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國學院大學久我山 次のステージへ(4) メタ分析と共感を大切にする教師力

(前回の続き) 少し枕が長いです。
 
☆最近ドイツ教育界では、メタ分析をしてデータに基づいて教育効果を測定するジョン・ハッティ博士の教育学が影響を与えているという。ジョ・ハッティ博士は、ニュージーランド生まれで、同国の教育を分析するところからその研究は始まったようだが、今では各国から注目されている。もちろん、日本でもその成果の研究が進んでいる。
 
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(國學院は、ラグビーを始めとする多くの部活が成果をあげている。この活動を今井校長は、非認知能力とメタ認知能力の両側面から語ることを忘れない。)
 
☆その成果の最も注目すべきところは、学校において、教師がなんといっても重要な影響を生徒の学習に与えているということをデータエビデンスによって検証したことだとされる。
 
☆学習の可視化によって、目標とそれを達成するプロセスをしっかり生徒と共有できる教師中心型授業と生徒が自ら学ぶ環境を設定して背景で見守っているファシリテーター型の生徒中心型の構成主義的な授業では、データ的には前者に軍配があがったのだ。
 
☆と語ると、アクティブラーニングより講義型の授業がやはりよいのだと飛びつかれるかもしれないが、それはまったく違う。ジョン・ハッティ博士は、そんなことはそもそも言っていない。もともと、博士はオーストラリアやニュージーランドという21世紀型スキルを牽引する拠点で研究しているのだ。
 
☆ドイツのジョン・ハッティ研究者の論文を読むと、計画的に偶然性を生むアクティブラーニングという教師中心型と生徒中心型の両ベクトルが統合された状況を効果があるとしているようだ。
 
☆大事なことは、生徒がその気になることと、自ら学び続けることができるようになること。そのためには、教師が教えないためにずっとモヤモヤしている五里霧中状態では、それは達成できないのは経験上も明白だ。
 
☆だから、あるときは自ら考えて霧の中を歩くが、やがては霧が晴れて真理を生徒が自ら手に取ることができるように授業をデザインする、あるいはストーリーを描くのは、やはり教師なのだ。ただ、その計画は、教師と生徒が、学習を可視化し共有しながら、ともに学んでいるうちに思いもよらなかった方向性が見えてくる場合もある。これが授業の醍醐味なのかもしれない。
 
☆そんなことを思いめぐらしていたときに、國學院の校長の今井寛人先生のことが思い浮かんだ。というのも、今井先生は、すでに1980年代後半に日本の教育界に衝撃を与え、結局今も影響を与えている認知科学の成果にいち早く注目し、学んでいたからだ。
 
☆つまり、学校現場で30年も前から「メタ認知」という言葉をキーにして、授業やそれを活用できる教師力を育成する学校の組織をマネジメントしたからだ。もちろん、そのメタ認知という言葉を外から持ってきて強引に使ったのではない。
 
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☆今井先生ご自身が、生徒とインタラクティブにコミュニケーションしながら授業を行っていたときに、生徒が成長するとき、同時に生徒が成長するにはいかにしたら可能かと悩んでいるその過程で、「メタ認知」が働いていると考えると、ピタリと納得がいくと気づいたからだと今井校長は語る。
 
☆いわば、暗黙知として行ってきたことを「メタ認知」という言葉で形式知化したわけだ。すなわち、学びの可視化そのものを30年前から行ってきたわけである。
 
☆そして、何よりも大事なことは、生徒がその気になるということはいかなることか「メタ認知」すると、それは非認知能力である「共感力」の育成だということになったようだ。
 
☆共感力を養うことはいかにしたら可能なのだろうか?今井校長は「体験」以外にないだろうと。もちろん、インタラクティブなコミュニケーションもその体験の中にはいる。それゆえ、グローバルな体験のチャンスを国内外にデザインする新CCクラスは、その象徴でもあるのだ。
 
☆そのような生徒の成長を「メタ認知」によって可視化していく國學院の教師力は、ジョン・ハッティ氏のメタ分析によっても検証されたということを意味しているのかもしれない。学習者に好影響を与える教師がいて、そのための教育が組織化されていることこそ、その学校の教育の質を証明するものはないだろう。
 
☆國學院の教育を部活の成果や大学合格実績の結果だけではなく、その「質が生み出される過程」にもっと注目さることを期待する。
 
☆それがモデル化されれば、日本の新たな教育にも影響を与えることになるだろうからだ。

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