迫る!「第1回21世紀型教育機構静岡シンポジウム」【4】
☆いうまでもなく、中学入試が多くの耳目を集めるようになったのは、全国版の中学入試情報センターによって、ダイナミックに情報を発信した1986年からなのだ。もっというと、このエポックは、中学入試の第1の波を生み出す起点だった。
☆そして、このときから東大早慶上智MARCHという大学合格実績言説が学校選択指標として大きな影響を与えるようになる。しかし、それは、ある意味、その階層にかけのぼることでしか、社会を善くするにも、富を得るにも、自己実現するにも、術がないという社会構造上の共同幻想があったからでもある。
☆問題は、そのような共同幻想を生んだ社会現象が横たわっていたことだ。それは「校内暴力」が荒れ狂った時代だった。私立学校は、実はそこから救済を求めた受験生・保護者の場でもあった。私立学校は、明治維新から戦前にかけては、時の政権を批判した独立自尊の意思をもった士の子弟や戦争孤児、弱者だった女性の救済の場でもあった。
☆戦後も、やはり戦争孤児を保護したり、ベビーブームで、自治体が支えきれない生徒を私立学校が引き受けたり、やはりガバメントが対応できない教育の領域を救済する拠点だった。
☆それが高度経済成長からバブル崩壊にかけて、学歴社会=塾歴社会が固定化し、その固定化が管理抑圧社会の共同幻想を生み出した。その転移が学校では「校内暴力」として噴出したのだ。
☆したがって、全国に広がるバブル崩壊直前の嵐の中で、安心安全のランドマーク「私立学校」を全国に情報発信したのが北氏なのである。つまり、中学入試界の歴史的需要人物が北氏ということなのである。
☆そして、今再び、北氏が立ち上がった。英語入試や適性検査型入試、思考力入試、自己PR入試など新中学入試の「意義」を掘り起こし、見事に多様なメディアに影響を与えて、中学入試を脱学歴社会=脱塾歴社会に変容させる契機を創出した。それにより、新しい中学受験生層発掘に大きな役割を果たしているのだ。
☆なにゆえに、脱学歴社会なのか?脱塾歴社会なのか?それは2018年の12歳人口の大激減の背景に理由が隠されている。2018年12歳の子供は、2005年2006年に誕生した子供である。ということは、その保護者が12歳前後の思春期を駆け抜けた時代が中学入試第1の波を生むことになった「校内暴力」に象徴される学歴社会=塾歴社会が形成されざるをえなった管理抑圧社会の環境にあったのだ。
☆残念ながら、理由はまだリサーチ中だが、その世代は、離婚率や自殺者の数、ガンなどの病気にかかる率が急に増えた世代だと言われている。それゆえ、その世代の合計特殊出生率は、2005(平成17)年には過去最低である1.26まで落ち込んだ。
☆そして、この2005年以降に誕生した子供が2018年の急激な人口減に影響していることは確かだろう。つまり、今の12歳の保護者の思春期は、過去最強の管理抑圧社会だった。もっとも、今のほうが最強かもしれない。巧みに手を変え品を変えるのが、管理抑圧社会だからだ。それはともかく、いやだからこそ、子供を持つことへの不安や迷いも過去にないくらい多い世代だし、自分の子供をいかに守るべきか決死の覚悟を有している世代でもある。
☆それがバブル崩壊、ベルリンの壁崩壊、冷戦終焉、IT革命、リーマンショック、テロなどグローバリゼーションという社会の大きな波に大きく揺さぶられ、大きく変わろうとしているのが2020年大学入試改革である。
☆この過程を生き抜いてきた世代の保護者は、かつてのような管理抑圧社会=学歴社会=塾歴社会が、崩れかかっていることは肌身に染みて了解している。しかしながら、2020年に期待をかけつつも、それが不発に終わったときどうするか。
☆どちらにしても、社会基盤の構造変化は起きてしまう。そこで子供の未来を守る教育の場はどこにあるのか、直感的にかもしれないが、探し求めるのも中学受験生の保護者世代である。つまり、プレ・ミレニアル世代とミレニアル世代の保護者である。
☆北氏は、その世代が思春期を生き抜いていた1986年から、何が大切なのか説いてきた。そして今その世代が保護者になった今、再び今こそ大切なことをゲットできる「とき」であることを語り伝える。
☆それが、ミレニアルと同世代の各種メディアの編集長の共感共鳴共振を呼び、新しい市場形成の渦が広まっていくのだ。
☆北氏の善き社未来、善き生き方を時代の精神から汲み取る力は、氏自身の生き様からあふれ出ている。
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