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2017年度東京・神奈川中学入試【07】NHKが読み解く生徒獲得資本主義~生徒獲得戦略の時代到来

☆昨日2月2日、NHK「おはよう日本」で、私立中高一貫校の中学入試について放送されたが、そのキーワードが何と「生徒獲得」というワードである。これは中学受験や中学入試では、あまり使わない言葉である。

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(2017年2月1日、校門で受験生を迎える三田国際学園広報部長今井先生。NHK放送では、三田国際の共学化など生徒獲得戦略の成功についてインタビューされていた。)

☆生徒獲得戦略と言えば、全国にその成功が轟いている三田国際学園。NHKでは、ずばりその成功に切り込んだ。もちろん、開成の入試風景をさしはさむことも、情報シンクタンク系の重鎮のインタビューも忘れない。

☆何気なく見ていると、ただのこの時期の中学受験のシーンの放送。トランプ大統領の激怒でアベノミクスが強制終了などでも起これば、そのニュースにすぐに差し替えられそうだ。

☆しかし、それは違う。NHKの中途半端な国営放送的な要素は批判されがちだが、表現・報道の自由も保守している部分がある。この中学入試における「生徒獲得」は、そのNHKの報道の良心が編集したものだと思う。

☆というのも、NHKの金融関係や資本主義を取り扱ったドキュメンタリーは、この強欲資本主義から新しい資本主義にいかにしたらシフトできるか、その兆しを長年追跡している。

☆ケインズのあの本の序文で紹介しているシルビオ・ゲゼルの資本主義観やミヒャエル・エンデの遺言である時間泥棒と一戦交えるモモ的資本主義。

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(かえつ有明では、金井先生と「モモ」プロジェクトが発動している)

☆私は、それを創造的資本主義と呼んでいるが、実は私立学校の生徒獲得戦略経済こそ、この創造的資本主義システムのモデルなのである。この経済は、利益を出すことができない。定員は決まっていて、それ以上お金を集めることはできない。もちろん、寄付は別だが、それも利益にはならない。すべて教育活動に使われる。

☆いったい、何が造られるのか?それは生徒のマインドと人間力、サバイバル能力、クリエイティビティ、オリジナリティ、ホスピタリティといったものだ。

☆しかし、これらは商品ではない。市場経済で商品交換できないというのが論より証拠だ。あくまで、創造的人間として送り出す「活動」が、生徒獲得戦略経済なのである。

☆この学校による、労働でもない、仕事でもない、ひたすら活動である教育を支えている生徒獲得経済は今始まったのか?いや私立学校設立当初からそうだったのだが、それをきちんと稼働する自覚ができないほど、強欲資本主義が圧倒していたので、見えなかっただけだ。

☆しかし、その強欲資本主義に陰りがみえてきた。一国の大統領がくしゃみをしたら、世界経済が右往左往し、大きく動揺する状況が目の前で繰り広げられているのが何よりの証しだろう。

☆もはや化石燃料の奪取と支配競争の終焉は近い。AIとBTと宇宙工学、海洋工学の進化、つまりクリエイティブシンキングが、人工光合成を達成するだろう。

☆そうなれば、ヨーロッパ中世の利子なき資本主義から、逆説的にあの手この手で利子という利殖を生み出す強欲資本主義が育ってきた歴史が終焉を迎え、創造的資本主義にシフトする。

☆19世紀末の予言であるウィリアム・モリスのSTEAM教育によるユートピアであるクリエイティブシティが立ちあがるだろう。それには、ICTの登場が待たれたわけである。マックス・ウェーバーが生産手段を労働者が所有できない限り、プロテスタンティズムを裏切る強欲資本主義が席巻するという予言は、大いにあたったし、もし労働者が所有できればどうなるのか?というのは後世の遺産として残されたわけだが、それは労働者も所有できるパソコンの登場によって、果たされるのである。

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(2月19日「新中学入試セミナー」では、三田国際学園長大橋先生、工学院校長平方先生、太田先生も登壇する)

☆昨日2月2日午前、工学院の教務主任の太田先生から次のようなメールが届いた。一部紹介したい。

(最初の部分は省略)本日の受験生は、高橋勉入試広報部長の予想に反し、多めの受験生です。理由の一つに、インターネット出願があると思います。

ネットで出願、ネットで入金のため、申し込みだけして実際に受ける状況になったら入金する、また、急きょ受験するとなったらその場で申し込みができる。

この結果、とりあえずお金払って申し込んでおこう、と言う保険としての申し込みが減り、実際に希望する人のみの申し込みになったと考えられます。

長々とすみません、つまり、ICTの導入においてより正確で質の高い情報をキャッチし、的確な判断を下すことが可能である、ということを示唆しているように感じました。前日の午前受験率100%、午後99.2%は、インターネット出願の影響も大きいと思います。

これからの授業なり教育も、このICTの活用なくしては質の向上はあり得なくなる、ということを感じている入試です。(企業ではマーケティングでこの手のことはしていたと思いますが、教育・授業にもようやく浸透してきたという感じですね。)

現在、ICT思考力入試中です。これから自分も巡回に行ってまいります。

☆ここには、まさにICTという創造手段が、生徒1人ひとりに行き届いている工学院だからこその発想が充満している。そして、教務主任が生徒獲得戦略と教育プログラムをICTで一気通貫して理解して活動しているというのは、実に新しい傾向だ。

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(工学院高橋一也教頭とその仲間チームSGT=スーパーグローバルティーチャー)

☆従来は、生徒募集という名で、広報活動と教育活動は完全にセパレートされていた。しかし、生徒獲得戦略は、利潤を得るのが目的ではなく、人間力の創造にあるわけだから、経営と教育は統合される。新しい資本主義経済のモデルが工学院や三田国際にあるのである。具体的にはどういうことかは、教育の内容を両校のサイトでみるとある程度わかるだろう。

☆私が両校にこだわるのは、教育システムのみならず、生活の基盤である経済システムの未来モデルがそこに在るからであるが、実は塾にも同じような変化が起きている。

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☆社長と副社長が大学時代に起業して立ちあげた「株式会社メイツ」がそうだ。生徒1人1台iPadを活用して、学んでいくシステム。教師のマネジメントシステムと生徒の学びのポートフォリオが、ICTでシンクロしている新しい教育コミュニティ。今までとは全く違う異次元の塾だ。

☆いわゆる中学入試とはまったく違う次元にいるのに、公立私立問わず、生徒の学びに深くかかわっている。「塾」という表現は学校法人登録をしていないから、便宜上活用しているに過ぎない。

☆私立中学校入試にICT思考力入試が登場してきたように、メイツでもICTによって受験勉強もカバーしてしまう。しかも、もっとすごいプログラムが開発されているということだ。今のところ学校とメイツは直接つながっていないが、親和性があるので、いずれケミストリーが生まれる。学校と民間のコラボがクリエイティブ資本主義経済を加速させることになるだろう。

☆NHKが「生徒獲得」戦略という流れを放送しはじめた背景には、そういう文脈があるのではないだろうか。

☆今回のNHKにしても三田国際にしても工学院にしても株式会社メイツにしてもディレクター、学習指導部長、教務主任、経営陣はみな若い世代であるというのが実は大きいのかもしれない。

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