適性検査と思考力入試~明日の保護者会に向けて
1) 資料の内容を読み取り、その中から必要な情報を集め、分析する力をみる。(2) 課題を的確に理解し、論理的に考察・処理する力をみる。・ 正三角形を題材とし、図形的な性質についての理解と思考力、言葉・数・式などを用いて考 え表現する力、数理的な処理の力をみる。
☆キーワードを抽出すると、情報取集・分析、課題の理解、論理的考察・処理という全体的な目標があり、この問題のねらいは、図形的な性質、思考力、言葉・数・式を活用する表現力、数理的処理力とある。
☆学習指導要領の文言に沿って書かれているから、こうなるのだが、要は、
①正三角形の条件という知識・理解
②3本の対称軸すべてに線対称という条件が、円に接する正三角形で構成する図形であると置き換えるスキル③2つのグループの数を比較するスキル④その違いを表現するために論理的に推理する具体と抽象のスキル
☆を組み合わせるということになる。知識・理解という思考コードA1は必要だが、これだけでは、この問題は解けない。2つのグループの違いを比較し、その違いが、3の倍数なのか、3で割ると1余るのか、数の論理として抽象化する応用・論理の思考コードの領域が必要になる。
☆その際、3つのスキルを活用しているから、思考コードはB2になる。逆に言えば、適性検査は、思考コードでB2の領域をカバーすることを求めているということなのだ。
☆しかし、この問題は、実際には、論理的に思考するのではなく、実際に並べるという「まずはやってみる」という創造的思考を刺激する第一段階でできてしまう。したがって、思考コードC1の領域で処理できてしまう。
☆したがって、結論から言えば、適性検査は、B1B2C1C2の範囲なのである。ところが、立川国際の場合は、B1B2からのアプローチにこだわっている。
☆もちろん、本番で、C1を活用して解いても、その過程は解答用紙には反映されないから、学校側が求める力と生徒の考え方にはズレがおきているというのが現状だ。
☆ところが、桜修館は、C1C2を目標としてきちんと明示している。それゆえ、適性検査Ⅰの作文は、ほかの都立中高一貫校とは違う形式の問題なのだ。
☆いったい何を言っているのかというと、入試問題や適性検査は学校の顔で、その学校のカリキュラムの指針がわかるのである。
☆都立中高一貫校の多くは論理的思考でアプローチする学びが中心であるが、桜修館は、そこから積極的にはみでる創造的思考も重視している。ただし、それは論文指導などに限られ、教科の授業はやはり論理的思考重視アプローチなのである。
☆これに対し、私立中高一貫校は、適性検査型入試以外に、思考力入試というテストを行うところもある。実は、この思考力入試は、C1C2C3を養うプログラムが教科の授業の中にもあるがゆえに、創造的思考の問いを積極的に出題するというメッセージが込められている。
☆だから、B2B3C2C3という思考コードの領域が中心になる。論理的思考のアプローチと批判的創造的思考のアプローチの複眼思考ができると、この正三角形のように、複雑に考えるアプローチだけではなく、シンプルに考えるアプローチもできるということになる。
☆知識・理解の段階では、人生における知性は環境順応型知性しか育たたない。多くの公立学校ではここまでしかカバーできない。
☆多くの公立中高一貫校は、応用・論理的思考を養ってくれるから、自己主導型知性まで育つ。
☆しかし、予測不能な時代に要請される自己変容型知性は、批判的・創造的思考によって開発される。
☆これが、本当の適性検査と思考力入試の違いである。そして、このように思考コードを使って、入試問題を分類していくと、
①一般の公立学校、MARCH重視の私立中高一貫校
②公立中高一貫校・教科型入試に論理的思考を埋め込んで実施している私立中高一貫校
③思考力入試実施の私立中高一貫校・教科型入試に創造的思考を埋め込んで実施している私立中高一貫校
☆という3つの学校グループ分けができることも了解できる。
☆学校説明会では見えないことも、入試問題を分析すれば、見えることもある。そして、それが最も重要な違いなのである。
☆なぜ、入試問題でそこまでいえるのか?入試問題はカリキュラムマネジメントの一環だからである。もし、入試問題にカリキュラムの指針を反映していないという学校があったとしたら、そこの学校のカリキュラムはいい加減であるということなのだ。
☆さて、名前は思考力入試とうたわれていても、中身は適性検査型というところもある。C2C3という創造的思考をベースにしている本物の思考力入試を実施している学校は、工学院、聖学院、富士見丘、東京女子学園、三田国際学園などである。
☆また、思考力入試は実施していないが、C2C3までの問いを教科入試に埋め込んでいる学校は、麻布、武蔵、海城、桜蔭、筑駒、恵泉、フェリス、栄光などである。
☆入試問題を見れば、真実の教育を行っている学校が了解できる。
☆そして、聖学院のように、入学時の偏差値はそれほど高くないが、大学合格実績が飛躍している学校がある。2020年以降は、C2C3をカバーする大学入試問題も増えてくる。
☆本当に2020年に対応する学校とは、超高次思考(C1C2C3)を鍛える授業やプログラムを実施している学校のことを示唆している。
☆このことを考えないで、アクティブラーニングだとかプログラミングだとか導入しても、実はあまり効果はないのだ。
☆このように言っても、また本間が独断と偏見でなんか言っているよと思われるだけだが・・・。本当に、子供のことを思えば、少なくとも高次思考のB1B2C1C2はカバーしてもらいたい。それゆえ、公立空港一貫校が人気があるのは、大いに結構なのである。
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