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OECD/PISA2018 グローバル・コンピテンスの調査開始?

☆来年2018年は、OECD/PISAのシーズンが到来。またまた新しい調査が加わる。グローバル・コンピテンスを調べるらしい。しかしながら、これは2030年の新しい教育の枠組み(フレイム)を目標にしていて、2020年大学入試改革やそれに伴う学習指導要領改訂と同期している。

☆というよりも、文部科学省や経産省がこの枠組みを受動的に取り入れていると言った方が良い。つまり、ここに危うさがある。

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☆第4次産業革命に向かって、新しい教育や学び方、ICTなどの学びのツールが溢れだし、望ましいことなのだが、一方でそれが格差社会を加速し、想像を絶するルサンチマンのエネルギーを蓄積し、それがテロや戦争に噴出している。

☆それをなんとか是正する動きに、世界全体を変えたい。そういう教育のフレームを2030年までに作ろうというのだろう。

☆これは国連のグローバルゴールズとシンクロしているように見える。(実はIB(国際バカロレア)もこの枠組みの中でエスタブリッシュなポジショニングを確保するために誕生したのだが、逆にこの枠組みを変える優位な位置にいるともいえる。世界は複雑系だ。)

☆しかしながら、OECDにしても国連にしても、戦後の国際経済や国際政治の枠組み形成者だ。2018年に向けての上記写真のPISAレポートによれば、新しい学びの最重要なスキルは、リフレクションの能力だという。

☆たしかにそうだ。しかし、OECDや国連も、自分たちが組み立てた枠組みそのものに対するリフレクションは行わない。

Pisa
☆2030年に向けての学びのフレームのイメージを描いているが、エンジンは全く古いまま、ボディーのデザインだけ変えたという感じだ。なぜできないのか、組織の構造を変えると、自動的に入ってきた拠出金をいったんリセットし、はじめから構築しなおさないといけない。そんな効率の悪いことはできないからだ。組織の持続可能性の問題はなかなか難しい。

☆とにかく、コンピテンスが、知識、スキル、態度、価値の上位語で、そのコンピテンスがあればアクションが起こるという素朴因果関係論で描かれている。

☆要するに、繰り返しになるのが、エンジンは変わっていないということなのだ。このエンジンが環境を破壊し、格差社会を加速してきたのに、そこは臭いモノには蓋をするという戦略。

☆このOECD/PISAに加盟している日本は、拠出金を払っているが、その出所は血税である。

☆税金という制度自体見直す時代が、AIの進化によってやって来るだろうが、少なくとも現状で公平な配分の正義がなされる判断力、意志力、クリティカルシンキングを育成し、自分たちで世界を創る人材を育成する教育が急務。

☆一部の人間だけが、オリジナリティを有し天才だというお話は、それ自体古い枠組みを前提にしている。

☆人は皆、生を受けた瞬間にオリジナリティの塊だ。その才能を発揮できるかどうかは、自分のたゆまぬ学びとそれを可能にする経済や政治の枠組みだ。

☆古い枠組みの中で永遠ラットレースをさせられる側になるのか、枠組み自体をリフレクションして世界制作する側になるのか。世界制覇主義か世界制作主義か、それがシンプルかつ最重要な問題だ。

☆アートのないデザインは、ラットレースを生み、デザインのないアートはサバイブできない。アートとデザインをつなげる新しい学び。そのゲートを開きたい。

☆思考力テストなどの新テストは、本来はそこに切り込んでいる。もちろん、明快に意識して制作されているのではない。ただ、一握りの才能者を受け入れるだけではない何かというニーズに応える形で生まれてきたというところに、新しい光を感じる。

☆変化はそういう動きが起こり、その動きの歴史的な意味をリフレクションするところから噴出する。

☆OECD/PISAと私立中高一貫校の思考力入試の目指すフレームが似て非なるもの(=世界制覇主義と世界制作主義の差異)だというリフレクションができる時代がやってきたのだと思う。

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