2018年中学入試のベクトル【06】 黄金の生徒獲得戦略 三田国際・工学院・香里ヌヴェール
☆今回実におもしろかったのは、三者の中学入試市場の性格が相当違うという条件があるにもかかわらず、生徒獲得戦略の組み立て方の「セオリー」が議論されたことである。
☆平方校長から、東京の小学校卒業生の私立学校進学率の説明があった。ここのところ、私学に進学する数はざっくり15,000人で、進学率も17%くらいでること。東京都の私立中高一貫校の定員数は、およそ25,000人だから、東京都在住の生徒だけでは、定員割れを起こす学校がたくさんあるはずだが、そこは首都圏全体から東京の私立学校に通学してくれる生徒がいるから成り立っていると。
☆しかしながら、23区と都下では、私立学校進学率は全く違うのだと。
☆大橋学園長は、23区で生徒獲得戦略を組み立て実行し、平方校長は、八王子市を拠点に生徒獲得戦略を組み立て実行している。この両者の市場の性格の違いは、しかし、地区別にみるともっと鮮明にでてくる。
☆進学者総数は、世田谷区と八王子市では全く違う。それでも八王子市はベスト18位で、私学に進む数は少ないとは言えない。しかし、進学率はといえば、世田谷区は33%、八王子は7%である。違いは歴然としている。これは意識というより、家計の違いであることは言うまでもない。
☆したがって、三田国際と工学院とでは生徒獲得戦略はおのずと違ってくる。また石川学院長が現在拠点としている関西はまた、まったく違う。特に石川先生の場合は、香里ヌヴェール学院全体をマネジメントしているから、小学校、中学校、高校が同じ場所にあるにもあかかわらず、生徒獲得戦略は違うのだということを実感した。大橋先生、平方先生は、ある意味関西の市場の状況は、東京の未来である可能性が高いから、先手を打って攻防できると石川先生の話に興味をもったようだった。
☆しかしながら、3人の先生の生徒獲得戦略のビジョンやコンセプトは共通するものがあた。おそらく、この共通するところが、生徒獲得戦略のゴールデンセオリーなのであろう。
☆違いは、交通インフラや、試験日設定、広報ツール、新しい試験、とくに思考力と英語はキーワードだが、そのスタイルはそれぞれ違う。
☆ところが、一般にどうして3校は成功したのかといったとき、その違う部分をみて、それを取り入れる。そして、うまくいかない。それは、自分の学校が置かれている市場の状況が違うのだから、そのツールが、その市場のニーズにマッチングしているかどうか計算しないからだ。
☆そして、最大のミスは、生徒獲得戦略のゴールデンセオリーを学ぼうとしないことだ。もちろん、このセオリーは、高偏差値で生徒募集もうまくいっているところは、関係ないかもしれないが、もしも、そのような学校がセオリーを学んだなら、2018年から激しく少子化傾向が強まる市場の状況に対応できるだろう。
☆このゴールデンセオリーの最大効果を発揮したのは三田国際学園である。大橋先生に、そのセオリーを多くの人が学ぶべきだろう。
☆そして、その結果、黄金の生徒獲得戦略セオリーが全体に波及すれば、保護者も、私学に通わせるために、家計をどのようにやりくりするか、あるいは増やすためにどうするか考えるようになるから、中学入試市場が活性化し、中学入試の経済効果は広がることになる。
☆そうすると、塾も経営拡大することになる。しかも経済が活性化するだけではなく、起業家精神旺盛なグローバルリーダーも輩出されるから、入試市場の枠を超えて、国際政治経済社会に貢献できる状態にまでなる。
☆教育が政治経済社会を変えることができる。政治経済社会が盤石になれば、永遠平和というカントの理想も実現できる。これは≪私学の系譜≫の夢でもある。
☆私たちが応援すべきはいかなる生徒獲得戦略を有している学校なのか。2017年中学入試は、そのことに気づきはじめた保護者とその保護者が頼りにする塾が増えはじめていることが鮮明になった。だからこそ、三田国際学園、工学院は中学入試市場で支持されているのだ。関西でも石川学院長は、その教育と経済の関係の重要性に気づくイベントをどんどん進めていくという。
☆2月19日は、希望の私学人と新しい中学入試市場を牽引しようという首都圏模試センター両者の極めて重要な戦略について学べる日となるだろう。
☆私たち1人ひとりの選択が、意思決定が、この世界をよりよき社会に転換できるのである。1人の力は弱いかもしれないが、その意志の力は、測り知れない潜在的能力を有している。そこに希望がある。
| 固定リンク
« 2018年中学入試のベクトル【05】 思考力革命 ジャーナリストが動き出した! | トップページ | 2030年教育動向(18) アサンプション国際小学校 全学年全教科で「主体的・対話的で深い学び」 »
「中学入試市場」カテゴリの記事
- 2019年中学入試の新フレーム(194) 聖学院 人気の理由は「垂直比較」(2018.07.25)
- 2019年中学入試の新フレーム(193) 順天 自分の未来を変える教育(2018.07.23)
- 2019年中学入試の新フレーム(192) 2021年度早稲田大学入試改革ショック!(2018.07.22)
- 2019年中学入試の新フレーム(191) 和洋九段女子 合格ナビゲートの冊子つくる。(2018.07.21)
- 2019年中学入試の新フレーム(190) 水都国際中学校・高等学校 全貌公開もうすぐ!(2018.07.20)
最近のコメント