2018年中学入試のベクトル【11】 JG vs 鴎友 比較研究
☆いわゆる偏差値はJGの方が高いが、上記の大学合格実績を比べると、大きな差があるといえるだろうか。東大、京大、東工大については違いは確かにあるが、それはさすがに偏差値の違いが反映しているといえるだろう。
☆しかし、そこ以外は、さほど違いがあるとは思えない。もしかしたら、入学時の偏差値集団が鴎友学園女子の方が低いとしたら、東大、京大、東工大のような学校以外に関しては、教育力でサポートしているといえるのかもしれない。
☆では、教育の質は鴎友学園女子の方が高いのか?それを測る基準はなんだろう。C1英語、PBL(アクティブラーニング)、ICT、リベラルアーツの現代化だと思うが、JGは、C1英語に関しては、生徒自身が必要と思えば、勝手に学ぶだろう。一方、鴎友は、サポート体制ができている。
☆PBLに関しては、JGは筋金入り。骨太論文編集、物語創作などは全員が取り組む。数学クラブのバリバリ現代数学研究も破格。一方鴎友もPBLは行っている。図書館を知の基盤として、探究活動は丁寧にたどっていく。
☆しかしながら、PBLの中のディスカッションのシーンを比べたらどうなるか。比べることは現実的には無理なのだが、文化祭や外部のプレゼンコンクールなどで活躍しているそれぞれの在校生の姿をみると、不思議とJGらしさ、鴎友らしさの違いを感じることができる。
☆JG生は、とにかくメタファーとパロディーとパラドクスと、要するに遊び感覚が自在に入る。鴎友生は真面目にロジックを積み上げていく。遊びと真面目の違いがある。だからどちらがよいかどうかということではない。
☆両校とも大切にしている「ロゴス」の取り扱い方が違うということに過ぎない。この違いは、しかしながら、教育の違いでもある。毎朝礼拝のあるJGは、聖書のフレーズを、世界の痛みにつなげて、語り思索する時間が絶え間なく6年間続く。
☆聖書の中のロゴスは、もともとメタファーそのものだし、矛盾にあふれている。それゆえ、パロディーとしてのファンタジー物語が世の中にコンコンと生みだされている。その教育の影響下にあるのだけは確かだ。
☆礼拝で語るのでは、普連土や立教女学院もそうだが、聖職者だけではない。生徒自身も語る機会がある。毎朝、リフレクションと気づきの思索の時間があるのである。
☆この教育がよいかどうかは、わからない。JGはプロテスタント校で鴎友は洗足同様プロテスタント主義の学校という違いに過ぎなし気もするが。
☆いずれにしても、このPBLやロゴスを大切にしているところが、リベラルアーツの現代化で、どちらもそれぞれ展開している。
☆ICTに関しては、JGは積極的でないだろう。JG生自身が家庭で当たり前のように活用するだろうし、スマホを自在に使うだろうから、タブレットとそん色なく使いこなしていることは推測するに難くない。あの自由な服装を見れば、だいたいわかる。
☆鴎友の場合は、きちんと情報整備をして、ICTのサポートも年々充実しているだろう。それは、ホームページの作りを見れば、すぐに違いがわかる。
☆結論はどちらも十分に教育の質は豊かだが、ロゴスの扱い方が決定的に違うということか。
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