富士見丘 最良の女子校<03>受験知ではなく探究知へ
☆富士見丘が最良の女子校であるという3つ目の意味は、「3)未来を創る:富士見丘の女子教育が未来を創る」。
☆未来を創るというのは、富士見丘生1人ひとりの未来を創るという意味とそのことが社会や世界の未来を創ることにもなるという意味の2つが含まれている。
☆どこの学校でもそういうことは提唱するだろうと思うかもしれない。たしかに言うことはできる。しかし、SGHである富士見丘のように、「サステイナビリティから創造するグローバル社会」をテーマとする一大プロジェクト学習を実施できるだろうか?
☆しかも総合学習で実施することになっているが、実際には、はみ出ている。授業外でも、生徒は探究しているし、教室を出て、東北や海外にまでフィールドワークに出かけるのだから。
☆そして、ここが意外とポイントであるが、生徒が主体的に探究活動に没入していけるサポートシステムもちゃんとあるということなのだ。主体的で対話的な深い学びというフレーズもあるが、どうやって主体的になるのだろう。
☆多くの場合、主体的にならねばならぬと道徳的訓話を教示するので終わるのではないか?なるほどそれも外発的動機付けで、間違いではない。しかしながら、「主体性」というのだから、内発的動機付けがあることにこしたことはない。
☆これはなかなか難しいというのは、誰でも経験済みだろう。ところが、富士見丘の場合、「5×2」という自主研究のシステムが長年引き継がれ、定着している。中1から高2まで、生徒1人ひとりが1つのテーマを探求していく活動。「5×2」というのは、月曜日から金曜日は、教科の授業が中心に組まれていて、土曜日と日曜日は、自分の関心のあるテーマを調べて、議論して、プレゼン内容を編集していく探究の機会になっている。
☆とはいえ、探究時間に区切りはない。平日も先生方と対話は続く。このような「自主研究5×2」というシステムとSGHのプロジェクト学習がシナジー効果を生まないはずがない。
☆富士見丘の教育は受験知を養うのではなく、探究知を養うのである。それゆえ、その探究の学びが、そのまま各大学に接続する。本来の意味でのAO入試や2020年大学入試改革で重視されるようになる学習履歴が極めて有効なのだ。
☆大学の研究は、理系的な研究もあるが、文系におけるビジネス分野でも必要だ。ビジネスというと、かつてなら大学の研究なんて不要という時代もあっただろう。
☆ところが、経営学や心理学、コミュニケーション学などコンピュータサイエンスを駆使する場面が、実際のマーケティングで必要とされるから、学問的な研究を通過することは役に立つのである。
☆もともと受験知というのは、日本のように近代国家建設が遅れてきた国に多く見られる。成熟した近代国家では、受験知ではなく、探究知を養リベラルアーツが重視される。
☆大学受験勉強から大学入学準備教育へという2020年大学入試改革の流れは、端的には受験知から探究知へというパラダイムシフトのことを意味している。
☆今までは探究知があっても受験知がトレーニングされていないと大学に進むことができなかった。それが慶應SFCが初めてAO入試を導入してから、緩やかに受験知から探究知にシフトしてきている。
☆受験知では、既存の組織で椅子取りゲームで勝利することはできる。しかし、その既存の組織が揺らいでいる。もはや新しい組織を創り、サスティナビリティを生み出す時である。
☆自分の未来を創ることで、社会や世界の未来に貢献できる人材育成には、富士見丘のような探究知を養う良質な教育が必要となる。
☆20世紀型教育は、受験知を養成してきた。21世紀型教育は探究知を養成する。いまだに量的成長神話を信じ、男女の格差はいたるところにある20世紀型社会をひきずっている日本。
☆戦争や恐怖政治があっても、その中で人間はなんとか幸せを見つけようとする、恋もする、結婚もする。子どもも誕生する。自分が幸せであればよいのかもしれないが、その幸せもいつ理不尽な目にあうかもしれないのだ。
☆そんな環境で善いと思う人はいるだろうか。自分の幸せを持続可能にするためには、社会や世界の幸せが持続可能にならねばならない。そう感じることができるかどうかが肝なのだが、富士見丘の教育はそこに真正面から真摯に取り組む教育なのである。
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