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学校選択の目【8】世界大学ランキングの意味を考えてみる

☆今年もTHEが2018年の世界大学ランキングを公表した。東京大学のランキング下落、京都大学の少し上昇。しかし、シンガポール、中国の大学に完全に抜かれ、国力や経済力の違いを反映しているとコメントがメディアで拡散。
 
☆一方で1000位までに、日本の大学は71校入っている。東大とほかの大学の階層構造の格差が縮まっているという指摘もある。
 
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1 オックスフォード大学 UK
2 ケンブリッジ大学 UK
3 カリフォルニア工科大学 USA
3 スタンフォード大学 USA
5 マサチューセッツ工科大学(MIT) USA
6 ハーバード大学 USA
7 プリンストン大学 USA
8 インペリアル・カレッジ・ロンドン UK
9 シカゴ大学 USA
10スイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETHZ) スイス
10ペンシルベニア大学 USA
12イェール大学 USA
13ジョンズ・ホプキンス大学 USA
14コロンビア大学 USA
15カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA) USA
16ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL) UK
17デューク大学 USA
18カリフォルニア大学バークレー校 USA
19コーネル大学 USA
20ノースウェスタン大学 USA
21ミシガン大学 USA
22シンガポール国立大学(NUS) シンガポール
22トロント大学 カナダ
24カーネギーメロン大学 USA
25ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE) UK
25ワシントン大学 USA
27エディンバラ大学 UK
27ニューヨーク大学(NYU) USA
27北京大学 中国
30清華大学 中国
 
☆東大は46位(昨年39位)で、京大は74位(昨年91位)。朝日新聞によると、
このランキングのフィル・ベイティ編集長は「中国、香港、シンガポールの一流大学は、高い継続的な研究資金のおかげもあり、順位を上げてきているが、東大はどんどん落ちている。東大が高等教育において世界の主要な地位にとどまるためには資金源を多様化する必要があるだろう」としている。
 一方、上位を占める英国の大学に死角がないわけではない。ベイティ氏は「ブレグジット(英国の欧州連合離脱)は英国の高等教育の将来にとって巨大なリスクになっている。この国は、欧州からの学術的な才能とEUからの研究資金に大きく依存している」と話す。(ロンドン=松尾一郎)
☆ところで、1000位とは、ざっくり世界の大学数は20000校だから、上位5%である。東大が頑張る必要性があるかどうか問い返さねければならないが、階層構造が崩れてきたということは、実はよいことなのだ。
 
☆それにこの世界大学ランキングの基準を見れば、そして、メディアの反応を見れば、強欲資本主義に支えられている大学群とみることもできる。
世界大学ランキング指標
教育
研究
論文被引用数
国際性
企業からの収入
☆「教育」といっても、学生数や教員一人当たりの生徒数も入っているのだが、細目を見ると、どの項目にも収入という指標が絡んでいる。つまり、ここにあがっている大学は大規模大学が多く。それでいて、教員一人当たりの学生数をスモールサイズにしているところとなると、結局資金力がある大学いうことになる。
 
☆それゆえ、収入というわけだ。だから、たとえば、米国の小規模でありながら世界を変える人材を輩出しているリベラルアーツ大学は、THEの世界大学ランキングに入っていない。ファンド制度など充実しているのだが。
 
☆本来、オックスフォードやケンブリッジだって、そのようなカレッジの集合体。ブレグジット(英国の欧州連合離脱)が巨大なリスクになっていることを心配する必要のない経済活動と研究活動の両立を目指さなければならなかったはずだ。
 
☆そんな中で、金を節約しながら、研究や経済活動をする日本の大学。それでいて、5%に入る。日本はダメなんじゃなくて、もちろんまだまだ無自覚だが、新しい道を切り開こうとしていると考えられないこともない。
 
☆だから、2020年大学入試改革以降、ますます上記のような71大学に限っては創意工夫して変わっていくだろうから、中高もそこにマッチングする学びの構造をシフトしてくことが肝要で、そういう構造的進化を果たしている学校を選択するとよいのでは。
 
☆そして、一方で、そうはいっても、まだまだ米国のリベラルアーツ大学やミネルバ大学のような斬新な大学には、追いつかないから、そちらに進んで、日本に帰ってきて貢献するのもよいだろう。
☆すでに、あの開成は、海外名門大学に卒業生を輩出している。立命館宇治も同じ動きになっている。公立学校でありながら、箕面高校のように、30名くらい海外大学に旅立たせている学校も誕生しているのは有名だ。
☆海城の特別校長補佐の中田先生も、海外大学希望者は、これから増えるが、その前に医学部志望者が多いので、すぐに海外大学という実績がでていない。潜在的にはかなり多いと。
 
☆それにしても資金なのだが、中高で大事なのは、大学の学費をどのように調達するか、教科書経済ではなく、実用的な経済活動の学びが必要だということではないか。何も起業せよということではない。スカラーシップ情報を自ら収集できるようにするということ。
 
☆4技能英語やC1英語が必要なのは、進路を開く資金調達情報を獲得するのに現実的に必要なのである。世界大学ランキングは、結局学びや研究のための教育内容の情報のみならず資金調達のスキルも必要になることを示唆していると言えよう。
 
☆受験英語では、ここに飛べない。

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