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2018年首都圏中学入試 生徒募集動向を考える(13)青稜 青山学院横浜英和

☆来春、青稜も青山学院横浜英和も生徒募集の前年対比は増だろう。両校の教育の戦略は実にシンプル。大学合格実績をきっちり出していく戦略だ。実際青稜の実績はものすごい。もはや卒業生数に対するGMARCH以上の大学合格実績は100%を超えているし、東大合格者も出している。だが、しかい、青稜の本当の人気はそれ以外にあると思う。
 
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☆青山学院横浜英和は、来春から共学化し、一段と大学合格実績もよくなる見通しが立っているから、外から見てわかる指標で人気が高いのだろう。そういう意味では青稜も似ているのだが、ちょっと違う。
 
☆青山学院横浜英和は、キリスト教学校だから、他者への愛が優先して個人にかえってくる教育。しかし、青稜は、もっとシンプルで、個人の確立なのだ。もちろん、社会に対する貢献や協働も重視しているが、まずは個なのである。
 
☆個人が力をつけ、生き抜いていくことが、同時に、あるいは結果的に社会に貢献することになるという教育。ある意味、桜蔭や豊島岡女子に似ている。
 
☆私立学校の21世紀型教育はどちらこというとman for othersが中心となるが、世界的には、そのようなミッションより、個人の能力を最優先するのが風潮で、それゆえ、青稜のように徹底的に個別対応ができる教育=アダプティブラーニングが人気が高い。
 
☆前者のように公正的な市場を作っていける能力をよしとするか、市場原理主義的な社会で生徒1人ひとりが、実際に生き抜くたくましい力をよしとするか、それは私事の自己決定である。
 
☆というのも、現状の世界は液状化した資本主義といわれて久しく、そのような社会を公正な社会に軌道修正していくリーダーシップを発揮しながら、サバイバルする個人になるのか、まず自らがサバイブすることで、新しい社会(それはさらに壊滅的な資本主義かもしれないが)への動きを察知し、それに対応しながら生きていけるリスクマネジメントができる個人になるのか、そのキャリアデザイン、生き合様をどうするかは、自由だからだ。
 
☆これこそが、歴史のダイナミズムで、明らかに後者がわかりやすいし、成功しやすい。しかし、そのような動きが強ければ強いほど、正義の御旗を掲げ、リーダーシップを発揮していく数少ない前者のような学校は、さらに強くなる。
 
☆歴史というのは、どちらか一方に加担するのではなく、最大公約数のいまここでの幸せを創り出しながら、少数の本当の意味でリーダーに社会の枠組みを軌道修正させる力を与えながら進むダイナミズムの仕掛け人なのである。
 
☆歴史のそのような計画的偶然性の狡知をどのように読み解き、生き様を展開していくのか。それは私事の自己決定によるほかないだろう。

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