私学展で響いた第5の波の音とは?⑥
☆彼らは、一見21世紀型教育を認めたふりをして、実は知識も大事だし、思考も大事だという想定内の枠組みに21世紀型教育を回収しようという戦術をとっている。
☆実は、21世紀型教育において、知識が大事だということは、「教師が想定した枠内で学びを行う」ということを意味し、思考が大事だというときは、「教師も当の本人の生徒も想定しながらも、それを超えていく学びが展開していくようなプログラムなきプログラムという新しい学び」のことを意味していたのだ。
☆海城や開成、日比谷は、そこのところを明快に意識しているということなのだ。ただ、海城が開成、日比谷と違うところは、それを全面的に展開するというところなのである。だから、帰国生の期待も大きい。自分たちだけが特別扱いされるわけではないからだ。
☆つまり、開成、日比谷は、枠を超えるか超えないかは、生徒それぞれの自由だし、ある意味個性だから、それを尊重しようということなのだ。つまり、学習指導要領を拡張していくが、東大の入試レベルを超えるものではない。
☆一方、海城はそのレベルを超えるのは当たり前なのだから、生徒全員がそこからスタートできるように「デフォルト」を設定するということだ。要するに、初期値を海城は高く設定している。それができるのは、社会科研究論文などアカデミックスキルを中学までに鍛えているからである。そして、中田先生のIB研究の成果が、その判断を採用することに大きく影響していることは間違いない。
☆さて、このような「教師の枠内の学び」から「教師の枠を超える学び」へという流れにある学校を振り返れば、すぐに思い浮かぶのは、八雲学園と文化学園大学杉並である。
☆また、広尾学園も医進サイエンスコースは究極だ。ただ、それを全面におしだしはしないだろう。あくまで、東大レベルと東大レベル以上の2元論でいくという。もっとも、私学展で池田理事長と立ち話をしたが、それは現状。
☆では、次のステージは、海城のようにするのか?いや、もっと別のビジョンと戦略である。海城にも開成にも日比谷にもできないオリジナルかつ世界的な水準。実に痛快ではないか。今後広尾学園のさらなる自己変容に期待したい。
☆さて、八雲学園と文化学園大学杉並に話を戻そう。両校とも来春から共学化。受験業界の多くの見識者が準備が足りないのではないと心配するが、それは全くない。
☆もし可能なら、地球上すべての生徒に教育を提供したい、それができる準備が整ったから、まずは女子のみではなく男子にも場を提供したいという想いがそうさせたのである。
☆それはどういう教育か?八雲学園は「ラウンドスクエア」というIB(国際バカロレア)と肩を並べる私立学校の教育コミュニティに加盟した。文化学園大学杉並は、カナダのBC州とカリキュラムを提携して、そのコースに属する生徒は、文杉とカナダの高校の両方を卒業するダブル・ディプロマを取得できるようになっている。
☆この2つのコミュニティは、まったく別のものである。しかし、両校は、それぞれオリジナリティを発揮しながらも、共通していることは、東大以上の進路が広がっているという点。つまり「教師の枠を超える学び」を行っていくことができるのである。
☆このような枠を超える学びを行うには、C1英語は当たり前だし、PBL型授業をやるのも当たり前、リベラルアーツの現代化も当然であり、ICTツールの活用も同様だ。
☆そして、何よりチューター制度が重要なのだ。このチューター制度は、イギリス方式で、八雲がすでに行っているチューター制度が学びにまで進化したものである。つまり、やはりここでもクラスに対する価値観が大きく変わるのである。
☆このような学校は、来春から今までに見たことがないようなBeyondな教育シーンを花開かせていることだろう。なんといっても、学習指導要領の限界を超えている。では、逸脱か?いや、学習指導要領をきちんと行っていれば、それ以上の海外との連携やAPのようなプログラムを行っても、文科省は関知しないのである。
☆なぜなら、学習指導要領以外のことで、文科省は関知するルールが制度上ないからである。学習指導要領というルール内での改革は、私立学校にとっては改革と呼ばない。それは改善に過ぎない。
☆では、公立学校はできないのか?できる。しかし、予算が組まれていないから、結果的にできない。経済特区でもあれば、別であるが。
☆そこが私立学校の大きな独特の魅力だし、世界で活躍する破格のリーダーを生み出す可能性が高いということなのである。
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