問いの作り方【01】条件という方法
☆では、どうやって探っていけばよいのだろうか?それは、問いを集めて分析してみるよりほかには、なすすべはない。おそらく、今までの入試とは違って、問いの作り方を、IBのTOKなどをかなり意識して作成されているという東大推薦入試やそれに相当する京大特色入試を実際にみてみるのが手っ取り早いだろう。
☆2017年の東大推薦入試工学部の小論文だが、どうってことはない問いのように見える。しかし、過去のことは「簡単に」とか、期待する3つの技術の「相乗効果がもたらす・・・」などという条件がついている。
☆この条件は、なくても問いは成り立つが、なにゆえに、設定したのか?それは、条件を付けないと、世の中にある一般的な事実を長々と書き綴ったり、想定できる新たな技術の機能紹介で終わってしまいかねないからだろう。
☆つまり、もう少し深く考えてという示唆だ。このように、一般的な問いに条件を付け加えることによって、思考の広がりや深さを要求できるということ。
☆よく正解が1つではない問いと言われるが、これは、ともすれば、なんでもありになるおそれがあるから、それを回避するための何らかの方法が必要だということだろう。
☆その何らかの方法に「条件を加える」というのがある。3つは一見違うけれど、そのつながりについてまで考えて欲しいということを方向付けるわけだ。
☆「キノコとリンゴ」は一見関係ないけれど、生態系上つながりがある。そんなつながりを見いだしてねという問いの作り方。ちょっとシンプルではないけれど、問いというもの機能がこれで了解できる。
☆それは、問いとは思考の範囲と次元を設定するトリガーなのだということ。正解が1つではない問いに対する結果の多様性なのではなく、思考の過程の範囲と次元を設定できるかどうかがカギなのである。その範囲と次元が思考の多様性や豊かさを生み出すのだ。
☆問いの作り方の根本は、表現方法もあるが、その前に条件が相手に提示できるかどうかが重要だということが、この問いの作り方から了解できる。
☆このことが了解できれば、「主体的・対話的で深い学び」がトリガークエスチョンの設定の仕方によって、組み立てが変わるということも見えてくるだろう。
☆こうして、問いの作り方とは、「どういう設定をするのか」と「主体的な行動がどこで起こるのか、対話の過程の組み立てがどうなるのか」という2つの関係を埋め込むことであるということがなんとなくわかるのではないか。
☆先の東大の問題で言えば、もし条件をはずすと、授業は、
①まずやってみよう
②やってみたら、単純な回答になってしまった生徒の文章をみて、
③そこで、問いの重要性について考えてみようとリフレクション。広さとか深さはどうなのか?
④あっ、なるほど。もう少し時間をくださいという感じの気づきを生む。
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☆という対話型授業を想定することになる。対話思考ができるチームの場合は、②から④がショートカットできるから、先生と生徒の対話ではなく、チームごとの対話に委ねてしまうこともできる。
☆したがって、生徒の学びの状態、チームの対話の質、授業時間数など諸関係を考慮して、問いの設定がはじめて成り立つのだ。
☆問いの表現だけあれこれ考えても、だからなんだということになる。
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