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アーチェリー銀メダリスト古川高晴氏に才能発掘と開花を学ぶ

☆NHK BS1の「めざせ!オリンピアン」2回目の再放送を見た。NHKサイトにはこうある。

五輪で活躍した選手が次世代の逸材を訪ね、世界と戦う極意を本気で伝授する姿をドキュメントするBS新シリーズ。第2回は現役最強の古川高晴が指導者のいない中学3年を本気指導の相手に指名。我流で習得したフォームの重大な欠点を即座に見抜き、根本原因を探り当てる。

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☆NHKのこのタイプのストーリーは、現役最強の選手が、次代の才能者を見いだし、直接指導するということを本人に告げるサプライズから始まる。そして、選ばれた才能者は、その感動を抱きながら、指導を受けるが、そのチュートリア方式の指導は、自分のやり方や考え方を変える、精神的にかなり過酷な衝撃に襲われる。

☆何度も挑戦するがうまくいかない。心が折れそうになるが、常に俺を信じろという声が耳元できこえる。最強選手がモデルを見せてもくれる。

☆瞬間的かもしれないが、絶望の淵においやられるのだが、そこからその声に姿勢に励まされ、再び挑戦する。その後どうなるか、それはまたもしかしたら、ドキュメンタリータッチで編集され放送されるかもしれないが、それはわからない。

☆しかし、視聴者には、才能者がさらに自分を変容させて才能の質を高めていることは十分に伝わってくる。児童文学の成長物語風になっていて、見るものに感動を与える。ある意味見事なプレゼンテーションである。

☆プレゼンテーション?そうストーリー仕立ての背景にある意味が実は隠されている。それは、日本の若者に、アーチェリーの才能をどうするかを伝えたいのではなく、君がもっている才能を発掘し、同じようにそれを開花する学びに気づいてほしいということなのだ。

☆古川さんの15歳の才能者の発掘方法や才能開花のプロセスは、道を探求する学びそのものなのだ。それをアクティブラーニングと呼ぼうが、PBLと呼ぼうが、主体的で対話的な深い学びと呼ぼうがなんでもよいが、その具体的サイクルが重要である。

☆古川さんは、15歳の才能者とこまめに対話する。抽象的だったり感情語を一言二言語っていると、もう少し具体的にどこがどうちがうのかコメントするように要求する。

☆常に、ビフォー&アフター(BA)の差異を明確に言語化することを求める。そして、その分析したことを、イメージに統合する。そのために何度もトレーニングする。

☆分析するには、タブレットで自分のフォームを撮影し、モニタリングしていく。メタ認知の発動だ。そして、自分のイメージが感性として身体にのびやかに広まった時の瞬間を忘れないように、その瞬間の後BAの差異について古川さんは才能者と対話する。

☆その瞬間というタイミングを見逃さない古川さんのコーチング方法こそ、ヴィゴツキーの最近接発達領域を見抜く極意なのである。

☆この番組を見て、古川さんの才能発掘と才能開花の学びのプロセスを上記の図にしてみた。オレンジの部分はすべて対話。ブルーはアクション。対話とアクションの連鎖。全体を俯瞰して、変容点の優先順位を決め、まずは優先順位の高い点を改善していく。

☆おそらくそれが改善されたら、次へと同じようなサイクルで進むのだろうが、大事なのは、そのときも全体を俯瞰するだろう。というのも、今回の才能者の押し手の働きが改善されれば、それに連動して、また全体のフォームが変わっているから、最初に想定していた優先順位も変わるからである。

☆それにしてもおもしろかったのは、古川さんは、才能者の矢の行方を気にしていないことだった。矢を放つその瞬間までのプロセスを徹底的に分析し、統合し、身体化という感性の質を常に気遣っていた。

☆高得点を出すことに意識を集中させることによって、そのプロセスに歪みが生じることを知っているからだ。最適なプロセスを稼働させることができれば、高得点は自ずとついてくるということだろう。

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