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2020年大学入学共通テスト(仮称)とグローバル高大接続準備教育

☆文部科学省は5月16日、大学入試センター試験に代わる新テスト「大学入学共通テスト(仮称)」の実施方針案を公表。「脱知識偏重」を目指し英語の民間検定試験活用と、国語、数学への記述式問題の導入の準備として、今回は国語と数学の記述のサンプル問題を公開した。

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☆前回、海城の社会の入試問題を首都圏模試センターの「思考コード」に割り振ったが、今回もコード付けしてみた。

☆今回のサンプル問題の性格については、新聞やテレビなど各種メディアで取り扱っているので、詳細は省くが、基本すべて素材文や資料の中に記述する手がかりがあり、それを特定してまとめるだけなので、「批判的・創造的思考」を要する記述問題はほとんどなかった。

☆まとめる時に、いくつ思考スキルを活用するかで、B1からB3まで幅があるが、条件をきつくすると、自然とBのレベルが複雑になる。

☆条件設定を複雑にすることで、難度調整をするテストになっているのは、50万人分の採点をしなければならないから、現状ではしかたがない。それにB次元の問いの記述は、世の中が心配しているように採点が公平でないということにはならない。ますます、現状では、Bタイプの記述式問題にならざるを得ないだろう。

☆しかし、こうして思考コードをつけると、ある重要なことがわかる。

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☆思考コードを時計回りに90度回転させてみると、上記のようになる。20世紀型教育では、A1からA3が中心の勉強で、B1は少しだけ。知識読解が中心だった。実に大事なクリティカルシンキングやクリエイティブシンキングはテストされてこなかったし、授業でも行われてこなかった。

☆本当は、授業のほうがCレベルまで行い、テストはその採点システムなどの限界があるので、上記のようなグレーの三角形の範囲になるはずだったのだが、結局大学入試制度から逆算して授業を組み立てたほうが効率がよいので、いつの間にか授業も知識偏重主義になってしまった。

☆そこで2020年大学入試改革では、入試問題そのものを変えることで、ふだんの授業も変わるように仕掛けた。しかし、現状の採点システムの限界で、C3思考量を問う問題は出題できない。授業の景色がガラッとかわるというわけにはいかない。

☆一方、特に21世紀型教育機構の加盟校の授業の形式は、C3まで行うから、メディアがはいったときに、その景色が新鮮に映るのである。しかも、思考力入試問題は今やアドミッションポリシーとして、その授業の景色をそのまま反映するから、これまたメディアにとっては新鮮で取材し甲斐がでてくるということになっている。

☆しかし、取材されたいがために改革を行っているのではない。実は、思考コードで、A3B3のように難しい知識や複雑な知識の活用は、大学の教授をはじめとする専門家や今後はAIがわかりやすく提示していくれる部分で、それをもとに、意思決定したり、問題解決したり、グランドデザインを描いたりするC3の創造的考力こそが、広く必要になってくる。

☆専門知識の活用やAIエンジニアリングは、全員ができなくてもい。しかし、C3レベルのクリエイティブシンキングは、すべての市民が必要とするものなのだ。

☆それなのに、今までは、一握りの人間が、公共の学びの空間以外で、そのスキルを取得し、ファーストクラスのためにのみ活用してきた。

☆そこをオープンにして、すべての人がクリエイティブクラスになると2030年目標のグローバルゴールズが達成できる。

☆だから、「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」だったのだが、そこから「希望」の名が消え、「大学入学共通テスト(仮称)」になるのは、少し寂しい気もするが、問題はそこではなく、テストの限界=学習指導要領改訂の限界ではないと希望を持ち続けたいものだ。

21世紀型教育機構は、その希望の灯の光を持続可能にするためにも、「グローバル高大接続準備教育」を着々と実践していくのみである。

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