2018年首都圏中学入試(55) 開成 国語で思考力入試問題。
☆しかし、説明的文章に関しては、問一で、クリティカルシンキングを活用する問題。部下の成果を社長に報告するときに、主観的な評価が潜んでいることを示す「表現」を2つ指摘せよという問題。
☆この問い自体は、主観的な評価の感情を表現する「言葉」を書きぬくだけだから、「比較対照スキル」を使って知識を引きだせばよいが、これがOECD/PISAであれば、説明させるだろう(実は今回の開成の問題と類似した問題はPISAでも出題されている)。解答形式によって、知識理解領域の問題か、論理的思考の領域の問題かは変わるが、基本はクリティカルシンキング。
☆主観的か客観的かを思考せよというのは、読解問題であると同時にクリティカルシンキングを背景に隠すものではない。
☆問二は、二人の社員の実績を比較するグラフと文章から、社長の評価の考え方を推論する問題。
☆一見読解問題だが、「たしかに」「しかし」「一方」「したがって」という接続語の順番に従って、記述するロジカルシンキングをせよという指示を前面に出している。
☆「たしかに」しかし」「一方」というのは、2つの「比較・対照スキル」をさらに「比較・対照」するメタスキルが入っていて、ちょっと複雑。また、「したがって」のあとは、文章やグラフには直接書かれていないから、推論しなければならない。
☆しかし、社長が、弁当を売った数という量の問題ではないというところから、それとは対照的な内容を推論すれば導くことができるから、「アナロジー(類推)」で「メタファー(隠喩)」まではいかない。したがって、ロジカルシンキング内で処理できる。つまり、クリエイティブシンキングまではいかない。
☆よって、問ニは、首都圏模試センターの思考コードでは、「応用・論理の領域問題で、「比較対照スキル」を3回使い、アナロジーという「抽象化スキル」を要求しているからB3の次元ということになる。
☆教科の思考力型問題と独立した思考力入試問題は、当然思考力を活用するという点で共通している。しかし、前者は思考スキルは暗黙知として処理されるから、その思考の過程をほとんどみない。
☆一方、思考力入試問題は、「たしかに」「しかし」「一方」などというように、思考スキルごとに思考過程を見ることができるし、その過程を経て、「したがって」という抽象化にジャンプする結果もみることができる。
☆そして、思考力入試の場合は、「したがって」以降の部分は、与えられた情報には直接書かれていない。アナロジーかメタファーという「具体化抽象化」スキルを活用。このスキルこそ創発的であり、クリエイティブシンキング。メタファーであればあるほど、次元があがる。
☆教科入試の中で出題される場合、首都圏模試「思考コード」では、C2レベルが限界だし、そもそもB3で寸止めする場合が多い。C3まで見たい場合は、独立した思考力入試が必要となる。もっとも、麻布は、見た目は教科入試だが、80%は思考力入試問題。
☆そもそも、現在のような思考力入試のプロトタイプは、2009年ごろ生まれている。当時その開発に、私もかかわったが、そのとき、麻布の入試問題も、先生方と研究し、そこから思考スキルを抽出して、自分たちの理屈とそれこそ比較対照して詰めていった経緯がある。
☆教科試験と思考力入試は、全く別物に思われがちだが、それは思考コードの領域と次元が違うだけで、思考スキルベースでは連続性がある。よって、評価もできる。
☆もちろん、その評価は思考コードを具体化したルーブリックによることになる。
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