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2018年首都圏中学入試(3)本日埼玉中学入試始まる。栄東またまた勢い。

☆本日1月10日(水)、埼玉エリアの中学入試、つまり首都圏中学入試が本格的に始まった。本日の共学校の応募者数の多い順(応募者数100人以上、前年対比100%以上)に見てみると、やはり栄東が強烈な勢い。埼玉栄も勢いがよい。栄グループ全体で埼玉の教育を牽引するということだろう。

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☆アクティブラーニングという新しい学びと東大をはじめとするいわゆる難関大学と医学部の合格を目指す進路指導。やがて両方のベクトルは統合されるから、2020年には、埼玉エリアの私立学校は大学進学実績だけで評価されるという今までの常識は再定義されるだろう。
 
☆というのも、この両ベクトルの合力を模索している学校は、上記の表では開智グループ、西武文理、昌平がそうであるからであり、これだけの私立学校が動き出せば、影響がないはずはない。
 
☆大宮開成や星野学園も、今のところは難関大学・医学部の進路指導に集中しているが、一方で英語4技能の学びやその環境にも注力している。
 
☆実は、英語4技能に力を入れていくと、自ずと知識理解レベルでの授業では、限界があることに気づく。もし気づかなかったとしたら、大学合格実績も限界に到達する。
 
☆では、放っておいてもよいじゃないかと塾業界からはいわれるが、本当は塾もそうではない。もし塾業界が「市場」ということを意識すれば、市場はイノベーションがないと衰退するということに、すぐ気づくはずだ。したがって、放っておいてよいという感覚は実際にはない。
 
☆ただ、イノベーションは様々な面でコストがかかるから、いつ動くか無駄のないようにタイミングをうかがっているということだろう。
 
☆そして、その動き出すタイミングは、たとえ、上げ底景気だとしても、今年後半からその景気は続かないから、やるなら、2018年前半しかない。
 
☆私立学校は、公立学校と違い市場ともうまくつきあっていかないといけないから、そこは「だましだまし」乗り越えようとする。1986年以降中学受験の大衆化を牽引したのは、たしかに塾産業だった。
 
☆しかし、今は、学校が模擬試験会社とデータを共有しながら、市場とつきあえるし、新市場が創出できるようにまでなった。
 
☆「学校―塾市場―模擬試験市場」から「学校―模擬試験市場―塾市場」への転換。なぜなら、今までは「データ」を塾産業が独占していたが、今は「データ」を分析するコストを考えると、模擬試験会社に委譲したほうがよいという流れになっているからだ。
 
☆そして、実は、その「データ」もクラウド上にあがり、保護者も活用できるようになっている。塾だよりから、自分で判断できるし、学校も判断して、塾によってカリキュラムや入試問題をコントロールされる時代から、より保護者という消費者のニーズを吸い上げることができる時代になってきた。
 
☆かつての栄光学園のように、塾に通っていてもできないような「多角的な複眼思考」を診断する試験問題を出題するようになってきたのだ。それが10,000人規模の新タイプ入試の
開発というわけだ。
 
☆2科・4科、理数コース、算数特別入試、午後入試などは、塾市場にウケがよい入試。新タイプ入試は、デジタルネイティブの未来を考える先進的な保護者のウケがよい入試。
 
☆したがって、両方のタイプの入試に目配りできる塾は、人気がでる。実際にそうなっている。ただし、これはかなり個別対応になるから、どうしても個別対応ができる塾でなければできないということになる。
 
☆栄グループ、開智グループ、西武文理が、そういう両市場に目配りできる教育や入試を実施しているのは、私立学校が市場とうまく渡り合わなければサバイブできない事情がある。だから、そういう学校は、学内でダイナミックな教師同士の創発が生まれているのである。そこがまた、人気の秘密でもあろう。

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