希望の私学「工学院」【01】期待がかかる理由。
☆少子高齢化が進む日本。人口学的にかなりヤバい。成長神話が崩れたとはいえ、まだそれにすがっている学歴社会信奉者。東大にいけば、平均年収1500万円とか1600万円とかいう自己保存の法則で動く日本。優勝劣敗は明治政府の富国強兵・殖産興業の正当化論。今も脈々と続いている。それでいいのかと思いつつも、打つ手がない。
☆何せ、価値の転換を実現できなければ、どうしようもない。そんなビジョンやメンタルモデルを共有できるのはどこだろう。1人ひとり持ち場で奮起すればよいのだが、それはなかなか難しい。しかし、そんな中で、教育という場で価値の転換への強烈な意志を持って、立ち臨んでいるチームがある。それが工学院大学付属中学校・高等学校だ。
☆4年前から21世紀型教育改革を開始し、中学3年間は、完全に改革を成し遂げた。昨日4月4日、中高の入学式。いよいよ新高1も21世紀型教育改革を行う。
☆入学式で、改革リーダーの校長平方先生は、こう語る。
過去の経験を当てはめるだけでは解決できない混沌とした世界、AI社会がもたらす不確実性の時代には、知識論理型の思考力をしのぐ論理創造型の思考力を育てる必要です。そこで皆さんにはICTを活用したPBL(課題解決型)やPIL(対話型)の学びを通じ、柔軟な対応力と創造力が備わった自己肯定感を持てる若者へと成長してほしいと願っています。
☆つまり、大いに自分の力をつけてほしい。知識論理力ではなく論理創造型の思考力をと。
☆そして、またこう語る。
グローバル市民として活躍するために必要な高度な英語力を習得し、コミュニケーション能力やプレゼンテーション能力を伸ばしてほしいと願っています。
☆つまり、グローバル社会に貢献できる若者に育ってほしいと。
☆≪私学の系譜≫のルーツであるJ.J.ルソーによれば、前者は自己保存能力であり、後者は憐みの情である。これは当たり前のように見えるかもしれないが、ユートピア発想である。
☆実際には、自己保存のために、収奪し、貢献などしないのが人間。まさか!と思うだろうか。優勝劣敗とはそういうことだ。この現実をなんとかしようとルソーは社会契約という制度設計をするのである。
☆なんだ、ルソーなんて古いというかもしれない。しかし、2008年ダボス会議で、あのビル・ゲイツが、強欲資本主義はやめよう。市場で大いに利益を得ることが、同時に社会の格差を払拭する貢献ができるクリエイティブ資本主義を構築しようと語って以来、再びユートピア発想は、動き始めている。
☆もちろん、真逆の動きもある。しかし、その両方の動きが鮮明に表れてきていることが20世紀社会にはなかったことだ。平方校長の発想は、たしかにユートピアかもしれない。しかし、かつてのような社会主義型ユートピアではなく、クリエイティブ資本主義型ユートピアなのである。
☆すでに工学院の生徒は、世界を駆け巡り、フィールドワーク&リサーチをして、新しい市場創出のための経済や法の提案をしている。つまり、21世紀型教育、クリエイティブ資本主義的な市場と法の探究という新たな制度設計を生み出そうとしているのである。
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