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2017年度東京・神奈川中学入試【15】 中学入試革命(2)思考コード

☆首都圏模試センターの山下氏(取締役統括マネージャー)とは、「思考コード」の概念やその実用的な使い方について議論になった。思考の領域種類(ブルームのタキソノミーなど参考にアレンジ)、その領域における思考スキルの構造、各領域ごとの偏差値、領域の組み合わせごとの偏差値など。。。

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(この冊子は思考コードの実用サンプル書。まだまだ進化するが、まずはこの段階のものを、2月19日の「新中学入試セミナー」で限定配布していただけることとなった。)

☆山下氏の注目する思考力領域はC3で、話題のほとんどがここだった。というのも、従来の2科4科型でC3の領域を出題しているのは、麻布くらいだったのが、適性検査型や思考力入試、自己アピール型入試では、この領域が中心になる可能性がでてきたからだ。

☆議論はぐるぐると行きつ戻りつ続いた。実は年始の7時間ミーティングでも、ここの話題がメインだった。このC3思考力を養成できるプログラムは、実際には世の中でも開発途上だし、AIの最後の攻略領域。目先のことを考えていたら、ここには手を付けない。しかし、山下氏は、だからこそ、準備するのだと。

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☆結局のところ、C3思考力は、「具体と抽象」のスキルが肝で、両者を結ぶのは、アナロジーやメタファーであるという話で大いに盛り上がった。具体=抽象という「置き換え」ということなのだが、この「置き換え」スキルのトレーニングには、アナロジーやメタファーが欠かせないと。要するにトポロジー発想。

☆聖学院の思考力入試で、写真の読み取りが、たんなる事実の読解ではなく、社会や文化への「置き換え」ができるかがポイントで、この場合、社会や文化を組み立てる構造視点のアナロジーが「写真」ということになる。

☆もっとも、ここに飛ぶ前に、ミャンマーの写真と東京の身近な様子を比較するというスキルを活用している。しかし、考えてみれば、比較スキルも結局のところは「置き換え」であり、相違点や共通点が了解できるのは、アナロジーやメタファーがかかわっている。おそらくこのあたりのことを「直感」とよんでいるのだろう。

☆山下氏のすごいところは、こういうブレストをそのまま放置しておくのではなく、上記のような冊子にまとめて、ビジネスモデルに「置き換え」てしまうところだ。

☆だから、壮大な対話をしていたと思ったら、急に現実的な話題になる。たとえば、今年の筑駒の社会の問題。対話は、具体的な問題など当然挿入されながら紆余曲折する。そのちょっとした眩暈がスリリングなのだが。

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☆ともあれ、この問題、選択肢の問題ではあるけれど、結局、グラフと各選択肢の関係をチェックしていく。つまり、「置き換え」らるかどうかをチェックしていく。基本、A思考領域。

☆ただ、Aなのだが、A1かというとそれは違う。グラフの縦軸と横軸の関係について読み取る、「比較・対照」の関係スキルが必要。選択肢アの場合は、「200カイリ」という知識をリコール(想起)するスキルが必要。イの場合は、グラフと文が「置き換え」らるかどうかだけのスキル。ウも「置き換え」るのだが、遠洋漁業と沖合漁業を「比較・照合」するスキルを発動しなければならない。エは、アと同様に「置き換え」と「知識のリコールスキル」の両方が必要。オとカは「知識のリコールスキル」だけでOK。

☆間違っているものをすべて選択するのだが、この問題は上記のように複数のスキルを活用する。かといって、それらを統合するわけではないから、A2思考力となる。すべて選べとあって完全解答となると、意外と正答率は低くなるだろうなどと話し合いは進むのである。

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☆これも筑駒の社会の問題。これは縦軸が「100世帯当たり」という条件が重要。選択肢のチェックはすべて「置き換え」スキルでいけるが、100世帯に換算しながら、考えていくから、二重に「置き換え」スキルが必要になる。しかし、「置き換え」スキルだけでいけるし、正しいものを2つという限定があるから、これは先の問題と同じようにグラフの読み取りの問題であっても幾分正答率は高くなるだろうといった感じで話していく。

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☆この問題も今年の筑駒の社会の問題。最初の2つがグラフと選択肢の文の「置き換え」問題だが、こちらは文章と選択肢の文の「置き換え」。結局、具体と抽象の置き換えということ。3つ目の問題は、結局長文を要約に置き換えるスキルが必要で、筑駒に挑戦する生徒にとっては簡単だが、一般には結構難しいだろう。

☆なぜだろう?筑駒に挑戦する生徒には、「〇〇学」というのは、他のケースを知っている可能性があり、それがアナロジーとして、実は文章を読まなくても、できてしまうからだ。入試だから、念のため長文を読んで確認はするだろうけど、それは読解力というほどのものではないだろう。

☆ところが、一般には、小学校段階で、そもそも「〇〇学」という概念ができていないから、長文をきちんと読解する必要がある。確認程度かきちんと読解するか。こんなところに、入試という場面では差がでてくるのだが、いずれにしても、3つともA2思考力の領域。ただ、スキルの多様性の違いと「すべて」か「2つ」かの選択条件の違いで、正答率は変わってくる。

☆こんなことを話しながら、模試を受けたり学校の過去問を解いたりしたあとの振り返りで、自分がどの思考力の領域が強くて弱いのかがデータで分かれば、弱みの思考領域で、自分はどのスキルを活用できていないのか絞ることができる。

☆思考トレーニングの優先順位がわかるから、学びの戦略プランをより具体的にたてやすくなる。まして、思考力入試では、B2思考力やC3思考力を必要とする。ただし、ものの見事にA領域は使わないのが、2科4科の思考力型問題との大きな違いである。

☆先の筑駒の問題でも、いくつかの選択肢は与えられた文章やグラフというデータ以外に知識も要求されるものもあった。思考力入試では、そこは資料として提示されていたり、配布されたiPadで調べることができるようになっている。もっとも、すでに体験したり読書したりしている知識をアナロジーとして活用できるかどうかの個人差はどうしも出てしまう。

☆しかし、それこそその生徒の学びのポートフォリオだし、それが個性や才能を形作っていると評価できる。思考力入試が才能発掘入試であるというのは、そういうところだろう。

☆山下氏は、こういうグルグル眩暈がするような対話を、実用的にシンプルにわかりやすく生徒と共有でききないものかと、考え続けている。これはしかし、思考力入試を開発した先生方の魂と共振共感するところでもある。

そんな思いが、「偏差値アップ指南書」というテキストとしてカタチになった。2月19日は、その共振する魂をもった先生方3人と山下氏はパネルディスカッションをするわけだ。スリリングでおもしろい議論となるだろう。

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☆おっと、大事なことを確認するのを忘れるところだった。「思考コード」によって、従来「知識」と「思考」の間にあった分断線を消し去ることができる。まさに「中学入試革命」は、学びのコペルニクス的転回なのだ。

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