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2018年中学入試のベクトル【12】 浅野 vs浅野 比較研究

☆浅野と比較すべき学校は浅野自身である。何を言い始めたのかと思われるかもしれない。たしかにそうであるが、神奈川所在地の浅野が東京寄りにあって、2月3日に入試をするというポジショニングが、高偏差値の生徒の足場になり、そうでない生徒の憧れの拠点になっている。

☆つまり、中学入試市場の行方を手中に収めている重要拠点校だからなのである。

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☆浅野はそのサイトにおいて、「浅野の特色のある学び」というページで、「何よりも日常の授業だ」と表明している。そのうえで、「オリジナルテキスト」「プロジェクト型学習」「教養講座」であると。

☆どこが論点かというと、かつて駒場東邦で学内で大論争をまねいたのが、見えるカリキュラムと見えないカリキュラム論争。授業は見えるカリキュラムで部活を中心とした授業以外の教育活動を見えないカリキュラムとして、本質は見えないカリキュラムにあると語ったとある校長と学内の先生方がぶつかった。

☆授業の中に見えるカリキュラムと見えないカリキュラムの両義性があるのだというのが教員の理屈だった。もちろん、軍配は教員に上がった。

☆今の浅野の教育は、ここを示唆している。特色ある教育が、授業以外にあるという短絡的な二元論にならないように、さりげなくち密に計算されてサイトがデザインされている。

☆浅野の中には、学習指導要領の歴史的変遷をリサーチしている学問的な見識をもった教員がいる。学習指導要領の歴史は経験主義と系統主義の両極の往復変遷史であるが、その教師は、デューイの考え方に共鳴しているということのようだ。

☆つまり、上記の図で言えば、Aゾーンに位置して、日常の授業を行っているということなのだ。

☆しかし、学校によっては、授業は系統主義で、特色ある授業は経験主義でという二元論でわりきっている学校もある。

☆そうなると、生徒の学びのほとんどの時間が系統主義的知識をインプットするだけで終わる可能性が高い。

☆もちろん、ブルーナー自身の認知科学的な現代化カリキュラムは、経験と理論をつなぐ「構造」概念であるから、実際には、上記の図で言えば、統合/バランスの合力に位置するはずだが、学習指導要領においては、知識の体系という似て非なるものに収まってしまっている。

☆そこらへんの当否はともかく、浅野は表に出ている浅野と背景にある浅野が統合されている。だから、浅野は浅野自身と比較して、明快にポジショニングを表明すると学校選択者には有益だ。

☆たとえば、Aソーンに浅野はいるのだと表明すれば、経験を大事にしながら学べることを大切にしている学校選択者は、栄光、聖光、サレジオ学院、逗子開成、駒場東邦、海城などの中から併願校を選択するとき大いにヒントになる。

☆晶文社「2018中学受験案内」によれば、浅野の併願校選択視点は「進学先」「面倒見」「文武両道」「高校募集なし」である。いずれも学びの本質とは言えない。

☆浅野が明快に経験主義的学問的授業を大切にしているという学びの本質を語れば、その視点で学校選択が始まる。つまり、中学入試市場が活性化する。教育の質やソフトパワー重視の学校選択者が多くなる。当然、学校選択の地図が変わる。神奈川エリアの中学入試の低迷をひっくり返すリーダーシップを発揮できる学校となるだろう。

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