2017年東大合格情報の季節【05】 横浜翠嵐の神奈川私学へのインパクト
☆インターエデュによると、今年の横浜翠嵐の東大合格者数は35名。昨年20名だから躍進といえるのだが、この意味は神奈川エリアの私学にとってはディープインパクト。
☆しかも、横浜翠嵐は、京大に8名、一橋に12名、東工大に16名、早稲田に145名、慶応に126名の合格者を輩出している。
☆今年創立103年目を迎えるエリート輩出伝統校である。しかしながら、全国区で、有名というわけではない。あくまで、神奈川県内でのブランド校である。
☆そして、ここが問題なのである。公立学校は、地域のこどもたちの今、そして未来を支える本来の機能があるから、横浜翠嵐は極めてまっとうな働きをしているのである。
☆一方、私学は、その理念の表現は違うが、多くは人類普遍の原理を理念としている。したがって、世界的視野、国際的視野、グローバルな視野は欠かせない。
☆ところが、神奈川県の横浜翠嵐を頂点とする学歴構造に取り込まれ、その中での大学合格実績競争に没入してしまっている。
☆2011年3・11を経験する前までは、それでよかったというか、その枠組みしか見えなかった。しかし、重大な経験をして、東京や千葉、埼玉の私学は、予測不能な未来に備え、それを乗り越えるクリエイティブクラスを育成する21世紀型教育にシフトしている。
☆そのとき、神奈川私学は動かなかった。大学合格実績競争を横浜翠嵐としなければ、中学受験で偏差値の高い生徒を獲得できないと判断した。しかし、一丸となって、そこに立ち向かう必要はなかったはずだ。
☆「東大依存型学校」を標榜している聖光やそれに追随する浅野やサレジオ学院、洗足に競争は任せて、独自路線をいくべきだった。偏差値序列の市場ではなく、21世紀型教育市場を自ら開拓したほうが得策だった。
☆この東大依存型競争は、東大の定員が限定されているから、自ずと市場は縮小する。ところが、今はまだ大学合格実績で目立った動きはそれほどないが、21世紀型教育を推進している学校は、合格実績を飛躍させるときがくる。
☆横浜翠嵐は、103年の歴史を有している。20世紀型教育を推進し、実際に20世紀日本社会を支える人材を輩出してきた。その社会は学歴社会という、欧米とは少し違う階層構造である。欧米だって、結果的に学歴社会であるが、それは階級構造が前提になっている。そして、その階級構造に異変が生まれている。もっとも崩れるというのではなく、その構成要因の質が変わってきているということだろうが。
☆日本も、当面横浜翠嵐のような公立学校が存在する限り、学歴社会はそう簡単に崩れない。ただ、日本の学歴社会は、世界標準ではそれほど有効ではない。
☆欧米の階級構造は、この構造を維持するために、イノベーションやクリエイティビティを大切にする。この領域で活躍する人材をクリエイティブクラスと呼んでいるが、超富裕層は、このクリエイティブクラスを階級横断的に受け入れる特色を貴族の時代からもっている。
☆そして、そのたびにひっくり返され、ひっくり返されてはまた元に戻すという大きな流れがある。
☆日本の学歴社会の枠外のクリエイティブクラスのメンバーは、日本では受け皿がないから、自ずとその世界の階級構造の中に吸収されていく。そこで力を発揮する人材もたくさんいる。
☆しかし、それは今はまだ目立たないが、、この階級構造の中で、新たな動きがある。それは、強欲資本主義から創造的資本主義に移行することが望まれているという流れ。この移行が正しいかどうかはわからない。しかし、公正的正義を理念に創造的才能を活かせる空間が広がることは有益であることは間違いない。
☆すでに、東南アジアのクリエイティブクラスは、その流れに乗り始めている。東大を頂点とする学歴社会の枠内で学んでいては、枠外の国際的な流れに乗れない。乗らなくても国内で生きて行けるからよいのだと言うのだろうか。
☆人口が多い時代はまだそれでよかったが、そんなことを続けていたら、気づいたときには、日本全体が、クリエイティブクラスに使われる機関としてしか機能しなくなっていくだろう。
☆インドネシアという3億人弱の国がある。首都ジャカルタの中心地は、ニューヨークかと思うような勢い。そしてその周縁は、あまりに凄まじい格差社会になっている。一目瞭然だ。それを見て、日本の社会は、まだまだ大丈夫だと思うだろうか。
(ギャラリーで香港や日本で行うグループショーの企画を話し合うクリエイティブクラス)
☆インドネシアのミドルクラス以上は、28%くらいだ。日本は50%以上だろう。だから、まだまだ大丈夫だと安心するのだろうか。人口実数でみてみると、インドネシアのミドルクラスは、8000万人くらいいる。すでに日本は大転換しないとヤバイ。このままいくと、日本の子どもたちは、東南アがジアのグローバル市民と対等にビジネスも外交もできなくなっているだろう。
☆学歴社会で、東南アジアのグローバル市民と対等にビジネスをしたり外交をする官僚出島をつくっていても、対応できないのである。
☆インドネシアでは、ミドルクラスは、英語を日本人のエリートより流ちょうにつかいこなす。8000万人が程度の差こそあれそうする。彼らの進学先であるインドネシアの大学のうち3大学はクリエイティブクラス養成学校だ。
☆東大に比べて世界ランキングは、低い。しかし、THEでいけば300位前後。早稲田や慶應より高いのである。しかもみな英語以外に多言語を使う。彼らは、ノートパソコンやタブレット、スマホを常に持っている。
☆ギャラリーに行って、軽やかに英語で対話をしている人々。スマホを見せ合いながら、商談を行っている。この作品は、マンションの一室分くらいですねと笑顔で話し合っている。そこは世界のアーティストの作品が並んでいる。
☆そこには、キュレーターもアーティスト、コーディネーターもみなクリエイティクラスとして、それぞれの役割をつなげている。クリエイティブクラスのネットワークは、たしかにある意味ユダヤ人ネットワークや華僑のような存在になりつつある。
☆宗教や家のネットワークではなく、創造性を生み出すネットワークであるというところが、時代の転換の流れではあるが、かといって、クリエイティブクラスが単独であるわけではない。複雑なネットワークを統合している集団。
☆ここでは、階級構造は、1つの結節点でしかない。
☆ちょっと話が長すぎたが、元に戻ろう。神奈川私学は、学歴社会という世界ではほとんど有効でないネットワークに取り込まれるのではなく、その外枠にあるクリエイティブクラスのネットワークをつなげる人材を育成する21世紀型教育にシフトするグループがでてきていよいと思う。
☆今年、横浜女学院から、東大合格者が1人でたが、推薦入試で合格している。東大もまだまだ学歴社会という枠内での学びを通過してくる生徒をたくさん回収しているが、帰国生入試と推薦入試などで、転換しようとしていることも事実だ。
☆横浜女学院のように、新しい教育のカタチを実践している学校が注目される動きがでてきた。横浜翠嵐と勝負する東大依存型私立学校を選ぶか、その枠外の世界で、クリエイティブクラスとジョイントできる人材を育てる横浜女学院ような学校を選ぶのか、その選択判断を中学入試に挑戦する生徒や保護者に迫る時代がついにやってきた。これが横浜翠嵐の神奈川私学に対するディープインパクトということではないか。
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