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クリエイティブクラス≪05≫ 桐光の知 世界の痛みを引き受け数学的思考で新しい世界を開く

☆桐光の「大学訪問授業」という生徒が知の最前線に毎回立ち臨む授業は、今では説明するまでもないぐらい有名だ。そして、今回も、2016年4月から11月までに実施した20回分が本になった。タイトルは「高校生と考える人生のすてきな大問題」

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☆400ページ強の圧巻の書であるが、もう15冊目。この授業は20年弱実施しているのだろう。継続は力なりではもちろんあるが、何より知の最前線の歴史的変遷がわかる貴重な日本の知の最前線史の資料としての価値もある。

☆これは、東大や京大の大学入試問題を分析していく過程でもわかるのだが、桐光の「大学訪問授業」の資料の方がダイレクトだし、その量も多い。なんといっても多様な分野の授業が行われているから、横断的な視点の進化過程も了解できる。

☆かつては、現代思想を中心とするニューアカデミズムのメンバーが多かった。いわゆる大学人で、生業も研究とその概説書という方々が多かった。それゆえ、使われる言葉も眩惑的なときも、結構あったが、今回のは全く違う。

☆大学でも研究したり授業もしているが、所属の拠点はそれぞれクリエイティブな自分の活動がベースという方が多い。それだけに、経済と世界の問題性が生々しく、研究=生き様=世界を変えるリアリティ=公正的正義の市場創出活動という方程式が成り立っている。つまり、クリエイティブクラスのメンバーがずらりと並んでいる。

☆いずれもおもしろい授業なのだが、森田真生氏の数学が人生の活路を開き世界を変えてしまう話は最高。放物線を見て、そこからデカルトが帝国から近代社会にパラダイム転換する世界を生み出す話など、数学嫌いの私でもワクワクする。

☆中学数学の教科書は、19世紀末までの数学の標本で、高校の数学教科書になると19世紀末に生まれた現代数学以降の標本であるなんて発想に行きつくところもスリリングだ。数学的思考が歴史の次元をヴァージョンアップさせてきたなんてことが、教科書を眺めてかなたに見えるなんてなるほど人生のすてきな大問題だ!

☆それから、内藤千珠子氏の≪見えない暴力と「私」の居場所≫が、これまたスリリング。かつて「普通」だと思われてきた領域が縮小し、その「普通」を保守するために、「普通」からはみ出した領域の人々を排除する≪見えない暴力≫の存在を暴露していく。

☆そして、その押し出されてしまった人々も、「普通」に固執する人々も、そこにナショナリズムというマスクをかけて一致団結する≪見えない暴力≫に互いに支配された社会。こんなクリティカルシンキングを中高時代に学べるなんてのは凄まじい気概が学園内に浸透しているとしか思えない。

☆世界を変えるというのは、変えたいからという欲望からでてきているのではない。変えなければならないのっぴきならないニーズがいまここに顕れているからなのだ。その世界の痛みを引き受ける知性の塊がこの大学訪問授業であり、その書である。

☆あとは桐光学園自身が、神奈川エリアの「受験市場」の≪見えない暴力≫から解放され、真正の公正的正義な「入試市場」を牽引すれば最高であるが、そこに向かっている神奈川エリアの希少価値のある幾つかの学校の1つであることは確かである。

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