学校選択の目【21】続々新入試・続々思考コード
☆この状況をどのようにみるか?かつて午後入試が開発されたとき、やはりはじめは懐疑的だったが、今や当たり前だ。しかも即日発表、夜中発表なども。
☆こうなってくると、物理的時間では、もはや競争ができなくなった。そこで、入試の内容の開発ということになったわけだ。はじめは、塾は躊躇した。しかし、公立中高一貫校の勢いを止めることなどできなかった。すると適性検査を塾も指導できなくてはならない。
☆知識・理解を系統だって教えていればよかったのだが、それが揺らいでしまった。教科横断、領域横断がはじまり、思考力・判断力・表現力が必要になった。
☆しかしながら、2020年大学入試改革の流れは、さらにその思考力のレベルまで認識・意識しなければならなくなった。適性検査では、ほとんど要求されない批判的思考や創造的思考まで要求されるようになった。
(首都模試の思考コード)
☆もっとも、私立学校は、時代の精神を引き受けるから、大学入試改革の流れの前に、第4次産業革命という予測不能な時代に対応するために、批判的思考・創造的思考をカリキュラムの中にいかに導入するか、そしてそれを入試にもいかに反映させるか、2010年ころから先行的に「思考力入試」として、適性検査型入試とは別だてで、開発していた。
☆かえつ有明、聖学院、工学院、富士見丘と思考力入試を開発していった。
☆しかし、そのときは、受験業界は思考のレベルという認識をもてなかった。論理的思考以上の思考力があるということを認識する枠組みがなかった。だから、これらの学校のチャレンジを評価する先見性ある業界人はまだ少なかった。
(神田女学園は、思考コードを完成させたと聞き及ぶ。BEYOND!
☆それが2013年以降、大学入試改革の話題が日常化すると、メディアは、適性検査型入試から急に思考力入試や自己アピール型入試に注目するようになった。現行の学習指導要領は「言語論的転回」が通奏低音を奏でているが、次期改訂学習指導要領は、もう一つの通奏低音「思考論的転回」を奏で始めた。「言語論的転回」と「思考論的転回」はさらにAIという「人工言語」を媒介にすることで、ダイナミックな低音を自在に響かせるようになった。
☆東大推薦入試、京大特色入試を生み出し、とうとう早稲田大学も「新思考入試」を実施することになった。
☆実にダイナミックな波動が響いているわけだ。この波の振幅をマネジメントする基準が「思考コード」である。「言語論的転回」の背景にはCEFRというコードがある。「思考論的転回」には「思考コード」がある。「人工言語」にはプログラミングコードがある。
☆コードとは「プリンシプル」といってもよい。思考力入試を作成にするには、この「思考コード」が自ずと必要になる。
☆工学院の「思考コード」に端を発し、首都圏模試センターも独自に「思考コード」を開発し、成績表に埋め込んだ。これによって、学校側が「思考コード」を知らないとはいえなくなった。
☆まだまだ及び腰のところもいっぱいあるが、工学院に続いて、三田国際学園、東京女子学園、和洋九段女子、静岡聖光学院、神田女学園と続々思考コードを開発しはじめた。聖学院はメタルーブリックとして思考コードに相当するものを開発している。
☆しかし、思考コードは、思考力入試の評価のためのルーブリックではない。もちろん、その機能も果たしているが、本意は、「思考の枠組み」=「知の枠組み」である。
☆したがって、子供たちの知性の変容というカリキュラムマネジメントの根幹部分で、「思考コード」が必要になる。今までは、思考コードが意識されてこなかったから、思考コードのパーツである「知識・理解」の枠組みだけで、あたかも自由に学びが生まれていた。
☆しかし、その思考コードのレベルで育った子供たちの多くは、指示待ち人間として象徴されている「環境順応型知性」までしか成長しなかった。そして、つい先ごろまで、20歳前に知性の発達はとまるから、一度環境順応型知性で止まったら、大人になってもずっとそのままだと言われてきた。実際、これが教育格差とか、年収格差を生み出す目に見えない構造だったのだが。
☆ところが、知の枠組みが認識され、自覚化されるようになると、大人になってからも成長すると言われるようになっている。
☆しかし、知の枠組みを広げるには、かなりの破壊的創造のエネルギーが必要だ。歳を重ねれば重ねるほど、その枠は、頑迷固陋となる。
☆やはり、高校までに、思考の枠組みを生徒と共有して、すべての生徒が自己変容型知性を豊かにしていけるようなカリキュラムマネジメントが必要になる。
☆思考コードを意識しない学校は、学校文化とか、たまさか良い先生がいたとか、別の要因で生徒が成長していくことはあるだろうが、それはそのようなラッキーな環境に触発された一握りの生徒の話で終わる。
☆学校は、在校生すべての自己変容型知性への成長のプログラムを開発・実施しなければならない。いままでは、環境順応型のいい子ちゃんだけをかわいがってこられたが、創発的民主主義の時代、それは問題となる。すべての子供は、自分の内なる希望を生み出す権利を持っているのだから。
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