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私立学校進化論【01】対話思考の展開が基礎

☆しばらく、対話思考の発展段階をみてきた。対話思考の発展ととも、知識の在り方が変わったが、さらにそれぞれを2つあるいは3つに分けることが可能だ。

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☆知識論理型思考は、「記憶中心の思考」と「知識活用中心の思考」。論理創造型思考は、「教養主義的思考」「問題解決的思考」「創造的思考」。

☆1986年という私立中学受験の大衆化と国際理解教育が日本で始まったあたりが1つのエポックで、「記憶中心の思考」と「知識活用中心の思考」の認知的意識が私立学校で論じられた。

☆1989年ベルリンの壁崩壊後、国際理解教育の広まりは加速度的に進み、渋谷教育学園幕張、頌栄、洗足学園は、今の偏差値ポジショニングを獲得する土台を築いた。

☆もちろん、一方でバブルも膨れ上がっていたから、中学受験の大衆化も大いに進んだ。伝統型の私立学校の中で、MARCHという受験言説がトレンドになり、東大合格者を出すことが1つのミッションになったのもこの時期だが、国際理解教育の流れで、「英語」教育が重視され始めたために、短期間の海外研修プログラムもオプションで追加する進学校型私立学校が誕生したのもこの時期。

☆さらに、渋谷教育学園幕張の存在感が増すにつれ、御三家の潜在的な教育観を、麻布の当時の氷上校長のように、再構築の作業によって、渋谷教育学園幕張との差異を学際的な教養主義として明確にビジョン化することにもなった。

☆おそらく、水面下(理事会では顔を合わしていただろうから)では、麻布の同窓生である田村先生と氷上先生のよき知的バトルがあったに違いない。≪官学の系譜≫とも手を組み、使えるものはなんでも吸収し、あの武蔵の理念も使ってしまった田村先生と江原素六と内村鑑三をリスペクトし、≪私学の系譜≫にあくまでこだわる氷上先生とでは、それはもう興味深い知のバトルが繰り広げられただろう。もちろん互いの心の中での話なのだが・・・。

☆1995年以降のICT革命と金融工学の紆余曲折の興亡の繰り返し、及び2007年に改訂される教育基本法をめぐる過程が、私立学校の危機意識を強めた時代でもある。

☆しかし、タブレットによって、生徒1人1台の環境やダボス会議でICT業界を中心にポスト資本主義の極致である強欲資本主義からクリエイティブ資本主義への動きや庭園ユートピア都市=クリエイティブシティの議論が起こるまで、旧制中学時代の教養主義の復権どまりという感じだった。

☆ところが、2011年3月11日、日本社会にとって決定的ともいうべき悲痛で深刻な、それがゆえに最重要な東北大震災とフクシマ問題が起きてしまってからは、沖縄問題、ヒロシマ問題、隣国問題、そして世界の痛みなどが根っこでつながっていることが明白化し、教養主義的思考様式では、役に立たないことがだんだん明らかになってきた。

☆この身近でグローバルな問題を解決する新しい知を時代は要請しはじめた。2020年大学入試改革は、この要請から派生している。にもかかわらず、目先の利益にとらわれ、改革など成功するはずはない、東大にたくさん合格させることが生き残る方法なのだという姿勢は、どんなにグローバルイシューについて学内で学ぶ環境があっても、学校全体としては本当は人間・社会・自然の問題について無関心なのだと標榜しているようなものだ。

☆そこで、2011年に発足した21世紀型教育機構(当時は「21世紀型教育を創る会」)は、全く新しい次元の21世紀型教育改革を進めた。そして、2020年大学入試改革に最初に直面する2015年の中1の教育からマインドセットして改革を本格化することになった。

☆2020年大学入試改革及び学習指導要領改訂において最も重視されていることは「主体的で対話的で深い学び」、つまり高次思考の育成。そのためにアクティブラーニングという授業システムを採用するということになった。またこの深い学びが必要なのは、グローバルな世界における高大接続には、CEFR基準でB2以上の4技能の英語の力が必要ということにもなった。

☆当然、ICTを媒介にした教育環境がないと、これらの新しい授業はサポートできない。その流れを受けて、21世紀型教育機構加盟校は、生徒全員がB2レベル、そのうち30%はC1レベルを目指すことにした。授業形式はPBL、ICTは当然1人1台、そして教養主義からリベラルアーツの現代化(哲学対話・STEAM教育)へシフトなどカリキュラムポリシーを共有した。

☆ただし、PBLについては、Project based Learning(創造的思考型学習)かProblem based Learning(問題解決的思考型学習)か加盟校によって選択している。

☆この違いが、アドミッションポリシーで、完全思考力入試を実施するか、2科4科内思考型問題の出題を行うかの違いにつながっている。前者は創造的思考型PBLであり、後者は問題解決的思考型PBLに基づいているということなのである。

☆しかし、いすれも麻布を中心とする教養主義的思考型の学びとは一線を画している。

☆21世紀型教育機構加盟校以外にも、「創造的思考型」PBLを実施している学校は海城、城北である。「思考コード」などまだ見える化していないが、少なくとも「教養主義的思考型」PBLは乗り越えている。それは、1人1台のタブレット環境が授業で行われるようになっていることも影響しているだろう。

☆ということは、もし麻布や開成などが、海城と同じような環境になれば、21世紀型教育機構加盟校と同じ進化を果たすということである。

☆しかし、それには3年かかるだろう。2020年大学入試改革の成り行きを見てから動くからである。その間に、21世紀型教育機構は、次のステージに進んでいるのであるが。どんなステージか?それは、まったく今までの学校でないカタチになるだろう。そこに現在チャンレンジしているのが、平方校長率いる工学院であり、石川学院長率いる香里ヌヴェール学院である。3年後、関東圏と関西圏で一気呵成に立ち昇るだろう。プロジェクト名は「ドラゴン計画」(笑)である。

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