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2018年中学入試のベクトル【35】 聖学院 本邦初「数学プロジェクト科」か!

☆聖学院の児浦先生と対話した内容のうち、来春新入試の<難関思考力>については、21世紀型教育機構のサイトに書いたので、ご覧いただきたい。ここでは、もう一つの数学科の取り組みについて紹介したい。

参照)「聖学院 知のデザイン広がる <難関思考力>」

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☆今、聖学院の中1から中3では、「数学思考力Lab」というプログラムが放課後行われている。まだ、大々的に同校サイトで公開されていないので、最初、数学の講習か、年に3回ぐらい、学期ごとに行われる特別講座かと思っていた。

☆ところが、中1から中3まで30回という3年間の数学的思考力育成のプログラムだった。通常の授業で行われる幾何や数の性質、微積、数列などの背景にある数学的発想や概念史、ハイレベルマスのきっかけなどがシステマティックにデザインされている。

☆これは、本邦初の新教科「数学プロジェクト科」ではないか。そう思った。ワークショップなので、数学的思考力とモチベーションをふくらますGrowth Mindsetも埋め込まれている。

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(数学思考力を開発する児浦先生)

☆数学的思考として、モデル化、変換、カテゴライズ、ラテラルシンキング(水平思考)、など数学の醍醐味である「置換操作発想」を多角的に柔軟に鍛えていくプログラムになっている。また数学のみならず、レゴマインドセットも織り込まれるから、アート(広い意味=デザイン思考)も融合される。

☆AI発想のコーディングやプログラミングもその背景にあるアルゴリズムを学ぶ仕掛けも入っている。

☆これは、今までの自然言語をまた違う記号に置き換えていく方程式の世界。日本語も英語も他の言語も、方程式=スーパーメタ言語でとらえていくとどうなるか?「ルビイのぼうけん」のように、物語発想とプログラミング発想のカップリングができてしまう。

☆19世紀末に立ちあがった、現代数学がいまようやく、聖学院の中高で現実化するのかと、ちょっと感動。

☆ここでは、今までとは違った未来語の話だから、今までと同じ発想でとらえていては先に進まない。というのも、実はプラトンやアリストテレスなどの哲学は、おそらく方程式であらわしたら、単純化できてしまう。

☆カントもケプラーなど研究しているけど、純粋理性批判や実践理性批判も、形式論理学の中でも単純な集合論で解けてしまうだろう。判断力批判に来て、ようやくアートの領域に踏み込むから、難しくなる。だから、現代数学の発想が背景にある現代思想は、判断批判を重視する。

☆いずれにしても、プラトンからハイデガーあたりまでの教養主義を軽やかに越境して、生徒は偉大な哲学者の発想を乗り越えてしまう思考発想に突入する。これがリベラルアーツの現代化。

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☆児浦先生のチームがSGT (Super Global Teacher)の頭脳集団であるのは、まさに、クリエイティブスクウェアに位置するからであることが、この「数学思考力Lab」のコンセプチャルデザインで証明されたと確信した。

☆テクノロジー、エンジニアリング、アート、マスがコンパクトに織り込まれたすばらしいプログラム。それぞれがバラバラではなく、有機的につながっているからジョブスの好きな引き算の美学ができている。

☆そして、この引き算の美学こそ「茶の本」の世界である禅の発想に行きついてしまう。STEAMに必要なのは、もう一つサイエンスだが、これは化学が重視している実験探究や高2の理数系が行う課題研究で行われている。

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(同校サイトから。化学実験のシーン)

☆おそらく、有機的な循環が児浦先生のビジョンであるコンセプチャルデザインの大切な発想なので、理科と数学の協働によって、STEAM教育は完成し、そのとき、それが本当のクリエティブ・シンキングという一つの名称に包摂されるのではないか。

☆日本の教育で、クリエイティビティを育成するプログラムはまだない。クリエイティブというと、狭い意味で芸術作品の創作だというのが日本の教育の現状。

☆男子校である聖学院がクリエイティブシンキングをトレーニングするシステムを先駆けることになる。

☆一般にワークショップ型のプログラムは中高では言語や社会科学系が多くなるので、クリティカルシンキングに流れる。ロンドン大学のファウンデンションで、クリティカルシンキングは、実は文系の学生が学ぶ重要なアカデミックスキルなのだが、理系はまた違うプログラムが用意されている。

☆理数系の教師と芸術系、文系の教師が協働できる聖学院の「数学思考力Lab」は、日本のみならず世界の未来を拓くプログラムになる可能性が大だ。

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