2017年4月ホンマノオト「アクセスランキング」ベスト50③桐朋の役割
☆3位になったのは、「2016中学入試 どうなる私立中学【05】桐朋 御三家のおわり招く」という記事。昨年から桐朋が2回入試に踏み切ったことで、どのくらいの範囲の男子校に影響を与えるかがテーマだったが、もう2年前に書き込んだものだ。
☆桐朋のこの意思決定は、たしかに他の男子校に影響を与えた。しかし、それは今のところ、大きな自己利益にはつながってはいない。もし断行していなければ、人気減を止められなかったという点では、自己利益になったかもしれないが、なんらかのムーブメントは、まだまだこれからという雰囲気だ。
☆今回の桐朋の複数回入試断行は、御三家、駒東、聖光、海城、城北、攻玉社、本郷、世田谷学園、巣鴨などには好影響を与えた。各学校が、明快に教育の質の違いを自ら表現し始めたからである。
☆聖光、攻玉社、本郷、世田谷学園、巣鴨は、「東大」をやはりしっかり見据えることを表現した。上記の分類表でいえば、第Ⅲ象限の中で先鋭的な20世紀型教育に特化する。2020年大学入試改革は、おそらくうまくいかないから、東大と医学部をしっかりおさえておくことが、効率の良いサバイバル戦略だと。
☆そのことによって、桐朋は、そこまで明快に表現しきれない教養主義があるというのが、あぶりだされた。
☆御三家は、ある意味戦後≪私学の系譜≫をしっかりと表明し行動したリーダー桐朋に負い目を感じつつも、現在の桐朋にその気概の復権は、具体的に見当たらなかったために、ホッと胸をなでおろしたに違いない。同時に、危機意識も芽生え、開成は渋谷教育学園幕張と同じエリア第Ⅱ象限で、東大の合格者数の違いで、なんとか差異を保っているという具合。
☆武蔵も第Ⅱ象限だが、もっと学際的で、ある意味海城と同様、ⅡとⅠの間に位置する。麻布も同様である。ただし、海城と決定的に違うところは、海城は中間に位置しようとはしていない。Ⅰにシフトしようとしているし、超えようとさえしている。
☆そんな中、桐朋は、第Ⅲ象限と第Ⅱ象限の中間に位置しているかのように見えてしまう。まったく本位でないはずだ。しかし、それでよいのかどうかについて、他の男子校がどの象限に位置するか(もちろん象限を意識しているわけではないが)議論しているのだが、桐朋はしていない。さてどうするのか。
☆そうこうしているうちに、城北が第Ⅲ象限に位置していると中学受験市場に思われていたはずだが、一気呵成に海城路線に舵をきった。SAPIXは第Ⅲ象限と第Ⅱ象限に位置する学校を完全カバーしているから、海城や城北、麻布、武蔵のようにその領域をはみ出てしまう学校には戸惑いを見せている。それに右顧左眄せず、城北は、勇気ある意思決定をしたのである。教育の内容を変容させることくらい実はものすごい決断であることはない。
☆そんなことをプレスリリースでもして宣言したのか?いいやしていない。ではどこでわかるのか?それは同校サイトを見れば明らかである。つまり、リアル広報戦略からサイバー広報戦略に切り替えているのである。ICT戦略を土台にしている新しいカタチの塾やデジタルネイティブである自分の子どもの将来の生き方をイメージできている保護者が続々注目をし始めている。この層は、2020年大学入試改革がうまくいくかどうかより、このような改革を生み出した2030年以降の第4次産業革命社会を見据えているからである。
☆桐朋の複数回入試への意思決定は、かくして多くの学校のそれぞれの覚悟と行動を決めさせた契機となった。
☆さて、桐朋は、どのように覚悟を決めるのか。再び≪私学の系譜≫ルネサンスの牽引校となるのか。中学入試市場はかなりの期待が寄せられている。そのニーズに応えるか応えないかは桐朋次第である。
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