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世界の創り方【01】World Making Systemの時代

☆首都圏中学入試というのは、大学入試に直結しているというよりも、その先を見据えて出題されているケースが結構多い。その象徴的な動きが今年の中学入試で注目を浴びた「思考力入試」や「思考力型問題」。

☆ディプロマポリシーが、いかなる時代の変化にも耐えられる知性、感性、気概などなどを身に付け、未来の道を切り拓いていくことに主眼があるから、当然カリキュラムポリシーもそれを実現するシステムのコンセプトを描くことになる。

☆ということは、アドミッションポリシーも、そのようなカリキュラムポリシーやディプロマポリシーを受け入れ、伸びていく潜在的能力をみる問いにならざるを得ない。

Wms

☆とはいえ、20世紀社会では、近代合理的社会を新自由主義的な政治経済社会に仕立て上げるかなり想定された成長神話づくりだったから、予め必要な知識はわかっていたし、社会のルールもメンテ程度でよかったから、新自由主義的な政治経済社会の枠の中で椅子取りゲームをやることがサバイバル能力だった。

☆その能力は、文部科学省が実によく計算して学習指導要領に配列して作成してきた。学び方は、系統的学習か探究型学習かは振り子のように振れたが、学ぶ次元は、「知識―理解―応用」という体験主義と体験のあとにその体験の意味を説明され記憶するところまでだった。

☆それゆえ、知識を大量に憶え、引き出しだすいように創意工夫したものが勝ち組になった。

☆ところが、20世末から、日本の学習指導要領のシステムが、OECD/PISAなどを介して、世界標準のモノサシにマッチングしているかどうか怪しくなった。日本でトップの成績をとっても、世界の問題解決能力を身に付けている海外の生徒と議論がまともにできない日本の生徒であることが徐々に明らかになった。

☆脱ゆとりと称して、系統的な学習のコンテンツを増やし、その難度をあげたが、ベクトル違いだった。系統学習か探究学習かではなく、「知識-理解―応用」まででよいのか、「論理的思考―批判的思考―創造的思考」まで学ぶ必要があるのかという議論をすべきだった。

☆それがようやく、2020年大学入試改革を行うにあたって、文科省も了解するに到った。そして、「知識-理解―応用」=「低次思考」から「論理的思考―批判的思考―創造的思考」=「高次思考」にシフトするには、やはり「議論」「対話」というものを織り込む授業が必要であることにも気づいた。それがアクティブラーニングなのかPBLなのか、方法論は多種多様である。

☆大事なことは「高次思考」「議論」「対話」「問い」なのである。そしてこれを数学的に表現すれば「思考コード」になる。「思考コード」にしなければ、クラウド上で学びの在り方を共有できない。今のところ、クラウド上で共有する現場はほとんどないから、「思考コード」の重要性に気づいている学校は少数だ。

☆それに、学習指導要領は、変わるといっても言説(文化負荷的な言語)が20世紀型のものを多く含んでいるため、いざ新しく動き出そうとしても、20世紀型教育言説に引きずられ、元の木阿弥になっている教育現場もたくさんある。

☆20世紀型教育言説に引きずられていては、新自由主義的政治経済社会の枠組み自体が崩れようとしている今、脱構築とか新しく世界を創ろうという動きに飛ぶことができない。

☆既存の世界の枠組みの中に適用・応用できる知ではなく、新しい世界を自ら創る創造知が必要な時代がやってきたのである。一握りの人間が世界を創るのではない。すべての人にとってのWorld Making System(WMS)の時代がやってきた。

☆このWMSを構築するとき、20世紀型教育言説や学習指導要領からいったん自由になる必要がる。 それゆえ、英単語で図を描いてみた。

☆それから、新自由主義的な政治経済社会が崩れるのはなぜかというのは、端的には、ICTという生産手段が、万人が所有できる時代になったからである。もちろん、Webにつながっているものでなければならないが。

☆生産手段、創造ツールと置き換えたほうがよいだろうが、この創造ツールが高次思考をすべての子どもたちのものにする。これによって、「御三家」なる新自由主義的政治経済社会の象徴的言説は消失するのである。

☆この意味で「御三家の終わり」や「東大依存型学校の終わり」なのである。すべての子どもたちにとって、この「終わり」は、希望への始まりなのだ。現状の経済の低迷。それは世界経済の終わりではない。新自由主義的政治経済社会の終わりなのであり、世界経済のパラダイムが変わる局面であるだけなのだ。ようやくミネルバの梟は灰色の空から自由になり、希望の鳥として未来の光に向かって羽ばたくのである。

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