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学校選択の目【49】11月3日 知性を磨く文化の日

11月3日祝・金)文化の日は、和洋九段女子で首都圏模試センター主催「私立中コラボフェスタ」がある。中学入試では、ここ3年間で、国語・算数・理科・社会という科目の入試以外に、多様な入試が開発され、実施されている。
 
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☆このような流れが生まれたのは、1つは、2020年大学入試改革に対応すべく各私学がカリキュラムの創意工夫を開始したからである。つまり、アドミッションポリシーとして、そのカリキュラムの進化の部分を反映させたからなのである。入試問題は学校の顔だから、これは当然だ。
 
☆もう1つは、公立中高一貫校の適性検査型入試が、私立の2科4科とは違い、大量の知識を前提にしないで、いきなり論理的思考を問う問題を出題するようになったからである。公立中高一貫校の人気が、論理的思考力の重視を世に問うた形になり、論理的思考を鍛えることによって、あとから知識を動員して記憶していくという新しい学びに適合する生徒がいることが発見されたからである。
 
☆この動きは、2020年の大学入試改革や新学習指導要領と相まって、広がった。知識をまず暗記して、思考するという順番から、試行錯誤をしながら、論理的整合性を考え、その際に必要な知識を調べながら、その過程で知識も記憶されていくという順番にシフトするようになった。
 
☆これらの新しい思考力の学びは、麻布や武蔵、開成といった偏差値の高い学校の専売特許だったが、すべての子供たちに開かれなければならないという、学歴社会への問い返しの中で、各学校が、論理的思考や批判的思考、創造的思考を問いかける新入試を開発した。
 
☆すると、2科4科を丁寧に学び、知識を整理し、その背景を深く結びつけていくタイプの生徒だけではなく、好奇心から、1つのことを調べていくうちに、いろいろな事象や現象に結びついていることに気づき、それがその生徒にとってのオリジナルの思考のシステムを形成していくというタイプの生徒がいることを発見した。
 
☆21世紀という世界は、子供たちにとって、予想不能な変化が起きることは予想されているし、すでにイノベーションによって格差問題は深刻になってきている。これらの問題を解決するには、2科4科で養われた、既存の知識を体系的に整理し使えるだけでは、間に合わない。
 
 
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☆多角的な入り口から生徒それぞれの潜在的才能を刺激し、2科4科のみならず、ほかの才能を発揮できる知の領域を受け入れることが必要になってきた。
 
☆そして、入学後、思考コードやルーブリックで、思考領域を計画的偶然的に広げ、多次元知能を刺激する体験やPBL型授業を通して、生徒1人ひとりの才能開花の学びの環境を整える動きが生まれてきたのである。
 
☆多様な入試によって、いろいろな才能のある生徒が、入学後の主体的・対話的で深い学びを構成するカリキュラムで、多次元知能を膨らましていく。
 
☆そうはいっても、まだまだ70%は、2科4科の領域しか知らない。その領域では、地頭の強い生徒や家庭環境のおかげで広い世界的視野を持つようになった一握りの生徒しか、豊かな世界に通じる知性を育てられないできた。
 
☆このような知の格差は、社会を決して幸せにしないだろう。すでに、現在の社会に希望は風前の灯火であるという認識が広まっている。
 
☆2科4科で見ることができる才能だけではなく、多次元の知性が、子供1人ひとりのオリジナリティを発見し、その発露を好循環にもっていくカギである。同時に実用的には、この多様な入試が育てる多次元知能は、国公立や早稲田・慶応のように、思考力をベースにした骨太の入試に対応できる大きな一歩にもなる。
 
☆当日参加した生徒は、思考力を有すると、学びがこんなに楽しいものなのかを体験し、モチベーションの火を燃やすことができるだろう。保護者の方は、それぞれの新入試のパネルディスカッションや首都圏模試センターの教育情報部長であり中学入試情報の一人者である北一成氏の基調講演によって、目からウロコの子供の未来が開かれるだろう。
 

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