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2018年中学入試市場が未来の響きを奏でる(05)普遍校の顕在化

☆教育の過程の質の時代変遷の仮説をぐちゃぐちゃ思いめぐらしているのだが、その中で、前回はどの波からも浮き出ている「超然校」というタイプがあることについて語った。そして、今回はさらに「普遍校」というタイプがあることを確認したい。

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(開成サイトから。2・26事件で凶弾に倒れたダルマ宰相。強欲資本主義とは異なる道を模索した。)

☆7月の首都圏模試センターの「度数分布表」で、開成と海城が前年対比100%以上だった。両校とも一見すると東大早慶にたくさん入れる学校として、1986年以降の中学受験の大衆化の第1の波を牽引した学校だと思われている。

☆しかし、2014年以降開成は、ハーバード大学やイエール大学など世界大学ランキングで東大より高い海外大学に多数進学させている。海城の方は、2011年から高校募集を廃止し、中学から帰国生30名を募集するようになったころから急激に21世紀型教育を先鋭化させた。

☆それに両校とも19世紀末に創設された学校で、中学受験の大衆化の波の前から、近代国家を形成する人材養成の学校として出来上がっている。

☆開成は官僚への道を拓いていたし、海城は海軍予備校として近代国家日本を軍事力から支えようとした。

☆このようなことを指摘すると、エッとヒイてしまうかもしれないが、方法は、歴史的な制約性というかその軛に準じているが、日本が世界につながる近代国家とはなにか、その「普遍性」を模索し続けている学校である。

☆決して妥協態としての近代官僚制や近代国家に従うのではなく、その時代その時代を突き抜ける普遍性を追究している。

☆そのバックボーンを1986年以降、見失っているのが中学受験市場だったが、もう第4の波が押し寄せ、2025年には第5の波が生まれる兆しが見えている今日、開成及び海城は、本来の「普遍校」としての姿を現しているといえよう。

☆「普遍校」と「超然校」の違いは、どちらも歴史的波の影響をうけないという点では共通しているが、「普遍校」は、むしろ歴史的インパクトを与えるミッションを自らに課しているのに対し、「超然校」は、そのようなインパクトを被らないように社会の変化に対し程よく距離をあけて、自らを保守するという機能を果たしているという違いがある。

☆いまだに、中学受験市場は「開成」や「海城」を東大早慶にたくさん進学させる学校として第1の波の牽引校として評価しているが、そろそろ眼を開いた方がよいだろう。その方が、中学受験市場が活性化するのに。

☆しかし、開成、海城はそんな受験市場に右顧左眄することはない。むしろ目の前にやってきている明治以降邁進してきた近代日本の閉塞状況をなんとかしなくてはというミッションを今一度自らに課そうとしている。

☆それを見えなくして、保護者を洗脳し、塾歴社会を築き上げたある塾は、後世の歴史的な評価はあまりよくないだろう。人間が追究する「普遍」への道を閉ざす役割を果たしているのだから。

☆それは大学受験予備校における塾歴社会を形成しているある塾も同じだし、そのスポンサーである日本最大の大手教育産業も同じ評価を歴史が下すだろう。

☆保護者の方々、眼を開こうではないか。歴史は最適な道を結局は選択するのだから。歴史の発する希望の光をいっしょに見つけましょう。

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