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新しい教科書・教材の意味

☆今年5月23日、文科省は教科用図書検定調査審議会で、次期学習指導要領を見据えた教科書検定基準に関する報告案をまとめた。これについては、教育新聞2017年6月19日<教科書「を」から教科書「で」に転換>がコンパクトにまとまっている。詳しくはそちらを読んで欲しいが、要は、AL対応型になる。デジタル型にもなる予定だということ。教科書採用手続きの規制もある。ここでは、ALとデジタルについて、少し考えたい。

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☆実は、この新しい教科書のプロトタイプは、すでに海外の教材にヒントがある。たとえば、ケンブリッジ大学出版が制作している英語の教材“Uncover”の構成はなるほどということになる。

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☆一つひとつのユニットが大テーマ主義で、たとえば「意思決定の難しさ」などの倫理的テーマや「スマート社会」などの第4次産業革命後の未来社会がテーマだったりする。

☆コンテンツはグローバルゴールズに結びついていく重要な思考テーマであるが、どのユニットも構成は同じなのだ。英語だから、文法ありエッセイあり、会話あり、スピーチあり、読解あり、リスニングあり・・・。4技能に対応しているのは当然であるが、英語で考える教材なのである。

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☆しかも、CEFRレベルまで設定されていて、“Umcover3”はB1となっている。しかし、その内容は、英検や中3の日本の教科書に比べ、はるかに豊かでレベルも高い。

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☆日本初のケンブリッジイングリッシュスクール認定校の工学院の英語科主任の田中先生は、この教材をCLIL的な切り口で再構築して活用しているということだ。

☆どのページにもURLがついていて、広め深める情報や動画にアクセスできる。生徒は、1人1台タブレットを持っているから、紙の教材とデジタルの両方を往復できる。会話やスピーチも織り込まれているから、自ずとAL型(工学院ではPBL型と呼んでいる)にならざるを得ない。

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☆新しい教科書が、ここまで充実しているかどうかわからないが、基本構造はかなり似たものになるだろう。英語だけでなく、他教科もこのようになる。田中先生がCLILという切り口で再構築するということは、そのことを意味している。

☆つまり、国語や数学などコンテンツは違っても、教材の構成=学びのプロセス=授業の構造は似ているのだということ。

☆ここで、問題なのは、従来の教科書と新しい教科書を比較すると、たしかに、教科書「を」から教科書「で」に転換するのだが、新しい教科書の場合、その教科書「を」教えても学んでも、従来の教科書を活用するよりも複眼思考を使わざるを得ないということなのだ。

☆結局、転換は起きず、知識から積み上げていく授業が、思考と知識の相互作用を盛り込みレベルが上がった授業に代わることを意味しているだけなのだ。

☆このことがどんな問題を引き起こすのか?それについては、またいずれ考えるが、結論先取り的に言えば、田中先生は、その問題を解決するために、クリティカルシンキングを養う問いを、教師自身が独自に作成し、“Uncover”を活用しながらさらに投げかけていけるように、英語科で勉強会を行っているということだ。工学院全体では、教科横断型で教員が集まって問いの研究プロジェクトを進めている。

☆新しい教科書に沿ってやるだけでも、従来よりは、生徒は考え、対話し、プレゼンするようになるし、ICTを巧に使って、それらの力をさらに増大させるだろう。しかし、ここには大きな問題が横たわり、それは今のところこのよう新しい教科書や教材を編集をしている会社は、気づいていない。

☆田中先生は、そこを見破り、教科書をアレンジしていく行く力や最終的には自ら問いをつくってオリジナルテキストを編集できる力を教師側が身に付けなければならないと考えている。すでに太田先生を中心に、思考力セミナーというパーフェクトなオリジナルPBL型授業とワークシート型教材が編集されている。このような動きにこそ希望がある。

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