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2017年大学入試問題の季節【03】 慶応大学医学部の英語の問題のおもしろさ

☆慶応大学医学部の英語の問題も実はおもしろい。「実は」というのは、いわゆる英語の大学入試問題のスタイルで、特に何が変わったというわけではない。

☆しかし、英文読解問題でも、その文章内容がおもしろいのである。仮にその内容について考えたことがなくても、英語のスキル問題としてはなんなく解けるのであろうが、それでも大学入試問題の対策の最中に、こういう文章に出会えば、単なる受験勉強ではなく、視野を広くしたり日常生活をリフレクションできる。問題を解きながら世界を考えることができるのである。

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☆大問[Ⅱ]の文章テーマが、Ageism(年齢格差)だった。51歳以上とか20歳以下とかの社会の扱い方が問題視されている。特に雇用の問題である。当然ICT技術の進化と共に、老人の知恵までも顧みないのはいかがなものかという話なのだが、この背景には、仕事とは何かという問い返しがある。

☆”You’re How Old? We’ll Be in Touch”by ASHTON APPLEWHITE(NYタイムズ 2016年9月3日)の記事である。新しい!ではないか。しかも、ネットで参照できる。

☆つまり、現代的な問題である脱技術によるAgeismのジレンマがテーマ。英語の文章を読みながら、現代国語や政治経済、倫理社会、進路デザインなど多肢にわたって学ぶことができる。最近工学院などで行われているCLILという学びが有効なのだ。

☆英語の授業が、教科書や過去問だけごしごしやっている時代から、iPadでNYタイムズなどスクロールしながら読解して、自分の考えを100ワードぐらいで書いたりプレゼンしたりするアクティブラーニングが効果的なことは言うまでもない。

☆そんな授業をやっている学校は三田国際、広尾、工学院である。もはやNYタイムズを教師がプリントアウトして紙で配布してやってりうようなスピード感では、このような新興勢力に駆逐されていくことは間違いない。

☆それにしても、三田国際のありし日の中2のインタークラスの英語の授業。1人1台iPadをもっていて、マクドナルドの商品のカロリーまで計算して、最適な食生活をおくるプランニングの探究授業が行われていた。

☆マックの商品でヘルシーな生活は送れるのかを検証する授業だった。もちろんオールイングリッシュで、資料はがんがんwebで収集して分析していくPBLスタイル。で、健康とは何か?持続可能な健康はいかにしたらよいのか議論するわけだ。

☆今回の慶応大学医学部のライティングの問題は、まさに同じテーマ。おそらく同じことが広尾や工学院でも行われているだろう。

☆すでに広尾は大学合格実績の伸長度には眼をみはるが、三田国際や工学院もそうなるのは遠い話ではない。

☆いずれにしても、日本語なら200字感覚、英語なら100ワード感覚のショートエッセイをデザインする学びを習慣化しておくことは、意外と重要なのではないか。これは大学受験勉強だから必要だというわけでもないだろう。

☆というよりも、大学受験勉強から大学入学準備教育に、日本の教育もシフトしてきているととらえたいものである。前者は大学に入ることが目的、後者は人生をいかに生きるかを準備することが目的。

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