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思考力入試を実施する学校をリサーチしよう(3)Quest Brain 探究脳の土台

☆中学入試の「思考力入試」にしろ、中高でのPBL(プロジェクト型学習)型授業にしろ、東大推薦入試、京大特色入試、早稲田新思考入試にしろ、大学のPBLにしろ、次の図のような学びのプロセスを概ね通過する。

図A

Pbl

☆一方これに対して、従来型の授業における学びは、このような過程を通過しているかどうかは、実はブラックボックス。たいていは、知識の伝授とその定着を見るために再現テストを繰り返してきたのだろう。

図BPhoto
☆ブラックボックスと言ったのは、一方通行的な知識伝達のような授業に見えても、生徒の集団によっては、脳内でPBL型のプロセスが動いている場合がある。地頭がよい生徒の集団ということだろうか。

☆したがって、一方通行型の講義形式の授業でも、アクティブブレインになっていた場合、そのような学校は一見PBLは不要のようにみえる。

☆しかし、地頭を自分でなかなか活性化できない生徒集団だった場合、いわゆる落ちこぼれがたくさんでてしまう授業でもある。

☆それを防ぐために、補講や補習がさかんな学校もある。そして、その補講や補習が結構効果的な場合も多い。成功しているところは、たいていチューター制度などをいれて、「対話」が行われている。

☆だったら、補講や補習で行われている「対話」をはじめから図Bの講義形式の中にいれておけば、時間を圧縮できるし、落ちこぼれが授業ででないように解決できる。

☆要約など、最初50字で考えさせて、ペアで対話してみる。次に80字にして再び対話してみる。次に100字にして対話をしてみる。これらを全部で5分でやってみる。そして、その要約したものに自分の意見をぶつけてみる。それをペアで対話する。時間は2分。全部で7分間毎回講義形式の授業に入れるだけで、実はPBLに飛ぶようになる。

☆なんで、要約練習なおんか?実は要約を通して知の構造の輪郭を明快にしていくトレーニングを行っている。そして、自分お意見をぶつけると、エッセイのプロトタイプができるのだ。長大な学びをやるのもあもちろんありだが、インプロ的に学ぶやり方もある。両方のバランスということか。

☆図Aのワイガヤの部分をグループワークではなく、ペアワークにするだけで、十分に図Aのプロセスを歩むことができる。

☆ノートを使おうが、タブレットを使おうが、レゴを使おうが、学習ツールは何でもよい。思考の構造を、生徒の最近接発達領域に合わせて、そlこに対話を挿入するだけ。そして、個人ワークで作ったものや考えたものについてペアで対話すると、それ自体リフレクション。それをこまめにいれていくから、リフレクションループができる。

☆思考とは、自問自答によるリフレクションループの連続と他者とのネットワークをこのループに結合して、拡散ループから一気呵成に収束ループに飛ぶ言語行為である。

☆いや、絵だってよいし、音楽だっていよいし、ドラマでもよい。言語にこだわる必要はないという方もいるだろう。

☆しかし、絵は言語のうち文字をデフォルメしたものである。音楽は、音声をデフォルメしたものである。ドラマは、ボデイーランゲージと実は声帯の振動のデフォルメである。

☆それは英語であれ、フランス語であれ、日本語であれ、同じである。もちろん、声帯の特徴や文法の特徴や音声の特徴や文字の特徴はそれぞれの国の言葉によって違う。

☆しかし、思考と言語、芸術と言語、STEAMと言語の関係総体は同じなのだ。そういう意味では、20世紀型教育の授業と21世紀型教育の授業の違いは、言語のとらえ方が違うということだろう。言語の多様な活用をするのが21世紀型教育であり、20世紀型教育は、その部分しか使ってこなかったということ。

☆なぜそれでよいのか、制度設計の問題である。20世紀の近代資本主義は、合理性、計算可能性、予見可能性を原理としている。この枠の中で学ぶことができればよかったし、できなかければならなかった。だから、予測不能な事態や現象に備えるPBL型授業はそもそも不要だった。

☆ところが、それでは面白くない。資本主義はプロテスタンティズムの倫理で動いているのではないという考え方があった。それは贅沢こそ資本主義を生んだのだという考え方。前者はマックス・ヴェーバーが提唱し、後者は、その同僚であるヴェルナー・ゾンバルトが提唱した。

☆おそらく、ゾンバルトの説をラディカルに実行したのが、ポストモダニズムだ。しかし、ヴェーバーもゾンバルトも観察してリサーチしていた資本主義は同じ構造だ。

☆まさか、ポスト・モダニズムが引き起こす強欲資本主義の姿まで予想だにしていなかっただろう。

☆21世紀はモダニズム資本主義もポストモダニズムの大消費強欲資本主義の道も選ばない、新しいクリエイティブ資本主義の構築を模索中だ。

☆21世紀型教育を唱えていても、あるいはPBLを実施していても、近代資本主義や強欲資本主義を是として唱えていたとしたら、それは、21世紀型教育機構と全く違う。同機構は、政治経済社会全体が21世紀型にシフトすることを前提に教育も21世紀型にしていこうと提唱しているし実践している。

☆2030年までにグローバルゴールズを達成するには、近代資本主義も強欲資本主義もそのカウンターとして提唱された社会主義的ユートピア社会も全部丸ごと変えていくしかない。

☆政治経済社会は今のままで、グローバルゴールズを達成しようというのでは、画餅に帰すだろう。今都市計画や起業家精神などのプログラムが学校に入り込んでいるのは、政治経済社会も生徒自身が主体的に対話的に深く学んで創造していこうということを意味している。

☆「主体的・対話的で深い学び」では大学合格実績が出るのかという意識は、何を守ろうとしているのか。戦争もテロも環境問題も格差社会も解決できない20世紀社会を守ろうという意志表明をしているということに、本人は気づいていないということなのだが。。。

☆それはともかく、では図AのようなPBL型授業を行えばよいのか、そうするための技術やマニュアルは何か?残念ながらそんな態度では、形だけのPBLで、いまここで世界の痛みが何であるのか、世界問題に届く問いを立てることを回避している態度でもある。

☆そこまで考えている21世紀型教育校を保護者はどのように探したらよいのか?保護者も「主体的・対話的で深い学び」を行う必要があるのだ。思考力入試の問題をまずみることだ。一目瞭然。子どもの未来はそこにあると気づくだろう。

☆というわけで、次回は、図Aの不足分を追加していく予定である。

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