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20世紀型教育と21世紀型教育の見極め(1)

☆2018年中学入試に向けて、キーワードが「アクティブラーニング」から「21世紀型教育」にシフトした。もちろん、「アクティブラーニング」がなくなるのではない。ルビンの壺よろしく「図」と「地」が反転しただけのことであるが、「主体的・対話的で深い学び」という表現がでてきたところで、より包括的な言葉を市場が選択したのだろう。

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☆また、2020年大学入試改革で、センター試験に代わる「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」、さらに名称が変わる「大学入学共通テスト(仮称)」の実用段階が見えてきた現状では、アクティブラーニングという授業の先の大学入試に世間の目線がシフトするので、「4技能英語」と「高次思考力」の両方と「アクティブラーニング」のすべてを包括できる「21世紀型教育」とまとめたほうが、説明会などで話しやすいということだろう。

☆しかも、20世紀型教育と21世紀型教育は、意外とわかりやすいくくりである。単純に時代が違うということもあるだろう。また、大学入試改革が行われる行われないにかかわらず、すでに国立大学や慶応義塾大学、医学部系大学を中心に「高次思考力」を要する入試問題が出題されるようになっているわけだから、センター試験に代表されるような選択式型の問題ばかりを出題している大学の受験指導を中心にしているところと骨太の考える問題をベースに進路指導をしているところは、「差異」がわかりやすい。

☆20世紀型教育は、コースを大学の難度別に分ける。それゆえ、簡単に言うとセンター入試型のコースと高次思考をトレーニングするコースとに分ける。ここに格差が生まれる仕掛けが内蔵されているわけだ。

☆21世紀型教育は、そういうコースの作り方をしない。全員が「高次思考」を学ぶ。その中で1人ひとりの才能を引き出していく。

☆20世紀型教育は、1人ひとりの才能には無関心だ。それは、学外で勝手にやればよい話であって、一部の生徒は部活などで学内で開花させられるが、ほとんどの場合、それは才能より人間関係の絆をいかにつくるかのトレーニングの場となっていて、1人ひとりの才能開花の場とはなっていない。ここでも一握りの生徒の才能が開花するだけだ。

☆21世紀型教育は、生徒1人ひとりの才能が開花し、それを実現できる思考スキルをトレーニングする場になっている。それは、まずPBL型授業と多様性にダイブするグローバルな探究活動の両方が越境的にシナジー効果を発揮しているからできる。

☆したがって、20世紀型教育は、上記の図のように、大学入試問題を逆算して、それが解けるようになる授業を展開する。今までの入試問題は、知識偏重型であったために、それを壁として、知識を憶える以上の高次思考は学校全体では行ってこなかった。大学入試問題がそうなのだから、しかたがないのだと頑固な言い訳が、今でも横たわっている学校がある。

☆ここにアイヒマンと同構造の心理を有する人間が生まれてしまう可能性が開かれてしまっていた。才能者よりもルールに従ったまでですと回答する人材が多数生まれ、立ちすくむ民主主義が広がっている現在に寄与している可能性がある。

☆これに対し、21世紀型教育は、高次思考の入試問題を研究する。そこには、大学研究者が研究している最先端の成果が盛り込まれていることを見破り、将来生徒がそのような研究に立ち臨める「思考スキル」をトレーニングする場としてPBL型授業が行われる。そこまで意識しないで形だけPBLになっているのが、今ではアクティブラーニングという位置づけになってしまっている・・・。

☆それはともかく、この「思考スキル」は、自分の才能を発見するところから活用できる。そして見つけたらそれを実現するためにも役に立つのであるが、授業だけでは、スキルをトレーニングできるだけであり、才能発見や実現への道が見えない。

☆それゆえ、探究型のゼミやフィールドワークを、高大連携、企業連携、海外フィールドワーク、海外研修・留学という環境の中で生徒自身が探っていくプログラムを創発している。

☆このとき大事なことはPBL型授業と探究活動をつなげる「思考コード」が必要であり、それに基づいた「対話思考」「探究論文」「世界を魅了するプレゼンテーション」が両方の領域で行われることなのである。

☆20世紀型教育は、大学入試問題を壁としてみなし、その中で一方通行的抑圧的授業が展開されてきた。それ以上のことは自己責任である。それゆえ、多くの生徒の心の構えは、Fixed Mindsetされ、自己肯定感が低い状況に追いやられた。

☆21世紀型教育は、大学入試問題を越境するラインととらえ越境した領域での多様なプログラムの中で、PBL型授業で、研究の最先端の成果をシェアした生徒が、自分だったらどのように探究して世界を広げ、変えていくのかその着想を実現する見通しや手ごたえを実感できるようにサポートしていく。

☆それゆえ、Growth Mindsetがなされ、ポジティブマインドや自己と他者を相互に尊重する人間観が形成される。この「先鋭的21世紀型教育」をディプロマポリシーの角度から見たら、「グローバル高大接続準備教育」となる。

☆PBL型授業の中で、「思考コード(メタルーブリック)」に基づいた「対話思考」「探究論文」「世界を魅了するプレゼンテーション」の基礎である「思考スキル」をみっちりトレーニングする。そのトレーニング方法が、ディスカッションベースのPBLなのである。

☆ところで、上記図で「先鋭的21世紀型教育」と名付けている。それはなぜか?実は大学入試問題を「壁」から「越境ライン」にシフトするには、学校全体の取り組みが必要である。

☆学校が「21世紀型教育」を唱えていても、所属している教師によっては、「壁」ととらえたり「越境ライン」ととらえたりしていては、中途半端な21世紀型教育が実施されてしまう。

☆そのような学校を21世紀型教育を行っているからというだけで、選択すると、担当の教師によって、イメージ通りだったり、そうでなかったりする。そうでなかった場合にケアシステムがあれば問題ないが、それがなかった場合は、入学後悩みが生まれてしまう。

☆開成が、米国名門校にたくさんの合格者を輩出するようになっているから、もはや20世紀型教育で切り抜けようという学校は、淘汰されていく。

☆しかし、一方で教育の質の競争が始まり、過渡的な21世紀型教育校と先鋭的な21世紀型教育の見極めが、もうすぐ中学入試市場で生まれる。

☆すでに、「過渡的21世紀型教育」校のことを、市場では、「なんちゃって21世紀型教育」校と呼び始めている。どこが過渡的あるいはなんちゃってなのか、次回考えてみたい。

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