かえつ有明 私学革命の先頭に立つ【02】 なぜ適性検査型ではなく思考力入試なのか。
☆同書は、やはり若き哲学者ガブリエル・マルクスのように、社会そのもののパラダイムを変えるアイデアまでは書いていない。「ちくまプリマー新書」というヤングアダルトを対象としている同シリーズの編集コンセプトがそうさせているのかもしれない。
☆しかしながら、「ニセ問題」を見抜き「意味のある問いへと立て直す」クリティカルシンキングを語るところは、少しだけスリリング。しかし、「ニセ問題」という名づけが既に教育的配慮が忍び込んでいて、いただけない。あらゆる問題は、何かのサインなのである。そのサインを読み取るために、「問いの条件設定」をいろいろ考えることがおもしろいし本質が浮き彫りになる。
☆「本質観取」という言説もおもしろいが、「愛」とか「自由」という問題を考えることが「本質観取」に通じる問題で、「椅子」について考察することは、あまり「本質観取」に適さない趣旨のことを言ったりしているところも、アレっと思う。「椅子」こそ人間のマインドを考察するスリリングな概念であるからだ。
☆要するに教育的配慮という枠が、クリティカルシンキングや創造的思考の翼を大きく広げられない阻害要因になっている。もっとも、そこに気づくことが哲学的思考だと言われれば、はるほどと感心せざるを得ないが。
☆というわけで、かえつ有明の佐野先生、金井先生、篠原先生と対話をすると、いつもこの哲学的思考をさらに乗り越えていくことになるので、時間があっという間に過ぎてしまう。
☆そして、この3人の先生方が、同僚と対話するときも同じように話すし、何といっても生徒との対話も同質レベル。つまり、かえつ有明で、アクティブラーニングとか探究授業といったとき、苫野氏の「はじめての哲学的思考」レベルは軽く超えているということを、ここで確認したかったのだ。
☆かえつ有明では、英語の哲学授業が有名だが、こちらはイギリス流儀。佐野先生、金井先生は、大陸流儀の哲学、つまりヘーゲル。篠原先生は米国プラグマティズム。米国プラグマティズムもベースはヘーゲリアンウェイだから、親和性がある。
☆つまり、かえつ有明には、哲学的流儀の2大潮流が生徒の学びに流れ込む。先生方で協働して編集したオリジナルの「じゅぎょうデザインパターン」の1つ「ジレンマへのダイブ」が、日々行われているのである。そこから生徒は創造的問題解決のヒントに気づくのだ。
☆そして、それが「わくわくウェイブ」を生み出す。キャンパスが、いつもわくわくウェイブで満ちていれば、それは魅力的だ。生徒が集まるのは当然だ!思考力セミナーはそれを体験できる。だから、かえつ有明の思考力入試は大人気。適性検査型入試とは違うスリリングな「ジレンマへのダイブ」と魅力を共有できる「わくわくウェイブ」に乗れるのである。
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