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中学入試における教育の質の変遷

☆首都圏模試センターが発行している7月の偏差値表をみて、驚いた。1986年渋谷教育学園幕張が中高一貫校になった年、つまり中学受験の大衆化が始まった年なのだが、そのころにさかのぼってみて、そのとき2月1日の60以上の偏差値表に名前が登場していなかった学校が、今回かなり多く並んでいるのだ。いわゆる下剋上が激しい。

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☆女子の偏差値表では、57%が新しく参入している。男子に到っては74%。世界の変化よりも中学入試における教育の質の競争こそダイナミックだ。

☆上記の首都圏模試センターのグラフは1998年から始まっている。それまでの12年間は、いわゆる御三家を頂点に、東大早慶上智MARCHという言説が受験業界によってつくられ、その実績をあげることが、教育の質だと思われてきた。

☆それが1998年、1999年のとき、経済の空白の影響が私立学校のマーケットも急襲し、決定的にグローバリゼーションの波を意識する時代が到来した。

☆とはいえ、経済社会そのものの古い基盤はそのままで、労働力の安いアジアに企業活動を拡張したり、ICT関連の頭脳の海外流出などまだ日本の経済体制の空間的延長としての出島をつくったにすぎなかった。

☆だから、一方で学歴社会はまったく壊れなかったし、海外留学などの国際理解教育を加えた、渋谷教育学園グループ(渋渋は1995年に誕生)や洗足学園、鴎友学園女子が、中学入試を牽引する新興勢力となった。

☆しかし、9・11以降国際理解教育の在り方は問われたし、脱ゆとり教育が、扱い方はかなり間違っていたが、新しい学びをデザインする動きが起こった。

☆この2006年から2007年にかけて、海陽学園、広尾学園や、えつ有明、宝仙理数インターなどが新開設あるいは共学化した。その成功を見て、2009年に都市大等々力が誕生。いずれも今も人気校である。

☆これらの学校は、大学合格実績も新しい学びの試行錯誤も開始し、ここから、大学合格実績指標は量としての教育、新しい学びが質としての教育という認識が市場で明快になってきた。

☆もちろん、1989年のベルリンの壁の崩壊は、世界の教育のグローバル化に大いに影響を与えたし、9・11やリーマンショックもそうだ。しかし、まだまだ日本では、受験勉強と教育の質は併存し、統合されることはなかった。もちろん、統合の道を探してはいた。

☆ところが、3・11で事態は全く変わった。教育の質こそ、教育改革だし、それが大事だという魂が国からだけではなく、私学人の内面からも生まれてきた。そして、それを加速したのがICTと英語とPBLだった。2011年になんとか教育のパラダイムを転換しようと、「21世紀型教育」という言葉が誕生した。そこから21世紀型教育を実施する学校は準備をして、2014年に三田国際がインパクトを与えた。そのインパクトは年々増大している。

☆その仲間の21世紀型教育推進校も、多様なインパクトを与えることになった。C1英語×PBL×ICT×リベラルアーツが授業をはじめあらゆる教育活動で統合されるカタチになった。そしてそれは海外大学も含めたグローバル高大接続準備教育として統合されるようになったのだ。

☆この中から2018年共学化する学校が誕生する。八雲学園と文杉がそれである。工学院、富士見丘、東京女子学園は、突出校としてすでに準備はできた。聖学院、静岡聖光、和洋九段女子、順天、聖徳学園も最先端21世紀型教育校からさらに突出校に進む戦略はできている。

☆2025年に、また振り返ると、これらの学校が、グローバル高大接続準備教育を拓いたということになっているだろう。

☆そして、2025年、さらに新しい突出校が生まれる。そのときは、もはや今の学校の姿とは全く違う進化形になっていることだろう。22世紀型教育の始まりということになろう。当然、経済社会のシステムも大いに変わっているだろう。

☆しかし、何より大事なことは、いかなる世紀も貫き通す普遍教育の精神とそれを時代にマッチしたカタチで実行できる智慧である。この精神と智慧が発動する学びの内在的システム。これである。人はそれを哲学と呼ぶのかもしれない。その時代その時代のリベラルアーツの現代化が希求されるのはここに理由があるのだろう。

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