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伸びる学校組織と市場の関係

(前回の続き)
 
☆「伸びる学校組織」とは、偏差値が高くなるとか、授業の質が向上するとか、生徒が成長するとか、多様な成長をパワフルにカタチづくっていける組織。そして、その組織を形成する基盤が価値意識となる。その価値意識が前提となって、いろいろなものが形成されるから、学校の組織の出来上がりは、自ずとそれぞれ違ってくる。
 
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☆柔らかい現実主義の学校組織は、変化はそれほど急激ではない。状況をきちんと認識しながら自己判断するからだが、そうなってくると、学校組織の伸びと偏差値は、徐々に高くなる傾向にある。
 
☆しかも安定しているから、生徒募集も、今年集まれば、次の年は敬遠されて少し減るが、また次の年は増えるという隔年現象が成り立つ組織作りがなされる。
 
☆柔らかい理想主義の学校組織は、急激な変化が起こりがちだ。特にイノベーション教育を推進しているからICTの目覚ましい進化に比例するかのように加速する。そのため、火が付くと急速に偏差値も上がってしまう。
 
☆すると、急激に上がってしまった学校に追いつける偏差値をもっているイノベーション派がまだ少ない場合は、生徒募集がガクッと減るということもある。不安定である。中学受験市場もまだ30%くらいしかイノベーション派がいないがゆえに、そういうことが起こってしまう。
 
☆柔らかい現実主義の学校は、一般メディアのステレオタイプな情報言説で語るから、驚きもないが、不安もない。一方、柔らかい理想主義の学校は、カタガナ語が多くなるから、一般メディアは避ける傾向にある。それでも、急激な進化を遂げている学校を取材しないわけにもいかないので、取材するが、それを記事にするとき、わざわざ古い言説で表現するから、イノベーション派を掘り起こすことができない。
 
☆学校が独自で発信せざるを得ないわけだ。そうすると学内でイノベーションがまたまた起こるから、より教育内容や質は向上するが、市場が追いついていけなくなる。もっとも、それでも、市場はその方向にならざるを得ないのが、デジタル時代から、独善的な進化なのではない。
 
☆しかし、デジタルディバイドという懐かしい言葉ではないが、イノベーション格差みたいなものが新たに学校間で生まれててしまう。今のところその影響がまだ大きくないが、2020年大学入試改革がどうなるかなど関係なく、教育イノベーションが起こっていないところは、教育景色がセピア色になり、懐かしくなってしまうだろう。
 
☆今更明治時代の教育に戻りたいと思う人は少ないように、同じようなことが起こるだろう。
 
☆硬い現実主義、硬い理想主義の学校は、学内の教師間、教師と生徒とのコミュニケーションを柔らかくしなければ、偏差値は頭打ちで、どんどん下がっていくだろう。
 
☆柔らかいコミュニケーションとは面倒見がいいことだと考えることは硬いコミュニケーションであることに気づかないままでいることを示唆する。したがって、硬いコミュニケーション領域の学校はなかなか自己変容できない。
 

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