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新しいキャリアデザインとしての進路指導

☆2020年大学入試改革の話は、入試問題が変わるということにばかり話題が集中するが、なぜ変わるのかという話が、今一歩広がりを見せない。少子高齢化、生徒募集、AI、グローバル資本主義の中で、大学の経営が苦しくなるからという以外の議論がメディアで拾われていない。
 
【20世紀型キャリアデザインの発想】
 
Holland
(J.L.ホランド理論の図。本間が加工)
 
☆J.L.ホランド(John Lewis Holland October 21, 1919 – November 27, 2008) 博士の職業選択とパーソナリティの関係理論は、キャリア・カウンセリングの基礎理論として定着し、厚生労働省も推奨しているぐらいだ。
 
☆人間は環境と関係しながら活動し、その中で興味関心あるものに導かれ、それを知ろうとする能力や活用しようという能力が芽生えてくる。まさに構成主義的理論であるが、ホランドは、その過程で、行動特性を形成するパーソナリティが決まると考える。本人のパーソナリティがおおむね6つのどれか一つにあてはまると。
 
☆このRIASECは、フロイトやユングの考え方に似ているし、エゴグラムの指標とも重なるところがいっぱいある。ホランド自身、ジョンズ・ホプキンス大学教授として、多様な心理学、社会学の学説を研究し、統一していったということだから、それは当然だろう。
 
☆だからこそ、厚生労働省も使いやすい。1つの学説に偏っていないからだ。私も、使いやすいと思うが、どうも最近の若い世代に、この理論はそのまま適用するのは、無理があるような気がしている。
 
☆というのも、ホランド自身が語っているように、環境にパーソナリティや行動傾向は影響されるから、RIASECのうちどれか一つのパーソナリティを備える時代は過ぎ去ったのではないかと思うからだ。
 
【21世紀型キャリアデザインへの過渡期の発想】
 
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☆ホランド自身、20世紀を生き抜き、リーマンショック直後に亡くなっているから、世界の激動の環境変化を見ないままである。もちろん、ホランド自身、二度の世界大戦も9・11も知っているが、化石燃料の覇権を競う政治経済文化的環境というベースが崩れるとは思っていなかったであろう。
 
☆ところが、AI時代の到来は、化石燃料以外のエネルギーのイノベーションが起こるわけだから、RIASECの枠組み自体が変わってしまう。
 
☆ただ、今のところそのビジョンが明らかになってきただけで、RIASECの枠組み自体がなくなったわけではない。あくまで、21世紀型キャリアデザインへの過渡期である。
 
☆この期間は、少子高齢化で生産労働人口が激減する。したがって、高度技術と学際知によって、RIASECのいずれをも自在に活用できる能力が生徒には必要になる。すなわち、マルチロールプレイヤーにならざるを得ないのである。それゆえ、大学入試改革、働き方改革、人間作り改革というわけだろう。
 
☆もちろん、これらの制度設計はまだまだ練られていないから、クリティカルシンキングを発動しなければならないわけだが、この6つのパーソナリティの諸関係を学ぶ環境が、生徒一人ひとりの新たな潜在的能力を開発することになることになるのは確かだ。
 
☆ホランドの理論は、環境(自然×社会×精神)との学びによってパーソナリティは作られるのであるが、環境変化というパラメータを加えたうえでの話だが、この学びこそ、2020年大学入試改革で求められているビジョンである。大学入試問題がどうあれ、この学びの方法論を体得することが、新しいキャリアデザインの価値観に対応できるわけである。
 
☆こんな学びを展開していると東大や早慶上智に合格させられるのか?という相変わらずの疑問を発する方々は、やはり相変わらず多いのであるが、どうやら、そこが重要では決してないということに気づき始めた新しい市場も誕生しつつある。
 
☆とにかく、私たちが今も使っている様々な理論や発想は、団塊・断層・新人類世代が生き抜いてきた時代環境によって形成されてきた。そんな古い理論でいつまでも語り続けてよいのだろうか?なはずはない。経済も政治も、医療も、教育も、文化も、スポーツも、環境に対する考え方も、世界の痛みの受け入れ方も、すべて新しい発想に切り替えるしかない。
 
☆もっとも団塊・断層・新人類世代ががんばらなくても、今の世代が変えていくから心配ないが、下手に介入してその速度を遅延させる傍迷惑な言動だけはやめなければならない。応援団に徹すべしである。
 
 

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