2018年中学入試のベクトル【07】 実践女子と大妻中野の改革の意味
☆すでに3月3日大妻中野は、グローバルクラスとコアコースという一般クラスの壁を撤廃し、学年全体でグローバル教育を押し進めることを宣言した。
☆同校サイトにはこうある。
本校は2008年度にグローバル・スタディーズ・クラス(以下「GSC」)を設置し、グローバル教育の先進校としてGSCを一学年に1クラスという形で、展開してまいりました。しかしながら、グローバリゼーションの急速な進展、それに伴う社会からの要請が増している中、学校全体にグローバル教育を一層推進していくことが、本校の社会的使命であると判断致しました。平成30年度(2019年度)からは実践女子学園が10年間にわたり作り上げて参りましたGSCの教育プログラムを全クラスに応用し、これまでの実績を活かした真のグローバル教育を目指す新しいカリキュラム編成をスタート致します。そのため、平成30年度入試よりGSCの募集は行わないことと致しました。
☆この2校にみられる2つのクラスの壁の撤廃は、生徒1人ひとりの才能を見いだし、公平な学びの環境を創りだす21世紀型教育路線の明快な宣言でもある。グローバル教育やアクティブラーニングをやっているだけでは、それは20世紀型教育でもできることだから、はっきりしない。
☆また、実践女子の中学入試は、帰国生入試、2科4科入試以外に英語入試、『言語活動を重視した探求型授業』を視野に入れた「新テスト」といういわゆる「思考力入試」を行うことも、同サイトページで公表している。
☆探究型授業というカリキュラムポリシーを反映した新テストというアドミッションポリシーを明快に表現したと言える。
☆かくして思考力を重視し、学校の顔として新テストや英語入試を行うというのであるから、思考力革命、中学入試革命へのベクトルが学内にあることが明らかになった。
☆実践女子と大妻中野の改革ベクトルは時代を牽引する革命的な路線とシンクロすることになる。共立女子は、すでに合科型入試を実施しているし、2018年入試では英語入試も行う。これで、実践、大妻、共立という≪私学の系譜≫である女子校による21世紀型教育改革の束がまた太くなった。
☆この流れは、一見2020年大学入試改革対応のために動いているように見えるが、台頭するシンガポール、マレーシアのイスカンダル計画、インドネシアのクリエイティブクラスなどの東南アジアのディープインパクトに耐えうる私学革命を意味する。
☆日本に限らず、先進諸国で、教育におけるガバナンスの機能不全を起業家や非営利団体などの教育イノベーションによって解決している。日本私学はある意味法人型NPOであるから、実は不思議なことに、世界の教育イノベーションのプロトタイプなのである。
☆またまた大げさなといわれるだろうが、首都圏の私立中高一貫校の生徒数とフィンランドやシンガポールの高校生の人数はそう変わらないのである。
☆特に東京という一つの都市に、これほど私立学校が集積しているエリアは、日本でも珍しいが、世界でも珍しいことなのである。戦後の希望を私学人が教育基本法成立時に埋め込んだ。ガバナンスから相対的に自由な領域として法律で保守する知恵を働かせたのだろう。先見性ということなのだろう。
☆私立学校の中学入試やカリキュラムの21世紀型教育改革は、2030年ころから振り返れば、そういう意味があったのだということが明らかになるだろう。
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