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学校選択の目【42】聖学院の数学科主任 教師力

☆やはり学校は教師力に尽きる。聖学院の数学科主任の本橋先生が、小中の懸け橋として思考力セミナーを考えたり、中高のブリッジとしてニュートンの「プリンキピア」に回帰するというから、何かおもしろそうだと思い、少し本を買ってみた。ついでに、人文的なアプローチとして、スウェーデンの若手哲学者の書いた「おおきく考えよう」という本も買った。
 
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(今年9月3日、第1回21世紀型教育機構静岡静岡シンポジウムで、本橋先生の思考力セミナーのワークショップが放映された。静岡放送が取材していたときのシーン。)
 
☆すると、スウェーデンの若き哲学者ペーテル・エクペリの世界に「意味」を与えるのは私たち自身だという話は、まるでカントの現代版の発想だし、カントがニュートンを読んだときに、おそらく世界は人間が「意味」を与えるというコペルニクス的転回にいたるということがなんかピンときた。
 
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☆そして、カントが影響を受けたのか、もっと超えようとしたのかわからないけれど、そのニュートンのプリンキピアのページを開いて驚いた。本橋先生がここに回帰するという意味がスーッとはいってきた。
 
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☆たまたま、アマゾンで頼んだら、神永正博氏のブルーバックスが届いたから、それから先に読んだが、これが、積分から始まっていた。面積は積分だというところから、ナニーっ!じゃあ中学入試の幾何の問題って、すでに微積のはじまりだったんじゃないか。何を今さら、だけれど、どうやらそういうことだ。
 
☆そう思っていたら、なんと神永さんは、中学入試問題を例にとって、あまりに有名な円を回転させてドーナツつくってその体積を中学入試ではギュルダンの定理で解く問題を積分で解いていたのだ。やはり、中学入試の幾何は積分だった。と思っているうちに、神永さんは、ギュルダンの定理もちゃんと紹介。おもしろすぎ。
 
☆で、そうそうプリンキピアの話だった。ページをざっと開いたら、すべてが古典幾何学の本かと思うほど、図形がずらりと並んでいる。
 
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☆とにかく、直線と三角と円が多いのだ。幾何の問題?英語の力がないから、とにかく考えるきっかけになる図形はどれだと思って、ページをめくったら、次の図形がでてきた。
 
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☆これなら、なんとかできるかもと、まるで中学入試問題を解くように、web辞書を使って、臨んだ。すると、これは、すでに微積の問題だったのだということに気づいた。相似の三角形と弧は、実は接線のことで、だから、点がAに向かって移動することが前提になっている。
 
☆たったこのシンプルな問題が、おそらく速さや距離の移動に転換する装置と化しているのだ。微分と定積分が相似関係や接線の描く点と面によって、ここに力学的速さや距離に転換されてしまう。
 
☆中学入試で旅人算みたいなものも三角図法とかで解くのだけれど、そこには弧が隠されている。中学入試は、それを活用する手前で問われて終わってしまっている。
 
☆算数は置換スキルで解けるけど、微積の世界は、さらに転換と変容へとジャンプする。世界をシンプルな幾何で置き換え、それを転換変容させていくと、日常世界が宇宙の世界に結びついていく。
 
☆その基本原理がプリンキピアにあるということか。これだけではまったく直感的な思いつきかもしれないが。
 
☆算数にしても数学にしても、世界とこんなに結びついているのに、そのことを生徒が知ったらどんなに好奇心を膨らますだろう。この発想を膨らますのに、方程式はまだでてきていない。
 
☆方程式が出てくる前に、十分に微積のコンセプトや着想を学ぶことはできるし、小学校でもできてしまう。
 
☆微積は、接線に次元を落として計算していくから、結局一次関数の一部である比例関係なんてのは、全部微積につながっていく。
 
☆ニュートンは古典幾何をプリンキピアでやっていると思うが、もしそうだとしたら、この発想はアリストテレスにも通じる。実際に、ニュートンはプラトンやアリストテレス、デカルトなどは意識していたという。アリストテレスの自然学は間違いだらけだけれど、正義を比で求めていた。
 
☆日本で有名になったサンデル教授が、ハーバード大学では、そんなに注目されていないのは、数理処理的な政治哲学を論じないからだと聞いたことがあるが、アリストテレスの比の概念に基づいた正義論は、ニュートンを介することによって、一気に微積を活用できるということがわかる。
 
☆経済学だって、交換の正義と配分の正義を、市場で自動化するわけだから、その自動化システムに数理処理が活用されるのは、ニュートンを起点に出発した近代社会の進化としては当然だというのも合点がいった。
 
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☆とはいえ、ニュートンはまだルネサンスからそんなに時が経っていない時代に生まれているから、このシンプルな世界を統治しているのは、GODなんだと最終章では語っている。
 
☆しかし、トマス・アクイナスが語るように、このGODを人間が規定しても意味がない。アクイナスは、少なくとも神はこういうものではないということしかできない。つまり、神はこうだと定義はできないのだと。
 
☆ということは、GODはSomethingに置き換えることも可能だ。すなわち、未規定性なのだろう。無限ということになろう。ここから、近代化は一気呵成に発展していくというわけか。
 
☆聖学院の数学科主任、おそるべし。
 
 
 

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