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2020年新テストと海城の社会の入試問題

☆文科省は、2020年大学入試改革の1つ「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」――名称は「大学入学共通テスト」になるのかどうかわからないが――の記述式問題の「モデル問題例」がそろそろ発表される。50万人の記述答案を採点して「信頼性・正当性・妥当性」は保障されるのかポイントとなる。

Photo(2017年海城の社会中学入試問題から)

☆当然、条件や制約が多くなり、文章素材に記述するための手がかりを特定し、それを多少アレンジする程度になると予想するのは難しくない。制約がクリエイティビティを生み出すということは、センター入試に代わるテストだとしても、感情的に期待してはいけない。

☆むしろ、共通テストでは、寸止めで、大学個別入試で、クリエイティビティは評価すると冷静に判断した方が良い。

☆そういう枠組みを通して、海城の社会科の中学入試問題を見ると、いかに海城の入試問題が、論理的で、批判的で、創造的な思考を求めているのかがよくわかる。

☆近代産業革命―19世紀産業革命―20世紀後半の産業革命―第4次産業革命というイノベーション史の文章を読みながら、各時代の電気自動車の開発興亡史をデザインする壮大な思考力型記述論述問題。

☆与えられた文章の枠内の読解記述に終始することになるだろう新テストと比較すると、思考の幅や深さあるいは次元が違う。むしろ、海城の入試問題は、国立大学の個別独自入試の思考の次元に合わせているのだ。あるいは、海城に、今後国立大学の個別独自入試が合わせてくるのかもしれない。

Photo_2☆新テストのモデル問題例が公表されたら、「思考コード」で比較対照してみたいが、まずは、今春の同校の社会科問題の問いのそれぞれの思考コード分布をみてみよう。

☆実に美しくできている。知識問題は端的な問いかけにし、知識の問題で、条件を複雑にして、難度をあげて平均点操作をしようなどという問題は出題されてない。

☆記述式問題も、論理的な問いと創造的な問いを明快に分けて作問し、「難度」のステップよりも「考える次元」のステップを意識している。こういうテストの関門をくぐりぬけるには、バランスのよい思考力を身に着けている必要がある。なるほど、ジェントルマンの育つ学校である。

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