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ヘックマンの幼児教育重視の意味

☆ノーベル経済学賞受賞者であるジェームズ・ヘックマン教授の著書「幼児教育の経済学」は、現在議論されている教育無償化問題に影響を与えているらしい。
 
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☆共和党系の価値観を持っている論者からは、当然ながら、幼児教育への介入プログラム投資は、ウケがわるい。
 
☆また、経済学を自然科学的にとらえようとする不思議な方々にとっては、ヘックマンがエビデンスとして活用しているデータのサンプル数が少ないとか、反証可能性を表しているエビデンスを提示していないとかいうステレオタイプな批判も多い。
 
☆教育制度や教育文化的な側面から、そもそも米国と日本の教育制度は違うし、文化も違うから、ヘックマンに影響されるのは筋違いだと批判する論者もいる。
 
☆すべて一理ある。要するに、これだけ盛り上がったという出版社の戦術は成功したわけだ。多様な議論を生み出した方が市場ウケするというわけだ。
 
☆しかしながら、ヘックマン教授のこの著書は、幼児期に認知能力と非認知能力のトータルな未分化状態の教育環境をなんらかのカタチで作り上げることが重要だという点は、誰も否定しようがないということである。
 
☆そして、キャロル・ドウェック教授のように、思春期もそれは極めて重要である。思春期までにGrowth Mindsetを創り上げる介入プログランは意味があるという論証もまた優れて重要である。
 
☆そして、ものすごく重要なのは、公平性と効率性の均衡がとれるとするテーゼ。これの意味するところは、幼児教育から思春期教育の認知スキルと非認知スキルのトータルな教育は、強欲資本主義をモモ的あるいはサムライ資本主義にパラダイム転換するという本意があることだ。
 
☆今の経済社会が悪であることを考慮していないヘックマンの論は、おかしいと批判するより、その経済社会の枠組みを変える、内的連関の組み換え作業を行おうとするヘックマン教授の戦術を私はプラクティカルに評価したい。
 
☆理念や戦略は大切であるが、そこにとどまって日が沈むのを待つより、あがきながら目の前の事態を対処療法ではなく、理念を背負いながらも、真逆とも思える戦術で、最終的に結果を出すというプラクティカル・ウィズダムをもったアダプティブリーダーシップが、今時代は求めているのではあるまいか。

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