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2018年中学入試のベクトル【09】 日経 桜蔭の記事のおもしろさ

NIKKEI STYLE 2017年3月18日の記事≪「東大に一番近い女子校」 4つの黒板とノート術  私立桜蔭中学・高校≫がこれまたおもしろい。

東京大学合格者数で女子校トップを走り続ける私立桜蔭中学・高校(東京・文京)。4人に1人が東大に進学、しかも生徒の7割近くが理系に進み、難関大の医学部の進学実績も伸びている。女性の医師や研究者、官僚に加え、起業家などの経営者も輩出。「東大に一番近い女子校」の強さの秘密とは何か。

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(中満泉氏は、フェリス出身。マザーテレサに影響されて世界の痛みを引き受ける活動を開始した。桜蔭からもこのような人材がもっと輩出されてもよい。中満氏は、早稲田出身だが、そこからジョージタウン大学大学院に進んでいる。東大だけが大学ではないはず。)

☆とあるが、その秘密は、「4つの黒板にしかも授業前に問題を解いておく学校」だからだというのである。また「ノートの左側ページに自分の解き方を書き、右側に先生や他の生徒の解き方を写し、比較して、考えながら自分独自のノートを作成」していくようなノート術にあると。

☆もちろん、黒板に解答をスラスラ書き込み、創意工夫したノートを作成できる桜蔭の生徒の頭脳にこそ秘密があるのだろうが、その頭脳を鍛える4つの黒板とノートが凄いのだと。

☆本当だろうか?廊下や教室の壁が全面ホワイトボードで、そこにすらすら反転学習よろしく書き込む生徒のいる学校は、他にもいっぱいある。黒板とは違いホワイトボードだが。

☆ノートではないけれど、iPadでクラウド上に、学びのポートフォリオを蓄積し、いつでもどこでも取り出し、リフレクションしながら学びを深め、思考を深めていく生徒がたくさんいる学校もある。

☆だからといって東大には近くはないかもしれないが、世界の大学に開かれているかもしれない。欧米の医学部で学び、国際的に通用する医師免許を取得する可能性も大だ。

☆しかし、それは桜蔭の生徒にも開けている。ただ、20世紀型教育の象徴である黒板とノートでトレーニングをしているために、桜蔭ほどの頭脳をもった女子生徒の進路が限られているのだ。なんてもったいないのだろう。

☆21世紀型教育の環境を桜蔭が整備した時、すでに入学前から普遍的な高次思考力を持っている桜蔭の生徒ならもっと才能を開花するのではないか。

☆「東大卒タレントの菊川怜さんなど芸能界で活躍する卒業生もおり、イメージはだいぶ変わった」とあるが、それが桜蔭が変わることであるのか?もちろん、菊川怜さんの人生選択はそれはそれでよいのだが、ことさら東大卒タレントを輩出することが桜蔭が変わることなどというのは、本質的な視点ではないような気がするが。。。

☆むしろ、OGとして例に挙げるなら、「蟻の町のマリア」北原怜子さんや2006年6月、ニューズウィーク誌で、「世界が認めた日本人女性100人」の一人に選ばれた弓削昭子さんのような人材がどんどん世界で活躍する学校であるはずではないのか。

☆本当は普遍的な歴史を越境するような知を豊かにできるのに、20世紀社会の枠内で活躍するだけではもったいないのではないだろうか。この記事は、桜蔭が20世紀型教育という枠の中に優秀な頭脳を閉じ込めていることをあえて極端に表現しようとしているのかもしれない。

☆桜蔭の入試問題や論文編集指導などをみれば、高次思考という21世紀型能力を養う機会はたくさんあることがわかる。しかし、一方でその21世紀型能力を活用する場所がもっと多様でよいはずなのだが、そうならない秘密は、皮肉にも、4つの黒板とノート術にあるということになってしまうのかもしれない。

☆同誌の「出世ナビ」という発想も、時代の変化やイノベーションの取材を続けてている日経グループの全体像に照らし合わせれば、どこか違和感があるが、それは、いまだにこの枠組みで大いに語れる学校や企業があるという、どこか不思議さがあるということを示唆しているのかもしれない。

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