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思考コードとスキル思考とパターン思考とショートカット

☆昨日、首都圏模試センター「統一合判」同時開催の保護者会でスピーチをしたが、2018年入試最終保護者会ということもあって、過去問の取り組みについて再確認した。その際、思考コードと思考スキルの話をした。
 
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☆午後も保護者会があったので、首都圏模試センターの取締役統括マネージャーの山下氏が訪れて、私のスピーチをわざわざ聞きに来てくださった。そうとも知らず、言いたいことを言ってしまっていたが。。。
 
☆それはともかく、終了後、思考コードとスキルとショートカットの部分をもっと対話したいというので、ブレストミーティングをした。ちょうど、山下氏と私もかかわっているチームG2Cや未来を創る会のメンバーである先生方とも、継続的に話している大テーマなので、5時間くらい議論してしまった。
 
☆今、各学校でも「思考コード」を作成しはじめているので、各学校の「思考コード」を取材して記事にする仕事にとりかかっている。最初に「思考コード」を作成した工学院から取材を始めている。この間原稿を書き上げたところで、山下氏と編集議論もしていたところだったから、工学院において、「思考コード」がコンパスで、未知の地図を生徒が自ら描くというのが思考過程であるというコンセプトは共有済みだった。いずれ首都圏模試センターのサイトにアップされるので、楽しみにしていただきたい。
 
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(左から田中先生、太田先生。チームG2Cのメンバーでもある。)
 
☆しかしながら、実際にその地図を使って、未知の冒険にでかけるアイテムである「思考スキル」については、今回の記事では書いていなかった。取材した工学院の太田先生や田中先生は、すでに「思考スキル」について言及していたが、企業秘密の部分もあるし、まだ「思考コード」ほど、学内で安定しているわけではないので、書かなかった。
 
☆模擬試験の問題に遭遇した時に使う10の思考スキルだけでは、フィールドワークなど多様な体験学習を行っている学校の学びでは足りないのかもしれない。これについては、今後リサーチを続けたいが、あくまで、私はアカデミックスキルではなく、プラクティカルスキルにこだわろうと思う。これについては、山下氏と考えは完全に一致している。もちろん、アカデミックスキルは参照するが、実際に使えるようにするには、100もスキルはいらない。
 
☆もっとも、思考コードは9で、思考スキルは10だから、9×10で90のスキルを中学受験生は活用することにはなるのだが。。。
 
☆議論の中で、ショートカットというのは保護者がかなりピンと来ていたが、それは思考コードとどうつながるのかという議論はある意味突破口だった。
 
☆本間さんは「思考力入試」を中心に話すから、スキルが前面にでてくるが、それはB2思考やC3思考だからではないか?A1A2A3のA思考ゾーンでは、スキルはいるのか?
 
☆たしかに、「思考力入試」は、生徒にとって未知の問題だから、経験や記憶からパターンをただ想起して、マッチングする手法では、なかなかうまくいかない。未知の問題を解く方法を10の「思考スキル」で、自ら考案するしかない。しかしながら、それは新たなパターンを創ることでもある。
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☆パターン化するから、思考のショートカットが起こるわけだ。
 
☆ということは、Aゾーンは、記憶した解決パターンと問題をマッチングすることではないかと山下氏。
 
☆そういうことになると私も同意。記憶の再現や記憶したパターンを想起し、取捨選択してマッチングしていくパターン思考がAゾーン。
 
☆Bゾーンに進むと、記憶の中からパターンだけではうまくマッチングしなくなるから、新たに自らパターンを制作する必要がでてくる。Bゾーンは、内容そのものは制作する必要がないが、スキルを発動して、その内容を再現する必要がある。つまり、スキルはは発動するが、内容は再現にとどまる。
 
☆しかし、Cゾーンは、スキルを発動して、内容そのものも再現ではなく、創発するということになるのではないかと。
 
☆Aゾーンも、パターンを忘れてしまったとき、スキルを発動してパターンを召喚しなおすことができる。スキル発動は、そういう意味では、ABCどの思考ゾーンでも必要。
 
☆しかし、入試本番という時間が限られた場では、パターン思考でいけるところはどんどんパターンマッチングしていき、パターンで解決できないところは、スキル発動で思考していくことになる。
 
☆パターン思考が可能なのは、Aゾーン。スキル思考は、B1からC3にかけて、必要性が増していくということだろう。そして、偏差値が高い生徒は、Bゾーンくらいまでは、パターン思考に変換して、暗黙知として自動的に使えるようにしているから、かつて1時間で10問解いていたものが、30分で解けるようになっているということだろう。つまりショートカットという時間スキルが使えるのだ。
 
過去問を何回も解くという行為は、その学校の先生の思考様式をパターン化するという意味もあるということだろう。
 
☆しかしながら、もしAゾーンだけの問いが投げかけられ続けたらどうだろう。おそらくパターンマッチングの学び方しかできなくなってしまうだろう。形式知化して、パターンがどのようなスキルで制作されていたかわざわざリフレクションする必要がなくってしまうだろう。
 
☆実は、日本の教育の問題点は、ここにあったのではないかということも、思考コードとスキル思考とパターン思考とショートカットという関係を議論することによって、さらに明快になったような気がする。
 
☆プラクティカルウィズダムに向けて、これらの関係を議論し続けることの大切さを改めて
感じ入った。
 

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