてきた。
★しかし、小学校6年生ぐらいのときには、低次思考は未熟だが、高次思考は得意だという生徒がいるものである。そのような生徒は低次思考が弱いだけなのに、あたかも思考力全体が弱いと錯誤のレッテルを貼りつけられてきた。
(PBLやメタルーブリックの開発リーダー田中先生。論理と情熱は一致するという21世紀型私学人の象徴的な教師)
★ところが、21世紀型教育は、すべての子どもの創造的才能を開花する学びの環境や条件を生み出し始めた。低次思考より高次思考が得意だという創造的才能者に勇気を巻き起こしたのだ。
★彼らは、しかし、一般生の中にたくさんいる。帰国生入試や英語入試を受験する生徒は、はじめから自ら低次思考にこだわる必要のない家庭や学校環境にあった。その家庭層から、三田国際のインタークラスは、これぞ自分の未来を創る学びの場だという共感が一気呵成に広がった。それで出願者数は3年連続爆発的に増えた。
(大橋学園長と目が合う受験生。言葉は交わさずとも、互いに“Soul”は1つ。三田国際の受験はなかなか厳しいが、最後までがんばって)
★そして、2017年度は、一般受験生の中に、世のトレンドになっている思考力入試、詳しくは創造的思考力入試、高次思考力入試なるものが受け入れらると、自分の可能性を別角度からリフレクションするようになる生徒が現れた。首都圏模試センターが一次元偏差値だけではなく、立体偏差値=多多次元偏差値=思考コードを模擬試験で活用しはじめたことも大きな影響を与えることになった。
★まだ、この立体偏差値は、中学受験市場に広がっていないが、この重要性に気づいた洞察力のある受験生の保護者は、単に記述問題や論述問題を出しているかどうかだけではなく、創造的記述・論述問題を出しているかどうかまで、リサーチするようになった。
★三田国際は、秋の説明会で実際の入試問題で、低次思考と高次思考の違いを解説した。2科4科入試の中に、高次思考問題をたっぷり埋め込んでいるからである。学力は既存の知識量とその活用度だけではなく、多次元知能としてとらえることができる。新しい知識を生徒自身が発見したり発明したりすることができるのである。一次元の枠の中に閉じ込めておく必要は全くないのである。
★そして、今後6年間一次元偏差値の競争をし続けるのは、極めて無意味であることは、昨今のグローバルで不確実な波が、身近な日常生活に迫ってきているのを見るにつけ、明白だというコペルニクス的転回が起こったのである。
★低次思考から高次思考へ、一次元偏差値から多次元偏差値へ、選抜される試験から才能開発試験へ。
★いつまでも塾歴・学歴社会の中の階層構造に悩まされる必要はないのだ。そのような階層構造は今後もあり続けるだろう。しかし、それ以外の創造的才能者グループ、つまりクリエイティブクラスの世界が広がることも確かである。同じ悩むのなら、創り出したり、生み出したり、考えたりするシーンで悩みたいというわけである。
★階層構造の中でファーストクラスを目指すのか、STEAM(サイエンス、テクノロジー、エンジニアリング、アート、マスマティックス)分野でクリエイティブクラスを目指すのか。
★三田国際学園の本科クラスは、このクリエイティブクラスを目指している。インタークラスはグローバルクリエイティブクラスだが、実はクリエイティブクラスになってしまえば、結局最終的にはフラットである。
★インタークラスは、英検2級持っていてもなかなか合格できないほどの難しさになってしまっている。ならば、本科クラスにまずは入って、クリエイティブクラスとして将来はフラットに共創していこうと。おそらく、こういう流れが、まだ無意識なるニーズだろうが、できてきたのだと思う。
(大橋学園長の受験生を迎える優しい目は、同時に彼らの未来を映す眼光も放っていた)
★かくして、塾歴・学歴社会という知の分断を形成してきた牙城以外に、未来の創造的才能者の拠点ができあがった。これによって、麻布や武蔵は、分断線の向こう側から、クリエイティブクラスの拠点からさしのべられる手によって、さらにその創造的才能を活かす社会を見出せるようになるだろう。
★2017年度2月1日、三田国際から始まったのは、この分断線を払拭するクリエイティブクラスの先鋭的な地殻変動が起きているということなのだ。
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