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AIと共生する私立学校(2)

☆大和淳次教授(工学院大学情報学部ヒューマンインタラクション研究室システム 数理学科)の基調講演の題目は「人工知能を識る:中の仕組みと得意・不得意」。対話ロボット、多人数対話分析、AIの画像認識、東ロボ英語班においてイラスト問題解決法などの研究をされていて、テレビでもよくみるロボットやセンター試験のケースなど、身近にあるものを丁寧に例に挙げて、AIが人間より得意な分野と不得意な分野を明らかにしていった。
 
☆AIは、冬の時代とブームの時代が振り子のように1950年台前後からあったわけであるが、最近の冬の時代は、諸説あるだろうが、1987年から1996年くらい。おもしろいことに、中学受験が大衆化した時代だ。
 
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☆しかし、1997年以降は、チェスでAIが勝利し、2004年くらいから、将棋でもAIはめきめき腕を上げてきていた。2005年には、ロボットカーが人間に勝利。ブームの数が吹き始めた。経済は空白の時代が続いていたが、脳科学は一足先に盛りがっていた。
 
☆このときに、都市社会学と都市政策とアートが結びつき、庭園国家論やクリエイティブクラスの勃興論も舞い上がっていたが、私立中学はイノベーション教育にまだまだ見向きもしなかった。
 
☆ところが、2012年ころにDeep Learningがブレイクスルーし始めた。このあたりから、文科省はそろそろ2020年大学入試改革を押しすすめようと考えていた。ちょうど、21世紀型教育機構が、その前身の21世紀型教育を創る会立ち上げの準備をしているときである。
 
☆そして、AIのブームと21世紀型教育中学入試市場が重なり始めたのもこの時期である。AIと私学の共生の兆しがみえてきたわけである。ちょうど東ロボくんのプロジェクトが立ち上がった時とも重なる。
 
☆そして、さらにおもしろいのは、21世紀型教育機構や首都圏模試センターは思考コード開発にシフトしたのであるが、一方東ロボくんは、この思考コードのA1A2B1くらいでは力を発揮するが、それ以上の思考領域では、壊滅的な状態となり、2016年11月に東大合格をあきらめることになったのである。
 
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☆これは、実におもしろい結果だ。思考コードでいえば、低次思考の領域は東ロボくんは得意だが、高次思考の領域ではまだまだだということなのだ。
 
☆2020年大学入試改革が、中高生に求めるのは、今までの低次思考から高次思考にシフトしようということだから、AIが高次思考計算ができるようになる前に、まずは人間が脳を鍛えよう。それが人材づくり革命ということなのだろう。
 
☆しかしながら、大和教授も、プログラミング言語「ビスケット」開発者の原田康徳氏も、その基調講演で、最終的には、そこもAIは凌駕できる可能性があると、私にとっては、希望と恐怖の両方を感じる話をされた。
 
☆今のところは、膨大なデータベースを検索し、マッチングしていく仕掛けだけだが、過去のデータベースからビジョン形成の共通点をAIが認識できるようになれば、当然、創造性も発揮できるようになってくる。
 
☆さて、そのとき私たち人間はどうするのか、参加された先生方はどうするのか?もはや知識・理解のデータベースを記憶の中に埋め込む教育ではAIと共生することすらできない。やはり、創造性・Creativityを養うプログラムをつくりあげるしかない。
 
☆どうやってか?今のところ、学習指導要領には具体的な仕掛けはない。どうやら、私立学校にはここへの挑戦が大いなるチャンスであり、ないというところにこそ希望があるのだ。
☆そんなことを思いめぐらすことができた基調講演だった。

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