2018年首都圏中学入試 生徒募集動向を考える(11)八雲学園 共学化 ハーバード大学も注目するラウンドスクエア加盟校に
☆2018年第5の教育の波がやってくる。その波の衝撃は八雲学園から始まる。2017年12月31日、2018年を迎えるにあたり、このことを凛として受けとめたいと思う。
☆来春、共学化する八雲学園。男子が入学する分のみならず、女子も志望者が増えている。再び人気校になるわけだ。
☆同校の共学化は、もちろん私学であるから経営上の戦略でもあるが、3年前からラウンドスクエアに加盟する準備の過程から必然的に生まれてきた教育上の戦略であるという方が本意である。
☆ラウンドスクエアは、IB(国際バカロレア)創設に貢献したクルト・ハーンによって結成された世界のエスタブリッシュ私立学校のコミュニティ。世界50ヵ国、180校の私立学校が加盟している。八雲学園もその加盟校である。
☆ラウンドスクエア(RS)の理念は、上記のRSサイトにあるように、IDEALSという6つの目標から形成されている。クルト・ハーンは、ドイツ系ユダヤ人であるため、ナチスに迫害を受け、エジンバラ公を教えていた経緯もあり、イギリス亡命をサポートされ、その地で教育を行っていたということもあり、戦後のデモクラシー教育を国際的に広めようと努力した。
☆そのためのリーダーシップを育成するために、徹底してアドベンチャーとボランティアの体験教育をベースに、自然と社会と精神の好循環を生み出す教育をめざす世界の私立学校の共同体を形成するのに奔走した。
☆IBは、クルト・ハーンがイギリスのウェールズに創設したアトランティック・カレッジを、いわば、第1号店モデルとして拡大していった。
☆アトランティック・カレッジも、やはりアドベンチャー教育、ボランティア教育は、極めて重要な位置を占めている。クルト・ハーン自身極限状況の中で生きる意味の重要性を見出し、民主的な協働を身に染みて感じてきた世界の教育のリーダーだった。その生き様が教育に投影されたのは当然であろう。
☆したがって、RSメンバー校はアトランティック・カレッジのような学校なのである。年に一度、順番にホスト校が加盟校の中から選ばれ、そこにRSメンバー校の生徒・教師が集結して国際会議を行っている。
☆ゲストスピーカーが招かれてキーノートスピーチを行う。それに耳を傾け、チームに分かれてディスカッションして、グローバルイシューをいかに受けとめ、解決していくか共有していく。このグローバルな思考能力を発揮する会議を中心に、RSの理念であるIDEALS体験を行っていく。
☆ホスト校のアドベンチャー教育、ボランティア教育、環境教育のプログラムを体験するわけである。また、自分の国の文化をパフォーマンスするエンターテイメントのショータイムもある。
☆そういうわけで、八雲学園では、ラウンドスクエア委員会を結成し、いつでもホスト校として世界のメンバー校を迎え入れ国際会議を開催できる準備を開始したのである。
☆もはや、英語4技能だけではなく、というよりも、英語を活用するのは当たり前であり、重要なことは、IDEALSを実現する環境づくりなのである。もちろん、ハード面の環境の話ではなく、ソフトパワーの環境面であり、世界の痛みに対する深い理解と高い問題意識の醸成が第一義である。
☆まだ、その教育活動の重要性について気づいている教育関係者や受験情報シンクタンクは少ないかもしれない。
☆グローバル教育を行っている多くの学校は、たとえば帰国生が入ってきた場合、取り出し授業を行ったり、国際学級やインタークラスを開設することで対応している。
☆しかし、わかりやすい例でいえば、開成や麻布のようなレベル以上の世界の私立学校が訪れるのである。一部の生徒だけで対応することは不可能だ。RSでは、学園挙げて対応するのが習わしなのである。
☆つまり、八雲学園全体がインターナショナルクラスということにならざるを得ない。それができるから、RS加盟校に認定されたのである。すでに八雲学園は、21世紀型教育機構メンバー校であり、その教育のアクレディテーションも終え、教育のクオリティは保証されている。
☆あとは、それをすべて英語で取り組みができるようにすればよいだけである。八雲学園のグローバル教育のシーンは、一条校では、まだ見たこともないような展開をすることになるだろう。
☆しかも、今ハーバード大学がラウンドスクエアの教育によって育つグローバルコンピテンシーについて注目している。実際にハーバード大学教育学大学院のDr Christina Hinton とプロジェクトを組んで、リサーチが始まった。
☆RSのグローバル基準のアセスメント手法とOECD/PISAのアセスメントなど世界標準の基準を組み合わせて活用してリサーチをしていくということのようだ。
☆そして、その研究成果は、世界のグローバル教育を行っている学校に、有効な1つのモデルとして提示される。クルト・ハーンの想いが、ハーバード大学など世界のトップ大学によってアカデミックな広がりに転換する時代がやってきた。
☆そのような教育コミュニティのメンバー校として、八雲学園の活動が期待される。特に、IDEALSを実現するわけであるから、八雲学園の生徒一人一人が、それぞれの仕事の場でリーダーシップを発揮していく人間としてキャリアを形成していくのである。
☆クルト・ハーンは、私学の系譜である内村鑑三や新渡戸稲造の次世代にあたる。つまり、戦後、彼ら二人に薫陶を受け、戦後日本の教育を牽引した多くの私学人と同世代なのである。
☆八雲学園は、≪私学の系譜≫を世界の文脈にマインドセットする重要なミッションを有したことになるのである。すなわち、本当の意味で世界の中での一流校としてデビューすることになったということが、2018年八雲学園が共学化する本当の意味なのである。
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