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2017年度東京・神奈川中学入試【06】雙葉の理科の考えるおもしろさ

★2017年雙葉の理科の最初の問題は、重心とおもりの関係についてだった。受験のプロにとっては、何の変哲もない理科の基礎的な問題ということなのだろうが、思考力の質を考えてみるとちょっとおもしろい。両者の関係を〇型から☆型に適用できるか、つまり応用ということなのが、作図して考えてみる設定をしている。

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☆〇型でも☆型でも、重心という抽象的な概念は同じなのだというトポロジー的発想は、この問題に限らず重要なメタ思考。思考コードで言えば、B1思考ということだろう。もっとも☆型の重心をもとめる作図の操作が加わるから、これが知識として自動化していない場合は、その生徒にとってはB2思考を稼働させることになる。

☆このような4科入試の場合は、思考力入試なら、この☆型の重心をもとめる作図をどうするかさらに違う角度から問い返して、重心を求めるという思考の過程を丁寧に問うことになるのと違い、作図に関しては知識となっていないとならないだろう。

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☆なぜかというと、考えることとは別に合格するトレーニングという合格スキルが課せられるからだ。ていねいに考えることができるが、それを自動化しておくという合格スキルに仕上げておかねばならない。

☆ここが、2科4科入試と思考力入試の違い。自動化されていなくても、その過程をまずは丁寧に考えていくことができれば、それでよいというのが思考力入試。

☆思考コードで言えば、思考力入試ではB2思考を問いかけるが、2科4科入試では、そのB2思考の思考過程のうち1つの操作を自動化して、つまり、ショートカットして、B1思考で解けるようにする合格スキルを体得することが必要になる。

☆これが1次元偏差値では差になってしまう。ところが、多次元偏差値では、その両方の思考の特性を見いだすことができる。B2思考力では偏差値は高いのだけれど、それを時間制限などしてB1思考力に次元シフトすると偏差値が低くなるというだけのこと。

☆この時間制限というのは、しかし大事な創造的思考トレーニングの要素でもあるから、2科4科入試か思考力入試かどちらが優れているかということではない。ただ、現状どちらがその生徒の思考の特徴を見ることができるかだけである。

☆この雙葉の問題をB1思考で解かずに、B2思考で解いてしまった生徒は、雙葉という学校に入れないかもしれないが、思考力は十分にある。高次元の思考をショートカットして低次元の思考によりシンプルにする作業は今は出来ていなくても、中高でちゃんとやるからねという学校に進むと、6年後成長思考が膨らむということがある。

☆自動化の怖いところは、その過程を振り返って見える化できなくなってしまいマニュアル思考に陥ることだ。メタ認知とかクリティカルシンキングが育っていないと、そうなってしまう。賢くても不測の事態に対応できない、つまりサバイバル能力が育たないというケースは、身近なところでよく見られる事態である。

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