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強烈に動き出した私立中高一貫校 首都圏模試センター主催新市場拡大セミナーで(了)

☆新市場が生まれるとは、システムも新しくなるということだった。既存の市場に新しいコンテンツ、つまり既存のOSになじむように新ソフトをインストールするだけでは、新市場のパイの割合をゲットできるかどうかのゼロサムの競争に過ぎない。パイ自体を大きくしなければ意味がない。そこに気づいているのが、唯一首都圏模試だけだ。他の模擬試験会社は囲い込み戦略に過ぎない。

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(おそらく首都圏模試センターの取締役統括マネージャー山下氏は、新市場創出というトルネードを呼んで、教育改革をやってのけた男として歴史に残るだろう。従来の教育改革は、国によるものか、国に委託されて市場が動いたものかどちらかであった。つまり行政的な改革。今回のは全く違う。市場経済的改革なのだ。)

☆そして、この中学入試の新市場のシステムというのは、複合的システムだ。広報システム、授業システム、評価システム、人材育成システム、キャリアデザインシステム、思考システム、知識システム、感性システム、人間力育成システム、価値意識システム、経済システム、国際環境システム、国際平和システムなどあらゆる局面のシステムががっさり変わり始めるというのが、新市場創出の意義であり、やりがいである。

☆この数奇の運命にさらされた首都圏の私立中高一貫校。世界の中でも、こんな狭いエリアにこんなに多くの私立学校が集積している場所はない。しかも、シンガポールの生徒が優秀だといっても、高校生数は10万人しかいない。

☆少子化と言えども、東京の私立高校だけで、17万7千人いる。それが首都圏となるともっと多くなる。この私立学校が、一斉に新しいシステムを創る人材育成に挑戦したら、量的にも質的にもシンガポールを始めとする教育先進国にもはやコンプレックスを持つことはなくなるだろう。

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☆今回集まった学校だけ動いたとしても、小さくはじめて大きく育てることができるだろう。その仕掛け人首都圏模試取締役統括マネージャー山下一氏が、最後の登壇者だった。

☆あらゆるシステムを変えるキーコードである「思考コード」を作成。これによって、生徒は自分の思考過程の強み弱みがわかる。実は知識を憶えるのも思考過程がある。論理的思考ももちろん同様だ。創造的思考も、思考過程が見えないだけで実はある。

☆物語の創り方、ドラマの創り方、パフォーマンスの創り方などすべて理論がある。イギリスのAレベルテストでは、ダンスやドラマなどの試験でそこをきちんと問われる。

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(思考コードの伝道師石川学院長も山下氏とコラボして語った。)

☆もし教員で、創造的思考など評価できないと嘯いていたとしたら、たんに勉強不足なだけで、創造的思考は評価できるかどうかという議論は、やってもよいけれど、イギリスのAレベルテストに関わっている方々がさんざん議論し尽くして集積したものを超えることができるならばやる価値はあるだろう。

☆そういうイギリスの議論を知った上で、知識が大切だというのなら、それはたしかにそうだ。そんな議論の知識をきちんと整理できているのなら、それが知識なのか思考なのかどうでもよい。

☆そこの手前で、知識だ思考だと声を荒げている教師をみると、自分の子どもはその教師にだけは関わらせたくないと思う。いや、自分の子どもだけではなく、すべての子どもに対してもそう思う。

☆では、そのような議論を学ばなければならないのか?そんなことはない。単純に知らないことがたくさんあるというGrowth Mindsetされているかどうかが肝要なのだ。そういう教師だったら、生徒と同じ学習者として、共に学びに臨むことができる。

☆知識を調べる学び方、知識を活用する学び方、知識と知識の新しい関係を見いだす学び方、・・・・・と実は知識は常に思考と表裏一体で、その学びの方法論こそ思考。学びの方法の異なる次元によって知識の機能が変わっているということなだけだ。

☆この知識の機能をわかりやすくしたものが思考のスキル。思考のスキルをいくつ使うか、どの領域で使うかの違いで、思考コードができあがる。

☆逆に思考コードによって、自分の思考領域の強み弱み、思考のスキルの熟練度がわかるのである。そして、キーコードであるがゆえに教科横断型なのである。教科横断型ということは領域横断型なのだ。

☆となれば、今まで研究対象でなかったコトまで、新たに研究対象にできてしまうということがある。MITメディアラボの石井穣一氏が、「Anti-disciplinary(アンチ専門分野主義)」という創造的思考領域に到達できる。つまりデザイン思考ということにつながる。

☆ということはSTEAMにつながる。このSTEAMのキーコードは実は数学的思考。数学的思考とは、遊び、美学、正義、真理、愛をつなぐ置き換えスキル操作。ということは、結局アートにつながる。

☆このキーコードの発見が、あらゆる領域の潜在的なパワーを開いていく。だから、新しい複合システムは、キーコードによって結び付けられる。おそらくまだまだ解明されていないが、山下氏によって、いよいよその実験が始められたのだ。

☆それにしても、このキーコード「思考コード」は、人事関係の方やビジネス研修のマネージャーには通りがよい。まさしく人事考課や人材育成のプログラムの初級中級上級・・・の指標を明らかにして活用できるという。

☆つまり、あらゆるシステムは、そこにたずさわる人材の能力のシステム化だから、能力マネジメントができることが重要になってくるのである。

☆既存のシステムは、もともとは創造された知識が、ルーチン化してできあがったものだ。その段階ではたしかに知識を記憶し、活用できればそれでよかった。しかし、そのシステムでは、もはや新しい時代に対応できなくなってきた。創造的思考とは、結局新たなシステム構築としての知識を見いだし、知識同志を関連づける世界制作の方法論なのである。それゆえ、正解は1つではない。

☆そのような創造的思考が中学入試で出せるのか?素数の組み合わせ問題とか、トポロジーの基礎的な考え方を活用する問題は可能だ。たとえば、心情読解は、実際にはあれはトポロジー的なメタファー変換という置き換えスキルを活用しているのだ。モデルと現象のコンペアコントラストも、図と式の変換も、トポロジー変換である。そうでなければ、フラクタルのような新物質をデザインする発想は生まれてこない。

☆こんな対話や議論を、新しい市場に挑戦している先生方と話していると時間があっという間だ。

☆山下氏は、このキーコードを受験生と共有することで、生徒が自らの学び方を変容していけるようなシステムに挑んでいる。今回はその予告編。これからの展開が実に楽しみではないか。

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